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みどりの一期一会

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女性差別解消、進まぬ日本/女性差別撤廃条約「選択議定書の批准を!」女性団体が要望へ  

2009-09-12 10:54:45 | ジェンダー/上野千鶴子
今朝の朝日新聞生活欄に「女性差別解消、進まぬ日本国連委勧告 期限切り対応迫る」
という編集委員の竹信三恵子さんの大きな記事が載っています。

この女性差別撤廃へ国連委が勧告した問題については、
わたしも8月25日のブログで取り上げました。

女性差別撤廃へ国連委が勧告/「女性差別撤廃条約「選択議定書」に関する公開アンケート結果」(2009.8.25)

朝日新聞の記事の最後にもありますが、国内の女性団体へ、
「女性差別撤廃条約選択議定書批准に向けた要望書」提出の呼びかけもあり、
「女性を議会に 無党派・市民派ネットワーク(む・しネット)」でも、運営スタッフで賛同の意思決定をしたところです。

「選択議定書の批准を!」 WWN代表 越堂静子

 9月16日に新政権がスタートします。また、今月23日には、新しい総理大臣が、国連総会に出席する予定です。私たちは、新政権に対し、女性差別撤廃条約選択議定書の批准を求め、要望書を提出することにしました。
  ★「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約選択議定書」@国連広報センター
  ★「女性差別撤廃条約「選択議定書」に関する公開アンケート結果」@NNC
現在、約78団体からご賛同をいただいていますが(9月11日17:00現在)、さらに多くの女性団体からの賛同をいただきたいと思います。下に要望書を掲げます。

・・・・以下、詳細は 「WAN」HPをご覧ください。・・・・・



女性差別解消、進まぬ日本
国連委勧告 期限切り対応迫る

朝日新聞 2009.9.12

 日本の女性差別解消への取り組みに黄信号がともった。女佐差別撤廃条約の日本での実施状況を審査していた国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)は先月、勧告を公表した。政府の取り組みを「不十分」とし、夫婦別姓などへ向けた民法の改正や、意思決定機関に女性を増やすためのタイムテーブルについて2年以内に文書で提出するよう求めるなど、政府に迅速な対応を迫っている。 (編集委員・竹信三恵子)

 政府報告書が審査された7月、ニューヨークの国連本部では各国委員から「日本政府は条約を法的拘束力のない宣言とみているのでは」と厳しい質問が続出。政府代表の南野知恵子・参院議員は「取り組みの遅れは否めない」と弁明に追われた。
 背景には、格差の実質的な改善が進んでいないことがある。
 条約の実施状況は定期的に審査され、日本の審査は6年ぶりだが、前回の勧告で求められた選択的夫婦別姓の採用や、女性だけの再婚禁止期間・婚外子差別の是正のための民法改正はたなざらし状態。
 再三求められてきた男女の賃金格差の是正は、縮小傾向とはいえ正社員でも女性はなお男性の6割台。格差の大きさは先進国で最高レベルだ。
 衆議院議員の女性比率は今回の総選挙で11%台と初の2ケタに達したが、戦後初の総選挙の8・4%から約60年で3ポイント程度上がっただけ。政府は05年、「20年までに重要な地位の3割を女性に」との目標を掲げたが、実現への道筋は見えない。
 そんな日本への処方箋として勧告が提案したのは、条約の趣旨の徹底だ。
 表のように多岐に渡る詳細な具体案を提案したほか、差別を「区別」と言い抜けて平等を渋る動きを警戒し、条例1条の「男女平等を妨げる区別は差別である」との定義を国内法に明記するよう要求。条約が男女平等担当部署以外の行政や国会、司法にほとんど知られていないことも指摘し、周知のための啓発の強化を求めた。
 さらに、2年以内に実施状況の報告を求める「フォローアップ」の対象に、民法改正とともに、女性比率が一定程度に増えるまでの「暫定的特別措置」を指定した。意思決定の場に女性を増やすことで、言葉だけでない平等政策を進めるためだ。
 その一環として、政策の空白分野だったアイヌ先住民や被差別などマイノリティ女性の代表の意思決定機関への任命も、初めて求めた。
 国内の女性団体は政権交代を機に働きかけを強める。各分野の女性NGOがつくる「女性差別撤廃条約NGOネットワーク(JNNC)の山下泰子・代表世話人は「フォローアップで期限を切ったことは有効。実施を監視するため、男女共同参画会議内に『女性差別撤廃条約専門委員会』を設けることを提案したい」と話す。
 勧告では、国内の裁判による救済に限界があったときCEDAWに審理を要請できる「選択議定書」の批准も求めている。「ワーキング・ウィメンズ・ネットワーク」など約80団体(11日現在)が連名で新政権に要望書を提出、23日の国連総会で鳩山新首相が批准の意思を批准するよう求める予定だ。
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■勧告の主な内容
・女性だけの再婚禁止期間や婚外子差別規定の廃止、選択的夫婦別姓の採用など民法改正
・条約が裁判で生かされるよう裁判官、検察官の啓発。選択議定書批准の検討
・雇用分野や政治的・公的生活への女性参加を促す暫定的特別措置
・女性への暴力に24時間ホットライン設置
・女性や少女への暴力を促すレイプ・性暴力犯罪を含むビデオゲームや漫画の販売禁止
・「従軍慰安婦」問題の最終的解決への努力
・旧教育基本法「男女共学」規定復活の検討
・同一価値労働同一賃金の原則を確認する規定が労働基準法にないことを懸念。「育休切り」の予防。セクハラなど職場の性差別への制裁。女性にパート労働が集中する現状の改善、保育施設の改善、男性の育児休業の奨励
・若い世代への性教育の実施
・アイヌ先住民、被差別、在日コリアン、沖縄などマイノリティ女性代表の意思決定機関への任命
・シングルマザー、難民・移住女性、障害女性など複合差別にあいやすい女性についての情報提供と政策措置
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ガラパゴス化防げ  林陽子・CEDAW委員
 今回の勧告は、「経済大国に男女平等という重要な人権問題を主導してほしい」という国際社会の強い期待の現われだ。女性の人権を国際問題の主流にという動きが強まり、CEDAWの審査期間が昨年から延びたことも詳細な指摘につながった。
 選定議定書も、8月にアフリカのギニアビサウ共和国が98番目の批准国になり、日本が100番以内に入れるか微妙な情勢になってきた。絶海の孤島ガラパゴスにちなんで日本の「ガラパゴス化」を心配する声もある。性暴力表現やポルノに甘いといわれる日本の現状から、国際社会ではポルノ好きの人々に「HENTAI(ヘンタイ)」という日本語まであてられている。
 そんなイメージを変えるためにも、足元の差別を見直す努力が必要だ。
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(朝日新聞 2009.9.12)


 CEDAW/C/JPN/CO/6(女性差別撤廃委員会)総括所見の全文(英文)

女子差別撤廃条約(女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約)
  ■条約全文
 

要望書の賛同団体は、11日現在で78団体ということですが、
なんとか国内の女性団体が連帯して要望書を提出し、議定書批准にこぎつけたいものです。

自民党は一貫して、女性差別撤廃には後ろ向きでしたが、
女性差別撤廃条約を国内で具体的に実現するよう、鳩山新政権に期待しています。


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以下は、関連の新聞記事です。

女性差別解消「進まぬ日本」…国連委が総括所見
2009年8月25日 読売新聞

 国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)が18日、女性差別撤廃条約の日本の実施状況について、勧告を盛り込んだ総括所見を公表した。
 勧告は雇用、暴力防止など26項目にもなり、前回(2003年)の倍以上。女性差別解消に向けた日本政府の取り組みが進んでいないことを、厳しく指摘する内容だった。
 結婚最低年齢の男女差、女性のみに課した再婚禁止期間、夫婦同姓強制などを定めた民法については前回も指摘があったが、今回は「即時改正すべき」と勧告。さらに雇用や公的活動などへの参画が進んでいないとして、暫定的特別措置(ポジティブ・アクション)を取るよう求めた。
 海外で問題視されている日本の性暴力ゲームやマンガについて「女性や少女への性暴力を当たり前のように扱い、肯定するものだ」として販売禁止を強く求め、児童ポルノ禁止法の改正を勧告している。
 国際人権法に詳しい弁護士の大谷美紀子さんは「民法について強い指摘があったのは、条約批准から24年もたつ日本が、法律上の女性差別を残していることへの強い警告といえる。所見は国会の責任にも言及しており、新しい政権は勧告を真剣に受けとめ、条約締約国としての責任を果たすべきだ」と話している。
(2009年8月25日 読売新聞)


【社説】女性差別撤廃/国連委勧告を受け止めよ
神戸新聞 2009.8.28
 
 女性へのあらゆる差別を禁止した「女性差別撤廃条約」が国連で採択されて今年で30年。締約国は186カ国に上る。
 日本では、1985年に批准して以降、雇用機会均等法や共同参画基本法などを整備し、女性の社会進出はかなり進んだ。だが、国連の女性差別撤廃委員会が日本の履行状況を審査し、先週公表した総括所見は厳しい内容で、取り組みの遅さ、不十分さを指摘した。
 60項目に及ぶ所見のうち、前回2003年から前進したと評価されたのは、担当大臣の任命や、女性の社会進出の数値目標を盛り込んだ第2次男女共同参画基本計画の策定など7項目にとどまった。一方、雇用や暴力対策の遅れに対する「懸念」や「勧告」が多数を占め、前回の勧告が順守されていないことは「遺憾」とされた。
 なかでも対応が不十分な2項目については、委員会が2年以内の報告を要請した。
 一つは、民法の差別的規定の改正である。結婚可能年齢の男女差や女性だけに課せられる再婚禁止期間の見直し、選択的夫婦別姓の導入などを求めた。
 もう一つは、政策や方針決定を行う場に女性参画を促すための暫定的な特別措置を導入することだ。日本では教育や健康水準を示す指数は179カ国中8位と高い半面、女性の政治や経済活動の参画度を示す指数は108カ国中58位と、先進国の中で極めて低い。そうした実態があるからだ。
 その背景には、性別による役割分担の意識が強く、女性が仕事と育児や介護を両立させにくいことが挙げられる。政府は、20年までにあらゆる分野で指導的地位に占める女性の割合を最低30%とする目標を掲げる。だが、達成するには制度面の整備はもちろん、意識改革が欠かせない。
 このほか、総括所見は国内法に女性差別の定義が欠ける点や、総合職や一般職といった雇用区分が男女の賃金格差につながるなど間接差別にあたるとして懸念を表明。さらに被害を受けた個人や団体が委員会に通報できる制度を盛り込んだ「選択議定書」の批准を検討するよう勧告した。
 働く女性が増えたとはいえ、半数以上が非正規雇用だ。出産や育休取得を理由にした解雇や、DV被害も後を絶たない。委員会はそうした実態にも踏み込んでいる。
 直ちに対策を打たなければ、国際的な信用を失う。次回審査は14年の予定だ。女性差別問題を、政府は重要課題に位置づけ、早急に取り組む必要がある。
(神戸新聞 8/28 10:13)



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