夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ゴジラ対メカゴジラ』【4Kデジタルリマスター版】

2025年01月24日 | 映画(か行)
『ゴジラ対メカゴジラ』
監督:福田純
出演:大門正明,青山一也,田島令子,平田昭彦,松下ひろみ,小泉博,今福正雄,ベルベラ・リーン,
   岸田森,睦五郎,草野大悟,鳥居功靖,佐原健二,小川安三,渡辺高光,遠矢孝信他
 
1974(昭和49)年の春に“東宝チャンピオンまつり”で公開された作品の4Kデジタルリマスター版。
ひとりランチでワインを1本空け、TOHOシネマズ梅田には来たけれど、
『シンペイ 歌こそすべて』で爆睡、『FPU 若き勇者たち』は寝なかったもののなんだかなぁという感じで、
ハシゴ3本目の本作に臨む前はテンション下がり気味でした。
それでもチケットを先に買っちゃったんだから観ずに帰るわけには行くまい。
観てみたら、テンションが上がったわけじゃありませんが、いろいろと笑えました。
 
“ゴジラ”誕生20周年記念映画であり、翌1975年に開催予定の沖縄国際海洋博覧会に絡めて、
沖縄本島を舞台として製作しようということになったようです。
沖縄以外にも富士山や御殿場などが登場し、日本を大々的にアピールしている模様。
 
沖縄国際海洋博覧会会場の建築技師・清水敬介(大門正明)は、東京から遊びに来た弟・正彦(青山一也)を安豆味城跡へ案内。
そこで伝統歌謡を実演中だった安豆味王族の末裔・国頭那美(ベルベラ・リーン)は、怪獣が街を踏みつぶす啓示を受ける。
那美の祖父・国頭天願(今福将雄)は不吉な予感に駆られ、安豆味王族の行く末を案じる。
 
その後、玉泉洞を訪ねた正彦は、洞内で不思議な金属片を発見。
それを宇宙工学の権威・宮島博士(平田昭彦)のもとへ持ち込むと、地球上に存在し得ないスペースチタニウムであることがわかる。
一方、海洋博会場予定地にある洞穴では壁画が見つかり、首里大学の考古学者・金城冴子(田島令子)が臨場。
冴子は洞穴に安置されていたシーサーの置物を持って、敬介の叔父である考古学の権威・和倉博士(小泉博)のもとを訪れる。
描かれた壁画の意味を調べた結果、この世を滅ぼそうとする怪獣が現れるということ、また、別の怪獣2頭が人類を救うという予言に至るが、
シーサーの置物が何なのか不明だったところ、和倉邸に侵入した謎の男にこの置物を盗まれそうになり……。
 
富士山が噴火してゴジラ登場。
その場にやってきたアンギラスを痛めつけるゴジラを見て、アンギラスはゴジラの盟友なのにと不思議がる敬介たち。
やがてこのゴジラがゴジラではなく、宇宙人が製造したスペースチタニウム製のメカゴジラだと判明します。
 
メカゴジラを操るのが人間の姿をした宇宙人で、息が絶えると猿になります。
こんな見た目が人間そのまんまの宇宙人描写なのに死んだら猿ってワラける。
また、本物のほうのゴジラの動きがいちいちカワイイ。「惜しい!」みたいな仕草にはふきました。
 
メカゴジラと対決して人類を救うのは、ゴジラとキングシーサー。
眠ったままのキングシーサーを起こすのは那美の歌。「私のシーサー♪」って、笑ってしまった。
しかも2番まであるんですよね、この歌。1番だけでええやろ!
敬介たちの後をつける怪しげな男がインターポールの捜査官だったのにも笑ったなぁ。
2人もいるのは都合がよすぎる(笑)。
 
なんだかんだで楽しく観ました。
すでにお亡くなりになっている方や芸能活動はしていらっしゃらない方も多いけど、
現役バリバリの人も多くいて、こりゃその人たちの近年の出演作をチェックしなくちゃと思いました。

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『劇映画 孤独のグルメ』

2025年01月21日 | 映画(か行)
『劇映画 孤独のグルメ』
監督:松重豊
出演:松重豊,内田有紀,磯村勇斗,村田雄浩,ユ・ジェミョン,塩見三省,杏,オダギリジョー他
 
イオンシネマ茨木にて、前述の『366日』の後に。
 
久住昌之・作、谷口ジロー・画による同名漫画を実写化したTVドラマシリーズが大ヒット。
初の劇場版は主演の松重豊が監督を務め、脚本も共同で執筆した模様。
ちなみに私は一度も観たことがありません。こんなに有名なシリーズなのに。
だから、主人公の職業が輸入雑貨商であることを知ったのは本作を観はじめてずいぶん経ってから。
ついでに下戸の設定だということも知らなかったから、そうだと知って「えーっ!」。
 
パリにやってきた井之頭五郎(松重豊)。
かつてこの地で一緒に暮らしていたの恋人の娘・千秋()からの依頼に応えるためだ。
千秋の祖父・一郎(塩見三省)が所望していた絵画を引き渡して御役御免かと思ったら、一郎はもうひとつ頼みがあると言う。
それは、一郎が子どもの頃に母親が作ってくれた汁をもう一度飲みたいということ。
記憶をたどりながら千秋が作ってみたものの、パリでは手に入らない食材もあり、一郎の母親の味とはどうも違うらしい。
 
手がかりがなければどうしようもないことだが、一郎や千秋の話を掻き集め、その味を再現しようと考える五郎。
まずは一郎の故郷だという長崎・五島列島へと足を運び、名前もわからぬスープの食材とレシピを探す。
 
ところが、船に乗り損ねてスタンドアップパドルボードを借りた五郎は嵐に遭って遭難。
目覚めるとそこは韓国の離島で、訳あってこの島で共同生活を送る女性たちが食品研究所を設立していた。
女性たちのうちのひとりで日本人の志穂(内田有紀)に遭難に至る食材探しの事情を話すと、
何かの参考になるかもしれないと言って、島の特産品を使った料理でもてなしてくれる。
 
聞けば志穂は東京で夫(オダギリジョー)と飲食店を開いていたと言う。
もともとはフレンチの料理人だった夫は、あるときラーメンで勝負したいと言い出し、ラーメン店を開業。
順調なスタートを切るがコロナ到来。食材が高騰して入手困難になると、夫婦の仲もギスギスしはじめる。
一旦離れるほうがお互いにとってよさそうだと考えて別れたのだと。
 
東京に戻った五郎がその店“さんせりて”を訪れてみると、すっかりやる気を失っている店主。
もうラーメンを作る気はないからとラーメン鉢はすべて割り、およそ営業中とは思えない店内は暗く散らかっている。
入店すると「チャーハンしかないよ」と店長の声。しかしこのチャーハンが驚くほど旨い。
 
それからしばしば“さんせりて”に寄ってはチャーハンを食べるようになった五郎は、
同じようにチャーハンを食べに通いつめる客・中川(磯村勇斗)に話を聴く。
“さんせりて”のラーメンはスープがこのうえなく美味しかったとのこと。
中川はまたあのラーメンを食べたくて店主を口説いているそうだが断られてばかり。
五郎は中川と協力しあって一郎の望むスープを店主に作ってもらおうと口説きにかかるのだが……。
 
コロナで食材が手に入らなくなり、店も傾いて投げやりな店主。
やってみようかという気持ちにさせたのは、「食材を安く手に入れられます」という五郎の言葉。
食材さえあれば旨いものを作る自信があるし、作りたいのにということなんですよね。
お金がなければ良い腕があってもどうにもならないのだなぁと思うと悲しくなります。
 
このシリーズは日本のみならず韓国でも大人気とのこと。それで韓国まで行ったのかな。
私のツボだったのは、特別出演しているユ・ジェミョン演じる入国管理審査官
ボートで韓国に流れ着いた結果、不法入国になってしまった五郎の手続きをしに迎えに行ったら、
腹が減ってたまらなかった五郎がその辺の店に入って食事しようとしています。
食事が終わるまで待ってほしいと言われて仕方なく待ってやることにしますが、
自分だって腹が減っているのに、目の前で五郎が実に美味そうに飯を食いやがる。このシーンは笑いました。
 
五郎の車のナンバーは「563」。「五郎さん」なのですね。
それにしても下戸かぁ。この食事で酒一滴もなしは考えられんと私は思ってしまうのでした。

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『カルキ 2898-AD』

2025年01月19日 | 映画(か行)
『カルキ 2898-AD』(原題:Kalki 2898-AD)
監督:ナーグ・アシュウィン
出演:プラバース,ディーピカー・パードゥコーン,アミターブ・バッチャン,カマル・ハーサン,シャッショト・チャタルジー他
 
109シネマズ箕面にて今年初の“おひとりさま”の次にボリウッドテルグ語作品。
そもそもタイトルの“カルキ”が何か知らず、調べました。
ヒンドゥー教の神ヴィシュヌの10番目にして最後のアヴァターラ」と言われてもピンと来ないけど、
“アヴァターラ”とは「不死の存在」や「化身」を指すのだそうです。うん、ますますわからん(笑)。

聖なる地“クルクシェートラ”での戦いが終焉を迎えた頃、
ヴィシュヌの8番目の化身クリシュナの怒りを買ったアシュヴァッターマンこと導師グルの息子ドローナは、
クリシュナから不死身の呪いをかけられ、生きることも死ぬこともできずにさまよう。
呪いが解かれるのは、6000年後に生を受けるはずのカルキを救うとき。

それから6000年経った西暦2898年、地球は200歳のスプリーム・ヤスキンによって統治されている。
ヤスキンは空に浮かぶ巨大要塞“コンプレックス”を築き、コンプレックスで暮らせるのは特権階級のみ。
また、ヤスキンの命を保持するためには妊婦の血清が必要で、
妊娠可能な女性を拉致してはコンプレックスで監禁して妊娠させ、血清を集めていた。
不妊女性は妊婦の世話をする奴隷として仕えさせられる。

ある日、奴隷のうちのひとり、スマティが妊娠していることがわかる。
ヤスキンが望む血清は妊娠期間120日を経た妊婦のものだが、どの妊婦も120日もたず、血清の抽出後は死亡。
ところが不妊のはずのスマティはすでに150日に入っている。

彼女の子宮にいる胎児こそカルキ。
カルキの誕生が近いと知った不死身のアシュヴァッターマンは覚醒し、スマティを守ろうとする。

一方、コンプレックスで暮らす日を夢見る賞金稼ぎのバイラヴァは、
コンプレックスから逃亡した妊婦に高額の賞金がかけられていると知って追いかけるのだが……。

ヒンドゥー教の神やインドの叙事詩『マハーバーラタ』を多少なりとも知っていないとワケわからん。
わからないのにそれなりに面白いのはどういうことなんでしょうね。さすがボリウッド。

“バーフバリ”シリーズのプラバースといえばボリウッドのスーパースター。
彼がバイラヴァを演じていますが、ウザいのなんのって。
賞金を狙ってスマティを追い回すせいで、スマティを匿う反乱軍の村シャンバラにヤスキンの部下が乗り込み、戦いに。
実は彼は太陽神の子カルナなのですが、本人はそのことに気づいていません。
あるとき突然変身して、戦いが終わるとバイラヴァに戻り、またスマティを捕まえて賞金を稼ごうとします。

どうにも話が終わりそうにないと思ったら、これも“to be continued”かよ!
昨年観たボリウッドのほとんどが「続く」ですからね。頭の中で話がこんがらがります。

『砂の惑星』みたいで、『マッドマックス』のようなノリもあり、要塞を見れば『エリジウム』も思い出す。
『ブレードランナー』『スター・ウォーズ』に通ずるところもあり。めっちゃお金がかかっていそうです。

忘れないうちに続きをお願いします。

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2回目の『グランメゾン・パリ』は早くも今年初の“おひとりさま”。

2025年01月18日 | 映画(か行)
『グランメゾン・パリ』は年末の封切り日に観て面白かったものの、2回観るほどでもない。
しかしこの日観るつもりだった後述のインド作品が20:45からの上映で、
お茶を飲んで時間を潰すには若干長いし、車だから飲酒するわけにも行かず。
ならばもう1本映画を観ようと思ったら、本作しか選択肢がなくて。

1回目の鑑賞後に甲子園&飲み友だちの兄さんがエキストラで出演しているのを知ったのと、
料理が本職の人から本作の感想を聴いたこともあって、2回目でそれを確認しようと思いました。

ここで予想していなかったことが起きる。
18:30からの上映だった109シネマズ箕面のIMAXシアター、定員292名のところに客は私ひとり。
なんと1月初旬にして、今年初めての“おひとりさま”。
去年は劇場に私ひとりということが14回ありましたが、IMAXシアターでひとりというのはありませんでした。
過去に遡ると、まだコロナ完全終息とはいえなかった時期にこんなことがあったけど。

まぁ、IMAX上映を選ぶのはあんまり意味のない作品ですよねぇ。
それでもこれが客ひとりって凄くないですか。

2回目は1回目よりさらにユアン役のオク・テギョンに目が行きます。泣かされるのは常に彼がいるシーン。
ユアンはパリで大人気のパティスリーにパティシエとして勤めていたのに、
話題にのぼるのは店そのものの名前だけで、自分の名前がのぼることはない。
それは自分が東洋人のせいだと思っていた折にキムタク演じる尾花の料理を食す。
そのとき彼が涙を流すのを見て私もまず最初のもらい泣き。
次にそのときのことをユアンが尾花に話すシーンで2度目のもらい泣き。
そして最後は尾花がユアンのデザートに出会ったときのことを話すシーンで3度目のもらい泣き。

これらのシーンを観るためだけにもう一度観てもよいと思うほどです。たぶんもう観ないけど(笑)。
オク・テギョンってマルチリンガルなんですね。
こんな顔して賢くて、演技も上手いとなると、ファンにならずにはいられない。
映画への出演はまだあまりないようですが、もっと観たいやんか。

というわけで、贅沢を極めた今年初めての“おひとりさま”でした。

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『型破りな教室』

2025年01月16日 | 映画(か行)
『型破りな教室』(原題:Radical)
監督:クリストファー・ザラ
出演:エウヘニオ・デルベス,ダニエル・ハダッド,ヒルベルト・バラーサ,ヴィクター・エストラーダ,
   ジェニファー・トレホ,ミア・フェルナンダ・ソリス,ダニーロ・グアルディオラ他

新年、仕事帰りに2本ハシゴするのは初めてです。テアトル梅田にて。

本国メキシコのみならず全米でも大ヒットしたという作品。2011年の実話に基づく
「感動」という言葉はあまり安易に使いたくはないですが、感動的な話であることはまちがいありません。
主演は『コーダ あいのうた』(2021)で音楽教師役を演じたエウヘニオ・デルベス。教師役がよく似合う。

メキシコ東部のタマウリパス州、アメリカとメキシコの国境に位置するマタモロス。
銃声が鳴り響くのは日常茶飯事、まともな職に就くのは不可能、治安最悪の町

そんな町にあるホセ・ウルビナ・ロペス小学校は、学力テストで国内最下位にランキング。
校長のチュチョをはじめとする教師たちはなんとか状況を打破したいが、どうにもなりそうにない。

教師に欠員が出て、新しく着任したのはセルヒオ・フアレス・コレア。
この学校に希望してやってくるなんて正気の沙汰ではないとは思われていたが、セルヒオは堂々の変わり者。

そもそも進学など考えられる家庭環境ではない児童たちのほとんどは、登校してもやる気なし。
特に不良の兄貴分を持つ少年ニコは、自分も早く学校を辞めて「仕事」を任されたくてたまらない。
一方、ゴミ山の向かいに建つ家で父親と二人暮らしの少女パロマは、本当は勉強が大好きで、
宇宙工学を学んで将来宇宙飛行士になりたいと思っているが、学校では何事にも興味のないふりをして過ごしている。

セルヒオは着任初日にまずは机を使わない授業を始め、児童たちに浮力とは何かを問う。
これまでとはまったく違う先生の登場に児童らは驚くと共に面白がり、授業を熱心に聴くようになる。

ほかの教師たちはセルヒオのやり方に否定的。
セルヒオがいったい何をやりたいのかを理解しかねるチュチョが問いただすと、セルヒオが言うには、
子どもたちは馬鹿じゃない、子どもたちの可能性を信じて、子どもたち自身にやりたいことを考えさせるべきだと。
半信半疑だったチュチョも、セルヒオに任せてみようと思い……。

セルヒオの授業方法は彼独自が編み出したわけではなく、悪い言い方をすれば、動画で知ったほかの教育者の受け売りです。
しかし子どもたちを見る目は確かで、子どもたちの能力が彼によって引き出される。
自分に勉強などできるわけがないと思っていた子どもたちがセルヒオから疑問を投げかけられることにより関心を持ち、
自分たちで調べて結論を導き出そうとします。それがわかったときの子どもたちの破顔が最高。

哲学に興味を持った少女ルペが自分の学校の図書室で本を借りようとするも、
司書を務める教師から「小学生が読むには早すぎる」と断られます。
致し方なく大学の図書館に足を踏み入れてみると、そこではルペのことをちゃんと図書館利用者として扱い、
哲学書の棚に案内してくれるし、借りようとする本についても笑ったりしない。
子どもの可能性を最初から否定しては駄目なのだと強く思わされます。

巻き込まれる校長チュチョも愛すべき人柄で、彼とセルヒオのやりとりにはしばしばふきだす。
それにひきかえ、偉そうに振る舞うお役人の腹立たしいこと。
学力テストを事前に受け取るための収賄もあって、おまえら全員いっぺん死ねと言いたくなりました。

実際にパロマがメキシコの学力テストで1位を取り、大変な騒ぎに。次代を担う人として話題に。
セルヒオ先生が今も同小学校で教鞭を執っているのが嬉しいですね。

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