昨日の最高裁の「婚外子の相続差別は違憲」の決定。
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平成24年(ク)第984号,第985号 遺産分割審判に対する抗告棄却決定
に対する特別抗告事件 平成25年9月4日 大法廷決定(最高裁)
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【社説】婚外子差別違憲 つらい思いに終止符を 2013年9月5日 中日新聞 婚外子の遺産相続は、法律婚の子の半分-。この民法の規定を最高裁が「違憲」と断じたことは、明治民法から続く婚外子差別の解消を迫る大転換である。国会は早急に不平等な法を正すべきだ。 「子にとって自ら選択する余地のない事項で、不利益を及ぼすことは許されない」-。最高裁の決定は、婚外子の差別に「憲法違反」を突きつけた。憲法の「法の下の平等」などに照らし合わせれば、当然の結論といえよう。 結婚していない男女の子も、個人として尊重され、権利も保障されねばならない。だが、婚外子の相続分は半分しか認められてこなかった。百十五年前の明治民法で、この定めが盛り込まれたのは、戸主を長とする「家制度」があったからだ。戦後の民法改正でも、そのまま引き継がれていた。 こんな規定が今も残るのは、先進国では日本だけだ。欧米諸国は一九六〇年代後半から次々と、差別撤廃を遂げた。それを考えると、決定は遅すぎたほどだ。 婚外子差別をめぐって、最高裁大法廷は九五年に「合憲」とし、それ以降も小法廷で「合憲」を続けてきた。法律婚を重視したことや、国会の裁量権に委ねた結果だ。だが、戦後間もない時期にも改正論はあったうえ、九六年には法制審議会が「相続分は同等」とする改正案を答申している。直す機会は過去にあったのだ。 平等化を阻んできたのは、「不倫を助長する」「家族の絆を弱める」といった国会議員らの反対の声だ。だが、内閣府の世論調査では、婚外子への不利益な扱いについて「してはならない」との意見が今や61%にのぼっている。 事実婚やシングルマザーが増加している社会の変化も大きい。国連の人権機関も差別をなくすよう勧告を繰り返している。 尊属殺人の重罰規定など、最高裁が法律の定め自体を違憲と判断したのは、今回を含め、九件しかない。国会議員はその重みをよく考えてほしい。法そのものを変えないと、裁判を提起しない限り、婚外子は救われない。だから、早く法を是正すべきなのだ。 相続格差のほかにも、問題は残る。出生届には嫡出子かどうかのチェック欄がある。未婚の母には、税法上の不利益もある。父から認知されていない子は、遺族基礎年金などを受給できない。 「同じ父親から生まれたのに、なぜ?」-。こんなつらい思いには、もう終止符を打ちたい。 |
社説:婚外子差別違憲 長かった平等への道 2013年9月5日 毎日新聞 最高裁大法廷が、民法の相続格差規定について、従来の合憲判断を見直し、14人の裁判官全員一致で違憲判断を示した。 結婚していない男女間の子(婚外子)の遺産相続分を、結婚した男女間の子の半分とした規定だ。法の下の平等を定めた憲法14条に違反するか否かが最大の焦点だった。 審理の対象となったのは、2001年7月と11月に亡くなった男性の遺産相続が争われた2件の家事審判だ。大法廷は決定の中で「相続格差規定は、遅くとも01年7月時点で、憲法14条に違反していた」と述べた。最も基本的な憲法の人権規定を重くみた判断であり、違憲の結論は当然の帰結だ。 ◇家族の多様化が背景に 大法廷は1995年、現行の民法が結婚の届け出を前提とする法律婚主義を採用していることを根拠に、規定を合憲と判断していた。 だが、この規定は、115年前の明治時代に施行された旧民法の規定を戦後、受け継いだものだ。 戦後民主主義が広く社会に浸透し、結婚に対する考え方も変化した。近年では、事実婚やシングルマザーも増えた。離婚した後に事実婚を選択する人もいるだろう。家族の形は多様化している。国民意識の変化に照らしても、規定の合理性は徐々に失われてきたといっていい。 世界的にこうした規定は撤廃され、少なくとも欧米にはない。先進国で同種規定があったドイツで98年、フランスでも01年に法改正が行われ、平等化が実現した。 国連自由権規約委員会は93年、「差別を禁じる国際規約に反している」として、規定廃止を日本政府に勧告した。その後も、国連の人権機関が勧告を繰り返している。国際社会の潮流からも、相続平等への道を歩むのは避けられなかったといえる。 決定も、そうした歴史や国際的な動きに言及したうえで、「法律婚という制度自体はわが国に定着しているとしても、子にとっては自ら選択ないし修正する余地のない事柄を理由として、その子に不利益を及ぼすことは許されない」との結論を導いた。その意味では、95年時点で違憲判断に踏み込んでもよかったはずで、時間がかかったのは残念だ。 最高裁が、国際社会の動向を重視したのは、今回が初めてではない。大法廷は08年、日本人父とフィリピン人母の間に生まれた婚外子の子供たちが、日本国籍の確認を求めた訴訟の判決で、出生後の国籍取得に両親の婚姻を必要とする国籍法の規定を違憲と判断した。 大法廷はこの判決で、「家族生活や親子関係に関する意識の変化やその実態の多様化」を根拠として挙げ、「諸外国が婚外子に対する法的な差別的取り扱いを解消する方向にあること」も考慮したとの判断を示した。この考え方は、今回の決定にも受け継がれた。婚姻を前提とした「家族のつながり」を重視する伝統的な家族観を認めつつも、価値観の多様化が進む中で、婚外子を含めた家族の実態に目を向ける司法の姿勢を示したものといえる。 最高裁が少数者の声に真正面から向き合ったことも評価できる。社会の価値観が変わってきても、日本の出生全体に占める婚外子の割合は約2.2%だ。「子供に責任のない出生によって、法的な不利益を受けるのはおかしい」との当然の主張が、少数ゆえに政治の場で長年顧みられなかった。そこに司法がやっと光を当てた意味は小さくない。 ◇国会は早急に法改正を 最高裁の違憲立法審査権については、ともすれば、行政府・立法府の裁量を広く認め、国民の基本的な権利を重くみない「司法消極主義」との批判がついてまわる。 もちろん、立法府が十分に機能していれば、司法が前面に出るケースは限られる。だが、国会の現状をみた場合、特に国民の基本的人権に関わるようなテーマでは、積極的な姿勢も必要ではないだろうか。 大法廷の違憲判断を受けて、国会は法改正を迫られた。早急に民法改正の作業に入るべきだ。 もともとこの問題では、法相の諮問機関である法制審議会が96年、相続の平等実現や選択的夫婦別姓の導入を盛り込んだ民法改正案を答申した。だが、伝統的な法律婚重視を主張する国会議員の反対が強く、法案は提出されず、十分な議論は行われてこなかった経緯がある。 だが、もはや遅滞は許されない。相続差別の撤廃を優先するとしても、多様な家族観を前提とした大法廷の決定の趣旨を踏まえれば、選択的夫婦別姓の実現についても、しっかり議論をしていく必要がある。 婚外子の差別は、相続だけに限らない。出生届には、今も「嫡出子」「嫡出でない子」のチェック欄が残る。また、パートナーと死別・離別した女性が対象の「寡婦控除」で、所得税や住民税の控除は婚姻歴のある母に限定され、未婚の母には適用されない。事実婚の婚外子の親権は、父母いずれかの単独親権だ。 今回の決定を機に、不合理な差別的扱いがあれば、積極的に是正していくことが求められる。また、決定を踏まえた相続実務で混乱がおきないよう関係当局は努めてほしい。 |
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社説:婚外子差別―遅すぎた救済のつけ 2013年9月5日 朝日新聞 両親が結婚していたかどうかで子どもの相続分に差をつける民法の規定は、法の下の平等を定めた憲法に違反する。 最高裁大法廷がようやく判断した。 合憲とした前回の大法廷決定から18年。家族のかたちが多様になった。同様の規定があった他の先進国も、とうに改めている。遅すぎた救済である。 対象は01年の相続だ。決定は、遅くてもこの時点で、規定は違憲だったとする。 01年以降も、婚外子がかかわる遺産分割はいくつもあった。最高裁小法廷を含む各法廷でも相続差別規定に基づいた解決がはかられてきた。 しかし、裁判や話し合いなどですでに確定したケースには影響を与えないと、決定は明示している。当事者にとっては納得しがたいだろう。 決定が及ぶ範囲について、法律に近い拘束力を持つ判断を最高裁が示すのは異例だ。 婚外子の権利を保障しなければいけない一方、すでに解決した相続問題を覆すことになれば社会の混乱は大きい。苦渋の選択ではなかったか。 改めて浮かぶのは、この問題を立法で解決しなかった国会の無責任さである。 両親が結婚していたかどうかに責任のない子どもに不利益を与えるこの規定の問題点は、国内外から指摘されて久しい。 そもそも戦前の民法以来の規定である。96年に法制審議会が婚外子も同様に扱う民法改正案要綱を答申していた。 しかし、自民党などは「法律婚の保護が必要」「不倫を助長する」などと反対し、法務省は法案を出せずじまいだった。 すぐに法改正していれば、今回の決定のように、父母の死や裁判などの時期によって、救済されるかどうかが分かれるという不条理な状況は避けられたはずである。 最高裁の違憲判断をもって、民法の規定が自動的に変わるわけではない。担当した裁判官14人の全員一致による決定の重みをふまえ、国会は一日も早く法改正すべきだ。 父母や祖父母の殺人(尊属殺人)をより重く処罰する刑法の規定を最高裁が違憲としたときは、法改正まで検察官が尊属殺人罪ではなく殺人罪で起訴し、判例と法律の差を埋めた。 相続にはこうした手当てが徹底できるとは限らず、法改正の遅れは許されない。 11年には約2万3千人の婚外子がうまれた。今回の決定を、家族それぞれのかたちを尊重しあう新たな出発点としたい。 |
社説[婚外子の相続差別]「違憲」は当然の判断だ 2013年9月5日 沖縄タイムス 「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の二分の一とする」(民法900条4号ただし書き)。 結婚していない男女間の子ども(婚外子)の遺産相続の取り分を、結婚している夫婦の子ども(嫡出子)の半分とする民法の規定である。 この規定が法の下の平等を定めた憲法に違反するかどうかが争われた裁判の特別抗告審で、最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允長官)は4日、違憲で無効だとする決定をした。裁判官全員一致の意見。最高裁が1995年の大法廷決定で「合憲」とした判例の見直しである。遅きに失したとはいえ、評価したい。 最高裁は「家族に対する国民意識が多様化し、海外で差別撤廃が大勢となっている」と決定理由を述べた。 当然の判断である。 95年決定でも15人のうち5人は違憲とする反対意見を述べていた。合憲とした4人も「法改正が適当」と補足意見を付け、国会に法改正を委ねようとしていた節がある。 婚外子の差別的な相続規定は明治時代の1898年施行の旧民法に盛り込まれ、戦後もそのまま引き継がれた。 実に115年がたっている。「正統」の意味合いが込められた嫡出子といい、嫡出でない子を非嫡出子と呼ぶことといい、言葉の中に差別感が宿る。国民意識が変わり、差別規定を維持することのほうが理にかなわない。 裁判は東京都と和歌山県でいずれも2001年に父親が死亡、遺産分割が争われた。家裁、高裁は合憲とし、婚外子側が特別抗告していた。 ■ ■ 事実婚やシングルマザーなど家族観、結婚観が変化し、多様化しているのが現実だ。 内閣府が12年に実施した「家族の法制に関する世論調査」では「嫡出でない子の法律上の取り扱い」について、「不利益な取り扱いをしてはならない」が60・8%。1996年の54・5%から増加している。「嫡出でない子の相続分」について「現在の制度を変えない方がよい」は94年の49・4%から2012年は35・6%に減少している。 婚外子の出生割合も厚生労働省の人口動態調査によると、11年は2・2%に達し、増え続けている。 先進国で、婚外子を差別する規定が残るのは日本だけだといわれる。国連の「自由権規約委員会」や「女性差別撤廃委員会」は、再三にわたって相続差別を撤廃するよう勧告している。スウェーデンやフランスでは婚外子が50%を超え、子育て支援もあって少子化対策にも貢献している。 ■ ■ 国会の不作為を指摘しなければならない。法制審議会(法相の諮問機関)は1996年、相続の取り分を平等とする民法改正要綱をまとめたが、伝統的な家族制度に固執する保守系議員らの反発で、法案提出は見送られた。これまで何度も法案提出の機会があったのに、放置してきた国会は猛省すべきだ。 出生による差別があってはならない。少しずつ改善されてはいるが、差別はまだ残っている。決定が婚外子差別のない社会への大きな転換点になることを期待したい。 |
婚外子の差別/ようやく違憲判断が出た 2013年9月5日 神戸新聞 当然の結論である。むしろ遅きに失したとの印象だ。ようやく日本が国際社会の人権保障の流れに一歩、追い付いたと言っていいだろう。 結婚していない男女間の子(婚外子)の遺産相続分を法律上の夫婦の子(嫡出子)の半分とする民法の規定について、最高裁はきのう、違憲とする初の司法判断を示した。大法廷による決定だ。 「法の下の平等を定めた憲法に反し無効だ」と、理由は至って明快だ。最高裁は「嫡出子の半分の権利を認めることで婚外子を保護している」としてきた自らの合憲判断を全面的に覆した。 この規定は以前から「違憲」との見方があり、過去の司法判断では、最高裁でも裁判官の意見が分かれていた。「灰色合憲」と呼ばれた従来の司法判断の曖昧さが払拭(ふっしょく)されたことで、婚外子は完全な平等の権利を手にすることになる。 最高裁の判断を受けて、政府と国会は民法の改正を急がねばならない。混乱を避けるため、関連する法令などの見直しも同時に進める必要がある。 今の民法は、婚外子の相続分は嫡出子の「2分の1」と定めている。115年も前に作られた「明治民法」の規定だ。戦後、新憲法制定後に民法も改正されたが、規定は残された。法的な結婚を重視する考えを引き継いだとされる。 ただ、出産時の両親の事情は子にはどうしようもない。「両親の法的な関係で差別すべきではない」と批判は絶えず、見直しを求める声が上がっていた。 今回の決定も、遺産相続の権利を制限された婚外子側が司法による救済を求めた家事審判への判断である。 男女が法的に結婚しない事情はさまざまだ。事実婚やシングルマザーの増加などで、家族の形は多様化している。旧態依然とした法の規定が現実に合わなくなっている。 欧米では相続の平等化が進み、婚外子の権利を制限する条項の撤廃が国際社会の大勢だ。先進国で今もこうした規定が残っているのは日本だけで、国連の委員会も再三、是正を勧告してきた。 最高裁が判断を変えたのも、こうした内外の動きを勘案してのことだ。 17年前、法制審議会が民法改正要綱をまとめたが、伝統的な家族観を重んじる保守系国会議員の反対で法案提出に至らず、棚上げされた経緯がある。 今回の違憲判断は、立法府の不作為に対する叱責(しっせき)とも取れる。国会はできるだけ早く法改正に向けた議論を始め、平等の実現に力を尽くす責務がある。 |
平成24年(ク)第984号,第985号 遺産分割審判に対する抗告棄却決定
に対する特別抗告事件 平成25年9月4日 大法廷決定(最高裁)
婚外子の相続分を定めた規定を違憲とした最高裁決定要旨 婚外子の遺産相続分を定めた民法の規定について、最高裁が4日に判断した決定の要旨は次の通り。 1 相続制度を定めるにあたっては、国の伝統や社会事情、国民感情を考慮し、親子関係に対する規律や国民の意識を離れて定めることはできない。制度をどのように定めるかは立法府の合理的な裁量判断にゆだねられている。非嫡出(ちゃくしゅつ)子の相続分を嫡出子の2分の1とする区別が、裁量権を考慮しても合理的な根拠が認められない場合は、法の下の平等を定めた憲法14条1項に違反する。 2 1995年の大法廷決定は、規定は非嫡出子に一定の相続分を認めて保護した面があり、遺言がない時に補充的に機能することも考慮して、憲法に反しないと判断した。しかし1で示したことは時代と共に変遷するもので、規定の合理性は不断に検討されなければならない。 3 47年の民法改正後、婚姻、家族の形態は著しく多様化し、国民の意識の多様化も大きく進んだ。現在、嫡出子と非嫡出子の相続分に差異を設けている国は、世界的にも限られた状況だ。国連の委員会は、差別的規定を問題にして、法改正の勧告等を繰り返してきた。 4 わが国でも、住民票での世帯主との続柄の記載や、戸籍での父母との続柄の記載で、非嫡出子と嫡出子は同様の扱いとされた。法定相続分の平等化の問題もかなり早くから意識され、平等とする旨の法改正準備が進められたが、法案の国会提出には至らず、改正は実現していない。理由の一つには、法律婚を尊重する意識が幅広く浸透していることがあると思われる。しかし規定の合理性は、個人の尊厳と法の下の平等を定める憲法に照らし、非嫡出子の権利が不当に侵害されているか否か、という観点から判断されるべき法的問題だ。 5 当裁判所は、結論としては規定を合憲と判断してきたが、47年の民法改正当時の合理性が失われつつあるとの補足意見や個別意見が、最高裁判決や決定で繰り返し述べられてきた。95年の決定で考慮した補充的な機能も、規定の存在自体が非嫡出子への差別意識を生じさせかねないことを考えると、重要ではないというべきだ。 6 法律婚という制度自体は定着しているとしても、父母が婚姻関係になかったという、子にとっては自ら選択、修正する余地のないことを理由としてその子に不利益を及ぼすことは許されず、子を個人として尊重し、権利を保障すべきだという考えが確立されてきている。 以上を総合すれば、遅くとも本件の相続が開始した2001年7月当時、立法府の裁量権を考慮しても、嫡出子と非嫡出子の法定相続分を区別する合理的根拠は失われており、規定は憲法14条1項に違反していたというべきだ。 7 本決定は、95年の決定やその後の小法廷の判決等が、01年7月より前に相続が開始した事件について、その相続開始時点での規定を合憲とした判断を変更するものではない。 他方、本決定の違憲判断が、すでに行われた遺産の分割にも影響し、解決済みの事案にも効果が及ぶとすることは、著しく法的安定性を害することになるから、すでに裁判や合意で確定した法律関係まで現時点で覆すことは相当ではない。01年7月から本決定までの間に開始された他の相続で、確定的となった法律関係に影響を及ぼすものではないとするのが相当だ。 【金築誠志裁判官の補足意見】 遅くとも本件の相続開始当時に違憲だったとの判断がされた以上、法の平等な適用の観点から、それ以降に相続が開始した他の事件にさかのぼるのが原則だ。しかし拘束性を認めることがかえって法的安定性を害する時は、その役割を後退させるべきだ。各裁判所は、本決定を指針としつつも、違憲判断が必要かも含めて、事案の妥当な解決のために適切な判断を行う必要があると考える。 【千葉勝美裁判官の補足意見】 本決定の効果の及ぶ範囲を一定程度に制限する判示は、違憲判断の効力は個別的とするのが一般的な理解である以上、異例といえる。しかし法的安定性を大きく阻害する事態を避けるための措置であり、必要不可欠な説示というべきものだ。違憲判断の範囲等を制限することは、違憲審査権の制度の一部として当初から予定されているはずで、憲法はこれを司法作用としてあらかじめ承認していると考えるべきだ。 【岡部喜代子裁判官の補足意見】 婚姻期間中に当事者が得た財産は婚姻共同体の財産であり、本来その中にある嫡出子に承継されるべきという見解がある。夫婦は婚姻共同体を維持するために協力し、嫡出子はその協力により扶養されるのが、わが国の一つの家族像として考えられ、現在においても一定程度浸透している。しかし国内外の事情の変化は、婚姻共同体の保護自体には理由があるとしても、そのために嫡出子の相続分を非嫡出子よりも優遇することの合理性を減少させてきた。全体として法律婚を尊重する意識が広く浸透しているからといって、相続分に差別を設けることはもはや相当でないと言うべきだ。 |
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