北野武監督の「アウトレイジ」
あまりにも北野武が、痛々しいほど、なりふり構わず、各メディアに出まくって
PRしていたので、そこまでやるなら、と(負けて)、観に行った。
お客さんの入りは・・・うーーん・・・あまり多くなかった。
(曜日や時間帯、場所にもよるけれど)
宣伝費をかけすぎる映画は、前々から私は、アンフェアだと思っていた。
世の中には、良い映画はゴマンとあるが、哀しいかな、予算不足や、宣伝不足で
認知されない、地下に眠ったまんまのような名作もある。
俳優が有名だったり、膨大な制作予算や宣伝費をかけると、そこそこの興行収入はあるはず。
逆に、日本には、ほとんど入ってこないような、
映画立国ではない諸外国の素晴らしい作品に出会ったりすると、とても感動する。
まあ、前置きはそれぐらいにして。
バイオレンス、たっぷり。
もっともっと、ひどくなったらどうしよう・・・と映画冒頭から、震えながら観ていた。
私は、暴力が大嫌い。
花鳥風月、お花や蝶々をこよなく愛する、へなへな老乙女なもので、
自分の暴力への耐性が、自信がなかった。
段々、やり過ぎて、シュールな展開に。
血の色がちょっとヘンだったり、マンガチックだったり、
大昔の、谷岡ヤスジの「鼻血ブー」のナンセンス・ギャグにも通じるものがある??
暴力を笑いに変えようとしている場面にちょいちょい遭遇すると、安心はしないまでも、
まあ、顔を引きつらせながら、少し余裕が持てた。
黒人が、夜の暗闇に放置される場面がある。
その時のヤクザが放ったセリフは、私は聞き捨てならなかった。
人種差別的な意味合いがあるような、そんな言葉を吐かせるとは、
北野監督が何かのメッセージ性を持たせて故意にやっている確信犯としても、
非常に不愉快だった。
全くシャレにならずに、イヤな気分にさせられた。
故意でなく、悪ガキのおふざけだとすれば、論外。
監督の人間性に、深く失望する。
石橋蓮司は、「今度は愛妻家」のオカマ役で、たっぷり楽しませていただいたばかりなので、
その芸域、幅の広さには、感心。
ご本人曰く、「カワイめに、演じた」そうだ。
全員悪人のなか、愛されキャラで、笑いがとれる、おいしい役だった。
多くの論評を読むと、加瀬亮が、ずば抜けていたと評されていた。
確かに。
「おとうと」に出演していた、ボクトツな大工青年だとは、全く気付かなかった。
まったく、まったく、まったく、180度、ごろりと変わっていた。
俳優って、こわい。
一番カッコ良かったのは、やはり、椎名桔平。
しゃーないですね、カッコいいものは、カッコいい。
刺青を全身に施して、SEXシーンしようが、爽やかに見える私の目が、オカシイのか??
小日向文世は、どんなに頑張っても、やはり、怖くなかった。
やさしさは、消えない。
出世する前の、ダサいジャケットは、「洋服の青山」のジャケットなんだろうか??
と、ヘンなところで、スタイリストのどんぴしゃり感覚に、感心していた。
「今の世の中、カネより、出世だ」
出世して、そう吐くセリフ・・・北野監督のことではないですよね?
三浦友和も、青山のイメージ・キャラクターとして起用されているが、
ぺらんぺらんのジャケットとは、ちょっと違う。
ドーランか何か知らないが、メークの色がちょっと黒すぎたような気がした。
不健康さを出そうとしているのだろうけれど。
チンピラ役で、早々に出番が終わってしまった塚本高史。
あの可愛らしいエクボ?、爽やかなうちに、お役御免になってほしかったので、
えげつないことになりませんように、と、祈っていたが、映像的には、大丈夫だった。
監督・脚本が北野武となっていたが、
多忙な中、全編脚本を書くのには、並大抵なことではないので、
アシスタントにでも書かせて、あとは、朱を入れるだけかと思いきや、
あのセリフ(脚本)内容なら、ちょっとしか分量がないので、一人で行けそうだ。
「なんだバカヤロー!!」しか言わないから。
豪華俳優陣がズラリ、北野映画に集結したので、
俳優一人一人の演技や個性が、楽しめることはできた。
俳優さんって、素敵ですね。
出演
ビートたけし 椎名桔平 加瀬亮 三浦友和 國村隼 杉本哲太 塚本高史
石橋蓮司 小日向文世 北村総一朗 中野英雄 ほか
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