みどりの一期一会

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派遣労働は今/上 待遇に大きい不満や不安/下 不安定雇用増える恐れも

2013-09-28 22:22:00 | ほん/新聞/ニュース
あたらしい命がやってきました。

市民派議員塾の課題の相談などもあって、ちょっと忙しかったので、
下書きに入れておいた、毎日新聞の「くらしナビ・ライフスタイル」で、
二日連続でのった「派遣労働は今」を紹介します。

派遣労働者の現状をとらえた、タイムリーなよい記事です。

 くらしナビ・ライフスタイル:派遣労働は今/上 待遇に大きい不満や不安
毎日新聞 2013年09月26日 

 労働者派遣法の見直しに向けた議論が、安倍内閣で始まった。同法は昨年、規制を強化する方向で改正されたばかりだが、再び規制緩和にカジを切ろうとしているのだ。法改正に向けた動きを、派遣労働者が置かれている現状と合わせ、2回に分けて報告する。

 派遣労働者は、正社員やパートなど企業から直接に雇用される形態に比べ、雇用関係が少し複雑な契約になっている=図<1>参照。正社員や契約社員が、会社と直接労働契約を結ぶのに対して、派遣労働者の場合、労働契約を結ぶ相手は、労働者を企業に派遣する派遣会社。だが、実際に働く時に指示を受けるのは、派遣された先の会社となる。このため、派遣労働は「三角雇用」とも呼ばれる。

 複雑な雇用関係は、働く人ではなく、企業の需要に対応するためにある。企業側は、人を雇う責任を負わずに、人を働かせることができる。派遣で働く人は、派遣会社が雇用責任を持っているとはいえ、派遣先の都合で仕事がなくなったり、次の仕事が見つかるまで時間がかかったりするなど、一般的に雇用が不安定な状態にある。

 実際にどんな人が派遣で働いているのか。厚生労働省の2012年の派遣労働者実態調査から浮かんだ派遣労働者の男女のモデル=図<2>参照=によると、男性は35〜39歳が16・5%と最多。次いで30〜34歳、25〜29歳と若年層が多い。女性も35〜39歳が最多(21・3%)で、次いで40〜44歳、30〜34歳の順だった。

 男性で35〜39歳が最多なのは、就職氷河期時代に正社員の仕事が見つからずに派遣労働に就き、そのまま続けている人が多いため。女性は、出産などで仕事を辞め、仕事に復帰する際に派遣で仕事を探すケースが多いためとみられる。

 ●生計立てる主収入
 平均賃金(時給)は1351円。男女とも、最も多いのが1000〜1250円未満だ。賃金に対して「満足していない」としているのは35・1%。「満足している」の34・9%をわずかに上回った。

 男女で大きな差があるのは、生活をまかなう収入源だ。男性は91・2%が自身の収入なのに対し、女性は53・4%。女性は配偶者の収入が35・3%を占め、男性は1・4%だ。男性の多くは派遣の仕事で生計を立てている。

 部品組み立てで派遣されている横浜市の男性(34)は「パートと比べ時給が高いと言われるが、通勤費は自腹で手取りは18万前後、ボーナスもない。貯金をする余裕もない」と言う。男性は正社員で就職したが、営業のノルマを達成できないと解雇された。正社員の仕事は見つからず、7年間派遣で働いている。男性は「いつ仕事が切れるか、次があるのか不安な派遣では、将来のめどが立たない。結婚にも踏み切れない」と明かす。

 一方、東京都内在住の女性(37)は、子供が小学校の高学年になったのを機に仕事を探した。女性は「正社員より余裕のある働き方をしたいので、派遣で探した。正社員にこだわっていたらすぐには見つからなかっただろう」と話す。

 派遣労働は、女性が再び仕事を探すケースなどでは有効な手法として機能している。だが、女性でも半数以上は派遣の仕事で生計を立てており、厳しい状況を抱える人も多い。

 ●正社員希望が半数
 同調査で今後の働き方の希望を聞いたところ、正社員が43・2%で、派遣社員が43・1%と拮抗(きっこう)した。しかし、25〜29歳(52・5%)、30〜34歳(52%)など49歳までの働き盛りの年代では、正社員希望が派遣社員を大きく上回った。男女別では、女性の方が正社員を希望する割合が高かった。厚労省幹部は「やむなく派遣で働いているとみられる人が半数近くいることは重要だ」と語る。

 調査結果から見える賃金や不安定な雇用への不安や不満。次回は、厚労省で検討されている派遣法改正は、どこをどう変えることが議論されているのかを報告する。【東海林智】
 


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  くらしナビ・ライフスタイル:派遣労働は今/下 不安定雇用増える恐れも
毎日新聞 2013年09月27日

 ●規制緩和決まれば
 「単に派遣労働者を増やすだけなんじゃないですか」

 厚生労働省の研究会が8月にまとめた、今後の労働者派遣制度のあり方に関する研究会報告に目を通した千葉県在住の派遣労働者の男性(37)は、こう言って顔をしかめた。

 2008年まで自動車部品の製造業務の派遣で働いていたが、リーマン・ショックを受け「雇い止め」に遭った。仕事を失い、住んでいた寮も追い出された。仕事と住居を一度に失うことに恐怖を覚え、製造業務以外の派遣の仕事を選んで働いてきた。安定した仕事に就きたかったが、見つからなかった。

 派遣労働への規制が強まれば、正社員の雇用が増えるのではないかと期待していたが、男性は「期待外れ」と落胆を隠さない。

 派遣労働を巡っては昨年、日々または30日以内の短い期間の「日雇い派遣」の原則禁止など、規制を強化する法改正が行われた。しかし、自民党への政権交代後、同法は1年もたたずに再び規制緩和の方向で見直しの検討作業が始まった。労働者派遣制度の根幹に関わるような内容が、論点に挙がっている。

 これまでは、雇用の基本は期間の定めのない無期雇用(正社員)であり、派遣労働者に任せる仕事は「臨時的、一時的な業務」であることが原則とされてきた。「例外」が拡大して、一時的ではない恒常的な仕事にも派遣労働者が使われることを禁じていたのだ。これを「常用代替禁止」という。

 だが今回の見直しでは、実質的に「常用代替禁止」をやめ、派遣労働者の仕事の範囲や期間を広げる方向で検討されている。

 ●正社員ゼロ法案?
 現行制度では、派遣労働者が働く期間に制限がないのは、専門的な知識や技術を必要とする通訳や翻訳、アナウンサー、財務処理など「専門26業務」に限られている。これら以外の業務では、派遣期間は最長3年まで認められるが、3年を過ぎた業務に派遣労働者を使うことは認められない。3年以上仕事があるということは「臨時的な仕事」とは言えないからだ。

 だが、見直し案では、この「専門26業務」を廃止して、派遣会社と無期契約を結んでいる派遣労働者には、業務に限らず期間制限をなくす。

 また、契約期間が半年や1年など有期契約の労働者については、派遣期間の上限を「一律3年」とするが、労使が協議して「派遣を使うことに問題がない」との結論が出れば、労働者を代えて同じ業務に派遣労働者を使うことを可能にする。一般事務ではこれまで3年までしか派遣労働者を使えなかったが、人を代えれば延々と派遣労働者を使うことができるようになる。

 背景には「仕事を覚えた頃に、派遣として使えなくなる」という企業側の不満がある。派遣労働者側にも「安定した雇用にしてほしい」との思いもあり、見直しはこれを受けた形だ。

 しかし、無期雇用の契約を結んでいる派遣労働者は全体の20%程度に過ぎない。また、有期雇用の契約の場合は3年ごとに仕事が変わることになり、細切れの雇用であることは変わらないとの指摘もある。派遣が際限なく増え、正社員が減り、不安定雇用のみが増える「正社員ゼロ法案」との批判も出ている。

 ●連合は見直し批判
 「常用代替禁止」の原則が崩れれば、企業による際限のない派遣利用が進み、不安定雇用がはびこりかねない。連合の古賀伸明会長は見直し案について「派遣の仕事は臨時的、一時的業務であるべきだ。到底理解できない」と批判する。

 だが一方で、労組に対する厳しい声もある。正社員の雇用を守るため、派遣労働者を犠牲にして雇用を不安定なままにしている、という批判だ。

 別の連合幹部は「派遣業務が原則自由化された時に止めることができず、不安定雇用が増えた悔いはある。だが、今回の見直しは派遣労働者の雇用の安定につながるかは疑問。これ以上雇用が不安定な労働者を増やしてはいけない」と訴えている。【東海林智】


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9月27日(金)のつぶやき

2013-09-28 01:10:43 | 花/美しいもの

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