みどりの一期一会

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生活習慣と病気の関係/コレステロール:(上)「高いと長生き」巡り論争(下)男女の治療、一律にせず

2010-12-21 18:02:32 | 健康/くらし/薪ストーブetc
12月18日の岐阜新聞の生活欄「すこやかゼミ」に、
「生活習慣と病気の関係」という記事が載っていて、
とても興味深く読みました。



国立がん研究センターの「多目的コホート研究」という研究で明らかになった
日本人の解析結果、おもしろいです。
webを捜したのですが、記事がアップされていないので、本文を少しだけ紹介。

生活習慣と病気の関係
やせすぎは健康上高リスク
コーヒーで肝臓がんを予防

2010.12.18 岐阜新聞

約11万人の健康状態を追跡して日本人の生活習慣と病気の関連を明らかにしようとする国立がん研究センターの「多目的コホート研究」が1990年の開始以来、20年を迎えた。最近も、ご飯をたくさん食べる女性は糖尿病になるリスクが高いといった目を引く結果が発表されるなど、続々と成果が上がっている。
「多目的コホート研究」成果
□日本人のデータ

 コホートとは年齢や居住地など一定の条件を満たす特定集団を指す。開始当時は岩手と秋田、長野、沖縄各県の計14市町村と東京都葛飾区の40~59歳の健康な住民を対象にし、さらに93年には別の住民集団を追加した。これらの集団でがんや心筋梗塞、脳卒中、糖尿病などを発症した人と、喫煙や飲酒、食事、運動などのアンケート項目や健診結果、保存血液の分析結果がどのような関係にあるのかを解析する。・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・以下略・・・・・・・・・・・・・


以下の国立がん研究センターwebに元データが詳しく出ているので、
関心がある方はホームページをご覧ください。

 「多目的コホート研究」(国立がん研究センターweb)

 多目的コホート研究(JPHC Study)現在までの成果

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毎日新聞にも、16日と17日に二日続きで、コレステロールのこと。
「コレステロールは高い方が長生きする」という発表があったばかりで、
悪玉のLDLも善玉のHDLも高目の身には、この記事はとっても参考になります。

コレステロールを考える:/上 「高いと長生き」巡り論争 
 日本脂質栄養学会が「コレステロールは高い方が長生きする」とする見解をまとめ、波紋が広がっている。高コレステロールは心疾患などにリスクがあるという従来の医学の常識を覆すもので、反論も相次いでいる。コレステロールをどう考えるべきか、論争を追った。【小島正美】

 ◇脂質学会、常識覆す見解/動脈硬化学会は批判
 現在の診断基準は、日本動脈硬化学会(北徹理事長)が07年に定め、悪玉のLDLコレステロールが140(1デシリットル当たり140ミリグラム)以上を脂質代謝異常(高脂血症)とする。多くの医療現場でこの基準に沿い、治療や生活改善の指導が行われている。
 これに対し、日本脂質栄養学会は9月、「長寿のためのコレステロールガイドライン」をまとめた。学会理事長の浜崎智仁・富山大和漢医薬学総合研究所教授ら15人で策定委員会を構成。「総コレステロール値あるいはLDLコレステロール値が高いと、日本では総死亡率が低い」とした。全体は14章から成り、高コレステロールの方が脳卒中を発症しにくいことなども記した。
 特徴は「総死亡率」との関連を重視した点で、ガイドラインの名称にも「長寿のための」と冠した。浜崎教授は「95年以降に公表された日本の五つの大規模な臨床試験報告を見ると、40~50歳以上の集団ではコレステロールが高くても、がんや脳卒中、心臓疾患など総死亡率は増えていない」と語る。
 たとえば、大櫛陽一・東海大医学部教授らが解析した神奈川県伊勢原市の「老人基本健診」受診者約2万2000人の追跡調査(95~06年)。男性はLDL140~159の群で総死亡率が最も低く、女性では180以上で最も低かった。策定委員も務めた大櫛教授は「コレステロールが高めの方が肺炎やがんの死亡率が低い傾向にある」と話す。
 浜崎教授は「LDL140以上でも、たいていは薬を飲む必要はない」とし、現在の診断基準が「コレステロール降下薬の使い過ぎを促している」と警告している。
   *
 一方、日本動脈硬化学会は10月、反論の声明をホームページに載せた。日本脂質栄養学会が引用する論文を「ほとんどが査読(複数の研究者による検証)を受けた論文ではない」とし、コレステロール値と動脈硬化性疾患の発症との関係は「多くの科学的検証を経た疫学的論文の一致するところ」と記した。
 総死亡率との関連づけも「年齢や喫煙、高血圧などの要因を考慮して分析する必要がある」と一蹴した。動脈硬化性疾患の疫学を専門とする三浦克之・滋賀医科大教授は「肝臓疾患などでコレステロール値が下がることがあり、コレステロールと総死亡に因果関係があるとするのは無理」と批判する。
 日本医師会も会見で異議を唱え、「高いリスクをもつ家族性高コレステロール血症の患者に服薬を中止している例があると聞く」などと憂慮を示した。
 論争は疫学データの選択や統計処理の問題も絡み、複雑化している。厚生労働省生活習慣病対策室も「学会同士の学問的な論争。国が何かを言う立場ではない」と静観の姿勢だ。
   *
 日本脂質栄養学会のガイドラインを問題視しながらも、コレステロールについてさらなる議論を求める意見もある。
 日本疫学会のウェブ版で今月上旬、自治医科大の調査データの解析結果が報告された。92年から男女1万2334人(平均年齢55歳)を対象に調査し、約12年間追跡した。最初の5年間の死亡を除いても、総コレステロール値が160(LDLだと約80)以下で脳出血、心不全、がんが多かった。
 同データを解析した名郷直樹・東京北社会保険病院臨床研修センター長は、脂質栄養学会のガイドラインを「大きな問題がある」としながらも、「低コレステロールと死亡には関連がうかがわれる。コレステロール降下薬の使い方を含め、もっと議論すべきではないか」と話した。

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 ◇コレステロール

 細胞膜やホルモンなどに欠かせない脂質。肝臓で作られ、食事からも吸収される。結合するたんぱく質の違いによって、善玉のHDLコレステロールと悪玉のLDLコレステロールに区別され、HDLはLDLを減らす働きがある。日本動脈硬化学会は「LDLが140以上」のほか、HDLが40未満、中性脂肪が150以上も脂質代謝異常としている。
毎日新聞 2010年12月16日 東京朝刊


コレステロールを考える:/下 男女の治療、一律にせず 

◇頸動脈の肥厚を考慮 善玉・悪玉の比率にも着目
 佐賀県武雄市の「ニコークリニック」を受診した女性(60)は、悪玉のLDLコレステロールが212(1デシリットル当たり212ミリグラム)と高かった。日本動脈硬化学会の診断基準では、LDLが140以上の人は「脂質代謝異常」とされ、医療現場でもコレステロールを下げる薬が処方される例が少なくない。
 しかし、同クリニックの田中裕幸院長は「閉経後の女性は一般にLDL値が上がる。140を超えたからといって、すぐに薬を出すことはしない」。この女性は他に異常はなく、魚をよく食べ、運動もしていたため、特に治療はしなかったという。
 田中院長は薬を処方しない理由として、「一般的に女性はLDLが200程度まで上がっても、心筋梗塞(こうそく)の発症率が増えないという臨床研究報告が多い」ことを挙げる。
 同学会がまとめた「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」(07年)でも、「女性における冠動脈疾患の発生率は低く、女性の高LDLコレステロール血症は男性以上に他の危険因子の存在を考慮して管理することが必要」としている。「他の危険因子」とは高血圧や糖尿病、喫煙などで、併せ持つ人ほどリスクは高まる。
 田中院長は、コレステロール降下薬を処方するかを判断する際、頸(けい)動脈の「肥厚」(IMT=内膜中膜複合体厚)を調べるという。肥厚は超音波エコー検査で確認できる。頸動脈は動脈硬化を検査しやすい血管で、体全体の状況も反映するとされる。厚みが大きく、血管が狭くなっていれば、動脈硬化が進行している表れだ。
 田中院長は今年4月までに、患者の男女114人(45~69歳)を対象に、LDLの数値と頸動脈の肥厚を調べた。男性ではLDLが高いと肥厚も厚かったが、女性では相関が見られなかった。むしろ肥厚と関係していたのは、脂肪酸の一種のアラキドン酸だったという。「性差を考慮した治療が重要」と、田中院長は強調する。
 個々の数値ではなく、LDLとHDLの比率が重要だとする見方もある。三井記念病院総合健診センター(東京都千代田区)の山門實所長は、内外の人間ドック健診データの分析に基づき、「HDLに対するLDLの割合(LH比)が2・5倍以上だと、頸動脈の肥厚が厚くなる傾向がある」と指摘する。
 悪玉のLDLが正常値でも、善玉のHDLが極端に低ければ、動脈硬化症のリスクが高まることになる。
    *
 先月下旬、「血清コレステロールの管理基準を巡って」と題された公開討論会が、東京大で開かれた。日本脂質栄養学会が「コレステロールが高い方が長生きする」とする独自のガイドラインを発表したのを受け、NPO法人「臨床研究適正評価教育機構」が主催した。
 医療関係者3人が講演した後に討議し、会場から意見も募ったが、脂質栄養学会のガイドラインへの批判の声が多かった。北野病院(大阪市北区)の越山裕行・糖尿病内分泌センター長は「コレステロールを下げることは有害という考えは明らかに間違いだ」などと語気を強めた。
 一方、同NPOの桑島巌理事長(東京都健康長寿医療センター副院長)は「高コレステロール血症が動脈硬化を促す危険因子なのは多くの疫学調査で明らかであり、コレステロールの高い方が長生きと結論づけるのは危険」としながらも、次のように述べた。「脂質代謝異常の基準を男女一律にLDL140以上とすると、不要な治療を促す要因になりかねない。女性の更年期以前と以降の基準値も示す必要がある」
 日本脂質栄養学会は近く、反論の声明を出した日本動脈硬化学会に、質問書を出す予定だ。批判が多い今回のガイドラインだが、コレステロール論議に一石を投じたのも事実。生活習慣病の治療・予防にかかわり、多くの人が関心を寄せるコレステロールだけに、今後も徹底した前向きな論議が期待される。【小島正美】
毎日新聞 2010年12月17日 東京朝刊



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12月20日(月)のつぶやき

2010-12-21 01:30:09 | 花/美しいもの
13:00 from Tweet Button
冷え解消に効果的な生活・食事/落葉した花木の剪定 #goo_midorinet002 http://t.co/3NDr7PS
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