みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

今週の本棚:<おんなの思想>/読書日記:社会学者・上野千鶴子さん 就職戦線 埋まらない男女の差(毎日新聞)

2013-07-30 19:29:38 | ジェンダー/上野千鶴子
「市民派議員塾」の打ち合わせで、名古屋のホテルに泊まって帰ってきました。
毎回こうして勉強会のたびに、企画の段階と直前の二回、電話やメールなどの雑音を避けるために外で、
集中して話し、かつリラックスすることが、気分転換をかねての楽しみになっています。

帰宅すると、いつものように土曜日からの新聞が山積み。
そのうえ今回は、参加者に出した課題の情報公開資料が届いていたので、
まる一日かかって、荷物を開封し、課題のファイルと照らし合わせて読み込みました。

目がしょぼしょぼしてきたので、休憩がてら、
コーヒーを飲みながら新聞に目を通していたら
毎日新聞の「今週の本棚」で、上野千鶴子さんの<おんなの思想>の書評を見つけました。

 

 今週の本棚 <おんなの思想>
上野千鶴子著(集英社インターナショナル・1575円)

2013.7.28 毎日新聞

 フェミニズムに共感しなくてもいい。だが、セクハラ問題を自覚しない<おとこ>たちが少なくないのは、いかがなものか。性差別だのジェンダーだのを俎上にのせる本書が七面倒くさい議論をしているな、と思うかどうかは<おとこ>の試金石になる。いや<おんな>にとっても同じだ。「思想などなくても、ひとはセックスし、孕み、産む。それを自然であり本能であると言い放つのは、思考停止と怠慢というほかはない」と突きつけられれば、どうするか。
 <おんな>闘士として名高い著者だが、本書では若いころからの読書をたどりながら「男ことば」しかなかった世界と血みどろで格闘する。先人たちから吸いとった「わたしの血となり肉となったことばたち」。思考する営みとはなにか。まるで刃物のように迫ってくる。
 古代のイシュタルもアフロディテも愛の女神であるとともに戦いの女神でもあった。その裏表の姿が実感できるとすれば、それこそ<おんな>の思想ではないだろうか。本書にはそれだけの凄味がある。
 それにしても、カラオケで流れる歌詞なんぞ反フェミニズムの宝庫か、と朦朧としたきた。(凌)


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上野さんは、毎日新聞の夕刊テレビ欄の「読書日記」にも月一回のわりで執筆されていて、
ちょうどこの7月23日が、上野さんの番でした。

  読書日記:今週の筆者は社会学者・上野千鶴子さん 就職戦線 埋まらない男女の差 
毎日新聞 2013年07月23日夕刊

 *6月24日〜7月22日
 ■就活生の親が今、知っておくべきこと(麓幸子著、2011年)日経プレミアシリーズ
 ■しあわせに働ける社会へ(竹信三恵子著、2012年)岩波ジュニア新書
 ■女子のキャリア(海老原嗣生著、2012年)ちくまプリマー新書


 大学生の就活開始時期が3年生の3月に延期されたという。一昔前「就職協定」があった頃には7月開始だった。それがどんどん前倒しになり、3年の秋から。2年生や3年生の夏にインターンを導入している企業もある。4年の5月にはほぼ内定をゲット。それ以降にも決まらない学生は卒業まであせりまくる、という就活の「定番」はいつからできたのか。このせいで3年後期から学生は浮足だち、内定をとればとったで学習意欲がいちじるしく低下して4年制大学の後期教育課程は崩壊の危機に直面している。

 不況下で新卒内定率は依然、低いままだ。景気が上昇しても先進国では「雇用回復なき景気回復」のパターン。海外での雇用は拡大するかもしれないが、国内雇用は精選される。湯浅誠さんが「どんとこい、貧困!」(イースト・プレス)でいう「椅子取りゲーム」の椅子の数が大幅に減少していることを学生たちはよく知っているからこそ、就活に血眼になる。今でも彼らの望みは、大企業の終身雇用をゲットすることだ。

 就活の学歴差、学校間格差の大きさはつとに指摘されているが、それと並んで大きいのがジェンダー差。就活戦線は男子と女子とではいちじるしく違う。

 日経ウーマンの元編集長、麓幸子さんには「就活生の親が今、知っておくべきこと」がある。「母と子の444日就活戦争」と帯にある本書は、ご自分の息子さんの就活体験にもとづいて書かれたものだが、そのなかに、「女子学生とその親たちに伝えたいこと」という章がある。麓さんは本書刊行から2年後、下の娘さんの就活期を迎えて、リアルタイムで「続・母と子の就活戦争」を日経電子版でWeb連載中。読者もつい応援団の気分になる。

 「雇用のカリスマ」海老原嗣生さんの「女子のキャリア」は、帯に「<男社会>のしくみ、教えます」とある。海老原さんは雇用の「一番の問題はジェンダーでしかない」と言い切る。もう1冊似たようなテーマを扱った本に、永濱利廣「男性不況」(東洋経済新報社)がある。が、この種の本にありがちな「男の職場を奪ったのは女」ととられかねないあおりがあるのは、感心しない。副題に「『男の職場』崩壊が日本を変える」とあるが、「男の職場崩壊」を招いたのは女性ではないし、かえってこれまで男性がその能力にかかわらず不当に「優遇」されてきたことを証明するようなものだろう。
 新聞記者として長く女性の労働問題にとりくんできた竹信三恵子さんの「しあわせに働ける社会へ」は、「こんな働き方でいいのか」と問いかける。竹信さんの著書では「労働時間の総量規制」や「同一労働同一賃金」のような政策課題が解決策として登場する。現状の働き方に合わせるよりも「しくみを変える」ことが必要だ、と。

 男も女も働いて家庭を支え、子どもを産み育てる……そんなあたりまえのことがなぜできないのか? 内閣府の外郭団体、家計経済研究所が不況下の10年間、同じ女性集団を追い掛けたパネル調査にもとづく「女性たちの平成不況」樋口美雄・太田清編(日本経済新聞社)によれば、非正規雇用の女性より正規雇用の女性のほうが、結婚確率も出産確率も高いことがはっきりわかっている。このデータが教える少子化対策の処方箋は、女に安定雇用を保証することだ。雇用崩壊が進み、働く女性の6割近くが非正規雇用の今日、このままでは、日本に子どもが増える兆候はない。

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 筆者は上野千鶴子、福地茂雄、朝吹真理子、苅部直の4氏です。
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 ■人物略歴

 ◇うえの・ちづこ
 東京大名誉教授、認定NPO法人「ウィメンズアクションネットワーク」理事長。「おひとりさまの老後」など著書多数。


そうそう、7月の『現代思想』の特集は、4月に"三度目の正直"で来日されたA・ネグリさんの、
「ネグリ+ハート 〈帝国〉・マルチチュード・コモンウェルス」で、
ここにも「日本のマルチチュード ケアをめぐる実践」を上野千鶴子さんが執筆されています。

  『現代思想 2013年7月号』 
特集:ネグリ+ハート  〈帝国〉・マルチチュード・コモンウェルス

【インタビュー】
マルチチュードの現在 原子力国家・反ナショナリズム・力の契機 / A・ネグリ 中村勝己(聞き手・訳)
『コモンウェルス』をめぐって / M・ハート L・シュワルツ(聞き手) 駒居幸+山本繭子訳
【討議】
『コモンウェルス』をめぐる往還 / A・ネグリ M・ハート D・ハーヴェイ 吉田裕訳
【応答】
日本のマルチチュード ケアをめぐる実践 / 上野千鶴子
「我々はみなネグリ主義者である」、あるいは分離の論理の行方 / 市田良彦
【〈共〉】
「女」を排除しない「共」の可能性 / 伊田久美子 
ネグリ/ハートの制度論の限界と可能性 〈共〉のエコロジーに向けて / 廣瀬浩司 
【潜勢力】
ネグリ+アート / 岡田温司 
分解の哲学 / 藤原辰史 


アントニオ・ネグりのシンポジウムは、最初の来日がかなわなかった時に聞き逃していますので、
興味をもって、特集を読みました。

とはいえ、
いつものことですが『現代思想』って難解ですねぇ(笑)。

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7月29日(月)のつぶやき

2013-07-30 01:08:09 | 花/美しいもの

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