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お風呂に入ってあたたまり、
昨日の毎日新聞の続き、「最高検検証(要旨)」です。
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障害者郵便割引不正:証拠改ざん 最高検検証(要旨) 郵便不正事件とそれに絡む証拠改ざん・隠蔽(いんぺい)事件を巡る最高検の検証結果が24日、公表された。検察側の見立てと矛盾する証拠を軽視して、厚生労働省の村木厚子元局長=無罪確定=を逮捕、起訴した判断を批判した上で、再発防止策として特捜部の独自捜査に録音・録画(可視化)を導入することなどを盛り込んだ。検証結果の要旨を紹介する。 ◇証拠軽視の姿勢批判 ■逮捕の判断の問題 <経緯> 実体のない障害者団体「凜(りん)の会」(解散)代表、倉沢邦夫被告(75)=控訴中=を取り調べた結果、04年2月25日に民主党の石井一・参院議員に厚生労働省への口利きを依頼して引き受けてもらい、同省の担当課長だった村木厚子・同省元局長(54)=無罪確定=に証明書の発行を要請したとの供述調書が作成された。 元局長の上司だった当時の障害保健福祉部長については「石井議員から『凜の会』ヘの証明書の発行について協力を依頼され、元局長に対応を指示した」との供述調書が作成された。元局長の部下だった同省元係長、上村勉被告(41)=公判中=は当初、自ら独断で証明書を作成したと供述したが、09年5月31日以降、「元局長の指示に従って偽証明書を作成した」との供述調書が作成された。 <供述の信用性と証拠上の問題> 倉沢代表は、検察官が元局長に対する具体的な嫌疑を抱く前の段階で、元局長の関与を認め始めた。元係長は逮捕後早期に元局長の指示を認めた。 一方、元係長宅で差し押さえたフロッピーディスク(FD)には、発行された偽証明書と同一内容の「コピー~通知案」と題するファイルが保存されていたが、最終更新日時は「04年6月1日、1:20:06」だった。 倉沢代表の要請を受けた村木元局長が、上村元係長に指示をして偽造証明書を作成させたのは、6月8~10日ごろまでの間であると想定されていたが、ファイルの付属情報(プロパティ)によれば、6月1日午前1時20分ごろまでに偽証明書のデータが完成していたことになる。 大阪地検特捜部元主任検事、前田恒彦被告(43)は、6月1日はデータ作成日であり、印刷日や文書完成日とは異なる可能性があり、データが必ずしも証明書の元になったとは断言できないから、元局長の関与という事実を揺るがすものではなく、今後の捜査で解明できると判断した。 しかし、元係長は「元局長から指示され、その日のうちに証明書の作成に取りかかり、翌日早朝に、公印を押して偽証明書を完成させた」と供述していた。ファイルが証明書のデータだとすれば、プロパティと矛盾することが明らかだった。 前田元検事による証拠隠滅事件の捜査の過程で、証明書と同一内容のデータの「前回印刷日時」が04年6月1日未明であることが判明したが、前田元検事らはFDを解析してファイルが印刷された日時を捜査することに思い至らなかった。このような捜査が尽くされていれば、元係長が6月1日未明に同データを印刷したことを前提とした捜査がなされたものと思われる。 <逮捕の判断> 前田元検事は捜査の経緯、関係者の供述などから、元局長が偽証明書の作成に関与した疑いが強いと判断しており、FDの問題も今後の捜査により解明できると判断した。だが、客観的証拠との整合性を含め、供述の信用性を吟味することが極めて重要であることを考えれば、逮捕前に行うべき捜査や検討は可能な限り尽くしておく必要があった。 大阪地検内でも検事正、次席検事及び特捜部長らも含めて、これらの点を十分に検討・協議し、上級庁にも、速やかに報告して協議し、必要な捜査を尽くした上で、逮捕の可否について慎重な検討を行うのが相当であった。元局長の逮捕の判断には問題があったと言わざるを得ない。 ■起訴の判断の問題 <証拠上の問題> FDの問題点が元局長の関与を揺るがすものではないという前田元検事の判断は、供述証拠と客観的証拠との整合性を冷静かつ慎重に吟味・検討する捜査の基本を軽視するものと言わざるを得ない。 倉沢代表が証明書を受領した前後の経過も関係者の供述はあいまいで整合しておらず、証拠上明らかにならなかった。倉沢代表が元局長から証明書を受領したという一貫した内容の調書が作成されていることは重要だが、これらの点が解明されなかったことは、授受の事実に疑問を生じさせる問題として慎重な検討が必要だった。 大阪地検は、口利き依頼について石井議員の取り調べを行うことを検討したが、証拠関係やその他の事情を踏まえ、処分前ではなく総選挙後に取り調べることとし、大阪高検と最高検の了承を得た。 その後「平日は東京にいた」との石井議員の供述調書が作成されたが、石井議員は公判で「04年2月25日は早朝からゴルフをしていた」と供述し、これに沿うゴルフ場の回答が得られた。倉沢代表や元部長の供述の信用性を冷静かつ慎重に吟味するという観点から、処分前に石井議員を取り調べることを検討する必要があった。 <起訴の判断> 当時、FDの問題などいくつかの重要な点で捜査が尽くされておらず、慎重な検討を要する問題が存在した。それらは上村元係長や倉沢代表らの供述の信用性に関わるもので、元局長の関与の有無に関する立証に大きな影響がある問題だった。 前田元検事は公判で元局長の有罪を立証できると判断したが、現段階で証拠関係を冷静に検討すれば、全証拠を把握し得た検察官としては、証拠上の問題点を解決しないまま元局長を起訴するという判断をすべきではなかったと考えられる。 ■取り調べ、決裁 <取り調べの問題> 大阪地裁は検察官が証拠請求した8人の供述調書のうち、上村元係長や倉沢代表らの調書採用を却下した。 元係長の調書の採用請求が却下された理由は「検察官から『記憶があやふやであるなら関係者の意見を総合するのが一番合理的じゃないか。多数決のようなものだから私に任せてくれ』と言われた」との元係長の公判供述を否定できず、検事が想定していた内容の検察官調書を作成した疑いを排斥できないというものである。 倉沢代表の供述調書の証拠採用が却下された理由は、担当副検事の取り調べには、他の関係者の供述内容を伝えるなどした誘導があったとみられる上、他者の供述や検察官の意図に合わせて調書を作成しようとする姿勢がうかがわれるというものであった。 必ずしも相当とは言い難い誘導により、客観的証拠や客観的な事実と整合しない供述調書が作成されたのではないかと疑われるものが少なからず存在し、取り調べに反省すべき問題があった。 <指導と決裁をめぐる問題> FDの問題をはじめ、解明を要するいくつかの重要点が決裁過程で取り上げられず、議論も検討も行われなかったことは、極めて重大な問題である。 原因はまず、前田元検事がこれらの問題点を決裁の会議等において上司に報告しなかったことにある。消極証拠や供述の不整合の問題点を上司に報告しないで決裁を得ようという意識や姿勢自体が問題であった。 当時の大阪地検特捜部における指導及び決裁の在り方にも重大な問題があった。捜査の過程において、当時の特捜部長、大坪弘道被告(57)と当時の特捜部副部長、佐賀元明被告(49)に対して、供述調書の写しが届けられていたが、大坪前部長は捜査会議を開くこともなく、佐賀元副部長には実質的な関与をさせず、重層的、組織的な検討やチェックをされていなかった。 大坪前部長らは捜査の着手及び処分等の決裁時においても、前田元検事に対し、関係者の供述とこれに対応する客観的証拠の有無・内容を対照した資料等を作成させることもなく、主要な証拠物の報告や提示を求めることもなかった。 大坪前部長は特捜部所属の検察官が消極的な意見を述べることを好まず、そのような検察官に対し理不尽な叱責を加えることもあった。このような対応が、部下の検察官に消極証拠についての報告をためらわせ、前田元検事が本件FDの問題を大坪前部長に報告しなかった要因の一つとなったと認められる。 捜査・処理に関する大阪地検内の決裁は、特捜部の他の事件と同様、着手前、処分時などに検事正、次席検事、大坪前部長と前田元検事らが出席し、元検事が報告書に基づいて報告・説明を行うという形で行われた。 検事正と次席検事は報告書が不十分だったにもかかわらず、必要な補充をさせることなく、詳細な証拠関係、客観的証拠の有無・内容、消極証拠の有無・内容等を十分に報告させないまま、着手や処分の決裁を行った。 <高検、最高検> 大阪高検では、地検内の決裁と同様に検事長、高検次席検事、高検刑事部長、大坪前部長、前田元検事らによる会議が開かれ、元検事が報告書に基づいて報告、説明を行った。FDなど証拠上の問題点については報告されなかったため、それを把握できないまま、特に問題はないものとして、捜査の着手及び処分が了承された。 最高検での検討は、担当検事が電話で報告・説明を受け、検討結果を最高検刑事部長、次長検事及び検事総長に報告して了承を得る形で行われた。元局長の処分の検討は、高検刑事部長が最高検を訪れ、最高検の検事と協議の上、検事総長及び次長検事に、報告書に基づき処分の方針を報告し、了承を得た。 この際、大阪高検の検討に使用された報告書が送付され、最高検の担当検事が1~2枚程度にまとめた資料を別に作成した上、これに基づいて検事総長らに報告した。FDの問題など証拠上の問題点については大阪高検から報告されなかったため、把握できないまま捜査の着手及び処分が了承された。 今回の事件のように主任検察官が意図的に証拠上の問題点を報告しないまま地検の決裁を得た場合には、高検や最高検が問題を探索して把握することは困難だった。しかし、再発防止の観点からは、上級庁が具体的な証拠関係の把握及び検討を行い、適切な指導を行う体制を構築することにより、適正な検察権の行使を確保しなければならない。 ◇最高検、高検に特別捜査係 ■再発防止策 <特捜部の事件の捜査・処理の適正化のためにただちに開始する方策> (1)11年2月から、容疑者を逮捕した事件や検事正が必要と判断した事件については、起訴または不起訴の処分を行う場合に高検検事長の指揮を受けなければならないこととする。高検に特別捜査係検事を配置して証拠関係の十分な検討等を行う。最高検にも特別捜査係検事を配置し、必要な指導を行う。 (2)自白の任意性・信用性などに関わる取り調べ状況の立証方法を検討する必要があることから、容疑者の取り調べの録音・録画を試行する。真相解明や関係者の名誉・プライバシーへの影響も踏まえ、11年2月ごろまでに方針を策定する。 (3)主任検察官を総括的に補佐する検察官を配置し、証拠の分析・整理、証拠物の管理等を行わせる。主任は全証拠書類と主要な証拠物の内容について、上司及び上級庁に写しを提出するなどして報告するとともに、証拠上の問題点と検討結果を報告する。上司、上級庁は、消極証拠を含む証拠関係を十分に把握・検討して適切な指導・監督ができるようにする。 (4)特捜部が担当する独自捜査事件では、事案に応じ捜査に必要な数の検察官及び検察事務官を確保する。主任検察官を総括的に補佐する検察官は、証拠上の問題点を主任だけでなく上司等に報告する義務を負うべきものとするなど捜査体制の在り方を周知徹底する。コンピューターや会計等に関し、専門的知識をもって分析・検討を行うことができる体制の拡充を図ることが必要である。 (5)特捜部長・副部長は証拠を直接把握して問題点の検討を行うことや、証拠に基づき当初の見立てを変更し、あるいは捜査から撤退することを含め、適切な指導及び決裁の在り方等を周知徹底する。決裁官となる検察官の研修を強化する。 (6)公判を担当する検察官は、客観的な視点で事件の記録や証拠を精査し、捜査の過程で判明していなかった重大な問題点が明らかになった時は、公訴の取り消し等を行うべきか否か検討することなど、公判活動の在り方等について改めて指導し、周知徹底する。 (7)11年4月以降、特捜部が独自捜査事件で押収したハードディスク、FD、USBメモリーなどの電磁的記録媒体は複写物を作成した上で、原本を封印して保管するなど、電子データの解析、分析等は原則として複写物を利用する取り扱いとする。 <継続的な検証及び指導の充実強化> (1)今回だけでなく、過去にとられた各方策の実施状況や効果、問題点を検証し、全国の検察庁に対し必要な指導を行う部署を11年4月をめどに、最高検に設ける。1年後をめどに、検証の結果を取りまとめ、公表する。 (2)11年2月上旬をめどに、公正な検察権行使に関する基本的な原則ないし心構えについての案を最高検で作成して公表し、周知徹底する。 (3)検察官、検察事務官を問わず、会同や研修等の機会を通じて、違法な行為の発生に対する適正な対応の重要性を周知徹底する。 <早急に結論を得るよう検討すべき事項> (1)厳正公平な評価に基づき、全国的視野に立って、適材適所の人事配置を実現することが、極めて重要な課題であり、効果的な措置を講じる必要があることから、11年のできる限り早い時期に結論を得るよう、引き続き検討を行う。 (2)公判段階で供述調書の信用性が問題となる際、検察官が取り調べメモを廃棄したこと自体が裁判所の判断に影響を与える可能性があることも否定できないことから、メモの保管・管理の在り方について、11年3月までに結論を得るよう引き続き検討する。 ◇上からの圧力、引き金 ■背景事情 <見立て> 前田元検事は09年4月下旬ごろ、主任検察官として捜査を始める前、大坪前部長から「何とか元局長までやりたい」「前田君、頼むな。これが君に与えられたミッションだからな」と言われ、元局長を検挙することが最低限の使命であり、これを必ず達成しなければならないと感じた。 元係長は当初、自ら独断で証明書を作成したと供述したが、前田元検事がこの供述を大阪地検及び大阪高検の幹部に報告した際、大阪高検検事長らから一様に、元係長が独断で証明書を作成することは考えられないとの指摘がなされた。 関係者が多数で複雑な共謀の過程を経たような事案においては、見立てないし筋立てを考える必要があることが少なくない。このような見立てはさまざまな角度から捜査を行い、その後に得られた証拠も吟味して、常にこれを検証することにより、柔軟に変更し、または否定し得るものでなければならない。最初から特定の対象者の検挙を最低限の使命ないし目標と定めることにより、その後に得られた証拠の十分な吟味がおろそかにされることがあるとすれば、証拠に基づく捜査・処理という捜査の基本と相いれないものである。 前田元検事が証拠を十分に吟味しなかったことや、FDの内容を上司に報告せず、最終的にデータ改ざんに至ったことなどの背景には、元局長の検挙を最低限の使命として、それを達成しなければならないと考えながら捜査を進めたことがあったと考えられる。 <当時の大阪地検特捜部の問題点> 大坪前部長は供述調書の写しは届けさせていたものの、主要な証拠物を自ら検討することはなかった。今回の事件の捜査は、部長及び副部長による十分な事件の把握と適切な指揮・指導がなされないまま進められた。そのことが必要な証拠の収集・検討を不十分、不徹底なものとし、前田元検事が上司に重要証拠の存在を報告しなかったことや証拠を改ざんしたことの要因となったと考えられる。 大坪前部長は、自身の意向に沿わない検察官に「特捜部から出て行ってもらう」といった叱責を加えることもあった。そのことが、大坪前部長に消極証拠の存在や問題点を指摘したり、捜査の継続に疑問を呈するなどの大坪前部長の意向に沿わない意見を述べることを事実上困難にしていたものと考えられる。 <人事配置の問題> 大阪や周辺に住居を構えた検察官は大阪を中心とした異動を希望する傾向があり、現実に希望がかなう割合が高い。このような背景の下、大阪高検及び管内地検においては一定の限られた人材の中から適任者を選定してきたという実情がある。幹部と部下の間で親密な人間関係が形成されやすい傾向も生じ、適材適所の人事を行うことが困難となり得ることも考えられる。 最高検は人事異動案の策定に積極的に関与し調整・指導を行ってきたが、十分な効果を上げていない点があったと考えられ、率直に反省する必要がある。 <特捜部の一般的な状況> 捜査当時の大阪地検特捜部の問題点が、特捜部一般に共通するものであるかという点についてみると、大坪前部長の前任者の当時は検察官が問題点等の情報を共有して検討・協議が行われており、主任検察官が上司に報告することをためらうということもなかったものと認められる。 これらの点は、東京地検及び名古屋地検の特捜部においても異なるところはない。しかし、捜査当時の大阪地検特捜部には現実に問題点が存在し、それが背景ないし要因となって本件を巡る一連の事態が生じたことからすると、特異事例とするのではなく、検察が組織として、特捜部の行う事件に関する指導及び決裁の在り方等について、十分な対応をとることが必要である。 ■公判遂行上の問題 <証拠改ざんが判明した後の対応> 公判に立ち会った検事の一部は10年1月末ごろ、前田元検事がFDのデータを改ざんしたことを知った後も、公判活動に従事した。証拠改ざんを認識した後、問題が検事正らに報告され、その対応が検事正らに委ねられたものと認識し、事態の推移を見守っていた。 検事から報告を受けた公判部長らは、初公判で改ざん前のプロパティ情報が明らかとなっており、改ざん自体が公判の進行や弁護人の活動等に影響を与えることもないと判断し、従来の方針に従って公判を遂行すべきだと判断した。 大坪前部長らから検事正らに対し真実の報告がなされ、検事正らが適切な対応をしていれば、証拠隠滅事件に関する捜査・処理とともに、捜査状況などに関する徹底した調査を実施することになったと考えられる。調査が実施された場合、公判に関しても元局長の弁護人に対し、証拠改ざんの事実を明らかにする等の対応をとることも考えられ、場合によっては公訴を取り消すことも検討されたものと思われる。 FDが改ざんされたことの重大性を考えれば、公判部長らは検事正らに対し、前田元検事による証拠の改ざんの疑いがあることを弁護人等に明らかにすることを含め、今後の公判活動の方針について報告するなど、厳正な対応が必要であったものと考えられる。 改ざんした前田元検事が公判に立ち会うことは、適正な公判活動が期待できないという疑問を生じさせるもので、公益の代表者たる検察の対応として許されないものであった。 <論告の対応> 公判では供述調書の証拠採用が却下され、検察官の主張立証に問題が生じたが、検察官の主張を支える証拠も存在した。しかし、遅くとも論告までの間、前田元検事による証拠の改ざんを含めて捜査状況に関する徹底した調査等が実施された場合には、有罪を求めないことを含め、論告段階における適切な対応の在り方も検討されたものと思われる。 ■証拠改ざんの問題 前田元検事は、元局長の公判の紛糾や上司からの叱責を避けるため、元係長にFDを返還することにより、証拠開示の対象とならないものとしようと考えたと認められる。 供述証拠と客観的証拠の整合性を軽視するなど、証拠関係の評価に問題があったが、前田元検事が元局長の関与がなかったと現実に考えていたと認めることは困難である。 大坪前部長が意に沿わない処理をした部下に特捜部から出て行ってもらうという趣旨の発言をしており、前田元検事に元局長の検挙を最低限の使命(ミッション)と命じていた。前田元検事は上村元係長が単独犯だと供述したことを報告した際、多くの幹部から元係長が独断で偽証明書を作成するとは考えられない旨の指摘を受けた。 一連の事実が前田元検事に上司の意向に沿う成果を上げなければならないとの強いプレッシャーを与えたと思われる。前田元検事が改ざんに及んだ背景には、こうしたプレッシャーがあった可能性も否定できない。 もっとも前田元検事が今回の事件以外に証拠改ざんを行った事実は認められなかった。 ■隠蔽を巡る問題 大坪前部長と佐賀元副部長は、前田元検事が証拠隠滅の罪を犯したことを知りながら、これを知る検事に他言を禁じ、前田元検事に過誤と説明するよう指示した上、事実をすり替えて捜査を行わず、隠避させたのは言語道断。職責に違背し巧妙かつ組織的な隠蔽工作を行ったことは極めて重大な問題であった。 次席検事と検事正は前部長らから虚偽報告を受け、データが改ざんされたとは全く考えず疑念すら抱かなかった。しかし、公判担当検事がFDのデータが書き換えられたと指摘しているとの報告を受けたのであるから、詳細な説明を受け、指摘の根拠を含めて事実を調査し、上級庁に報告するなど適切な措置を講ずる必要があった。 毎日新聞 2010年12月25日 東京朝刊 |
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