5歳の孫B。
彼は昨日、武器を携えてきた。
彼の武器は、歯ごたえのあるお菓子のグミ。
Bは、1歳7ヶ月離れた、小学2年生の兄Aがいる。
そして、3歳離れた妹Cがいる。
兄Aは、我々にとっては初孫、わたしの長女夫婦にとっては初めての子供だった。
大事に扱いすぎて、一人っ子のような長男A。
さらに、男、男と続き、待望の女の子である3番目の孫C。
このAとCに挟まれ、しかも次男。
兄妹間においての位置は想像の通り、厳しいものがある。
ちなみに、わたしの子供は年子で3人、Bと同じく上下に挟まれ真ん中に男の子がいた。
下に妹がいたのも同じ。
上が女の子(長女)であったところが大きく違うところだった。
すぐ上に姉、すぐ下に妹に挟まれていたが、舅姑たちが待ちに待った待望の男の子だった。
生まれた時から大歓迎ムード、何をしても、何をしなくても、目に入れても痛くないほど愛されていた。
誕生の瞬間から既に大きな愛を周りから注がれていた。
(愛は期待とセットになり、後に彼はそれが重圧となることが予想される)
と、Bは同じ第2子で男子という条件は変わりはないが、たった一人の男の子なのか、2番目の男の子なのかで随分違う。
しかもBの兄は、かなり性格が悪く、悪政を強いる。
自分勝手な振る舞いをするし、弟が従わないと強引な手段、方法、時には暴力で強行する。
いつもBは、訴えるような目で涙をポロポロ流し大泣きして、周りの大人に訴えてくる。
わたしはそれが可哀想に映るのではなく、不甲斐なく映ってしかたない。
不条理の解決を大人にしてもらうのではなく、自分で兄にぶつかっていけ!と思うのだが、ただただ泣くだけ。
5歳と7歳の兄弟。
やり返せ!兄に向かって行け!
と思うが、いつも泣くだけのBに切なくビービーメソメソ泣かれるとイライラする。
(わたしの真ん中子供は、そんなことはなかった。
上は姉だったし、リーダーシップを取ってきょうだいを引っ張って行っていた。
Aは、リーダーシップゼロの暴君。悪政に苦しむB。弱すぎる、、、)
Bが、もっと小さい時、娘婿(Bの父親)が、「Bは高校を卒業したらとっとと家を出て行くような気がします」と言っていた。
妙に納得した。
兄Aは、いつまでも実家に居そうだとも。
何しろ、悪ガキAを兄に持つBは、残念で弱い日常を送っているのだが、、、。
これは前書き。
Bについてのそれまでの説明であり、ここからが、本題である。
昨日、Bは、自分専用のお菓子のグミを持ってきた。
最近自分に与えられたものを取っておいたものだろう。
おそらく、兄Aはとっくに自分の分は食べてしまっていると思われる。
あるいは、兄Aが納得する条件のもとで与えられたものかと想像する。
特別な権利があるグミである。
オヤツは一つ、と親に厳しく言われているせいか、わたしが食後のデザートパフェを用意したのに、要らないという。
今日はグミを食べるから、パフェを食べたらグミ権利が剥奪されると危惧したのだろう。
食事時だけ横にいた長女(Bの母親)に、「パフェもグミも食べていいよ」と言われ、それならと安心してパフェを食べていた。
グミを持っているBは強い。
威張るわけでも、卑屈なわけでもなく、何かにつけ、グミを引き合いに出して交渉しようとする。
いつもより堂々とし、なにかしら威厳さえ感じる。
自分に有利になるためのカードとしてグミがBに力を貸してくれる。
「そんなことしたらグミあげないよ」→駆け引き、強要
「グミあげるから〇〇して」→依頼
「グミあげてもいいよ」→余裕、優越感
「グミあげようか?」→親切心
「さあグミ食べようか」→提案、主導権
グミはお金と同じ?
石器時代の石の貨幣の役割?
交渉を有利に進める切り札?
権利、権力を使える魔法の杖?
Bは決して権力乱用はしていなかった。
優しく大切に丁寧にグミを扱い使っていた。
自分も食べたいし。
ただ、一袋にグミは10粒以上入っているので、食べるタイミング、グミ権力の使い方、配分は、Bの采配にかかっている。
話は変わるが、小学生になると一定のお金を持たせて投資スキルを磨く勉強をさせる教育もある。
日本ではまだあまり浸透していないようだが。
お金は悪いもの、悪用につながると見なされているからだろうか。
実際のお金ではなくても、自分の等身大以上に味方してくれる力を使える、、、
ただし、この魅力にはまり過ぎると犯罪に走ったり、嫌な人間になったり、、、と良くないが、良い方に使う、使い方、効果を実感出来るといいなあと感じた。
不条理を恨めしい目で泣きながら訴えるより、自分の力を別の形で行使できることに目覚めると、次の発展につながるだろう。
弱い立場を知恵を使って克服し、さらに成功への階段を上る、、、
うまく繋げられたらいいが、、、。
またまた根性悪のA兄に悪どくやられないか心配であるが、A兄の存在は一生付いて回りそうだ。
悪ガキA兄は、周りの大人にコテンパンに非難されても落ち込むどころか、へっちゃらなところが、That’s why A is.である。
まだ成長過程のAB兄弟。
これに強烈な無敵の妹がいて、これまた一人天下。
さらにまた下が生まれると一騒動は間違いない。
だが、大人になってからまた位置関係、力関係が変わることもある。
わたしの兄は、姉のほうが歳下なのだが、いつの間にか、姉が実質的には上になっている。
たぶん、周りの皆もそう思っているだろう。
そして、わたしの息子は、きょうだい間では真ん中であるが、今は、年齢序列から外れ、別枠になってある。
育った環境には性格を形成するには大きく影響を受けるが、自立後の歩みで、またそれぞれのキャラクターが色付けられる。
Bのグミ、あと数粒残っているが、本日もその続きから始まる。
Bはグミがなくなっても、グミに変わるものを少しずつ見つけていくだろう。
蛇足。
ちなみに、Bは、
「ばあちゃん、グミあげる」と、貴重なグミの中から、青リンゴ味のグミをくれた。
これは、ボーナスが出た直後の太っ腹気分みたいなものか?
ありがたく、おこぼれを頂戴した。
緑色の小さな甘酸っぱいグミだった。