昨日の朝日新聞「be」、「悩みのるつぼ」の回答者は上野千鶴子さん。
KY(空気を読まない)な「長男」の悩みを相談する40代主婦。
わたしもかなりズレてた子どもで親に理解もされなかったので、
こういう親の悩みってちょっとなぁ、と思ってしまうのですが、
「ユニークなずれ方がすばらしい」とほめる上野さんが素敵です。
ズレた会話しかできない長男
相談者:主婦 40代
40代の主婦です。高校3年生の長男のことで悩んでいます。
長男は温厚な性格で気持ちは優しく、一応は地域の進学校に通っています。そんなに低学力でもないのですが「非常にずれた会話」しか出来ないのです。
・・・・(略)・・・・・ 小さい頃から「彼が口をきくとその場が凍りつく」と思っていたので、親として「なるべく多くの体験をさせよう」とキャンプや科学教室に行かせたり、会話も増やしたり、新聞もたくさん読ませたりしてきました。
しかし、高校生になっても家族ですらあきれる状態なので、学校でも友人も少なく、将来就職試験などの面接で、まともに応対できるのだろうかと心配になります。グローバルな世の中で「コミュニケーションの大切さ」が問われる時代、まともな社会人になれるのだろうかと気になって仕方ありません。良い方法はないものでしょうか。
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その柔軟な発想力、ぜひ上野ゼミへ
回答者 社会学者・上野千鶴子
わはは、こういう学生さんにぜひ、東京大学に来てもらいたいものです。
このところKY(空気を読まない)が嫌われ、周囲に同調する若者ばかりが増えているなかで、このずれっぷり! しかもウイットと知性を感じさせるユニークなずれ方ですね。未来を担うのは、へんに空気を読む「コミュニケーション力」の高い若者より、あなたの息子さんのような若者ですよ。このわたしが言うのだから間違いありません(笑い)。
進学校に通っていて、成績も悪くないそうですね。試験でよい点数をとるには、自分の考えよりも相手が期待する答えを示さなければなりません。ふつう優等生は、その過程でオリジナリティーをすり減らすものですが、息子さんはその程度には状況を読む力と適応力を持ちながら、「小学生以前」の柔軟な発想力を失わずに大きくなったんですね、すばらしい。
「昆虫って虫網で捕まえられる仲間を言う」ってなんてすてきな発想でしょう。世の中のたいがいの分類学はこの程度のもの。チョウと蛾(ガ)の違い、発酵と腐敗の違いだって、そんなものじゃありませんか。この枠組みをずらす発想法の持ち主こそ、21世紀の日本が求めている情報生産性の高い人材です。
「ファーストレディー」から「浮気」まで、「風が吹けば桶屋(おけ・や)が儲(もう)かる」式の論理の道筋を一瞬にたどれるなんて、なまなかの能力ではありません。ギャグとオチは教養があればこそ。それにここまでいちいち発言を覚えておられるのは、それがよほど印象に残ったからでしょう。息子さん語録でもおつくりになってはいかが。
ご家族のあいだでこういう発言が出るのは、何を言っても安心と思える環境だから。よいご家庭で育てられましたね。友人なんぞたくさんはいりません。「わが道を行く」息子さんのよさを理解してくれる、少数の友がいればじゅうぶん。だいじょうぶ、「温厚な性格で気持ちの優しい」息子さんには、友人も恋人もきっとできるでしょうし、就活ではTPOをわきまえて就活向きの発言をなさることでしょう。
さては、悩み相談と見せかけて、その実、息子自慢では? ご本人に必要なのはあとはモチベーションと意欲です。社会学を志してくださるようなら、上野ゼミでお待ちしております。
題字・イラスト きたむらさとし(2010.12.11 朝日新聞) |
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古都・奈良の伝統の「奈良漬」をいただきました。
「うり、きゅうり、すいか、なす、守口大根、しょうが、メロン」などの野菜を
酒粕と味醂粕でつけ込んであるようです。
山崎屋 奈良漬
封を開けると、お酒の香りがします。
もったいないので、少しだけ端のほうを切って、
炊き立てのごはんに乗せて食べました。
独特の香りと歯ざわりがよくて、おいしいです。
明日から雨の予報なので、今日もがんばって庭仕事。
筋肉痛になりそう(笑)。
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