夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ベルリン、僕らの革命』

2005年11月12日 | 映画(は行)
『ベルリン、僕らの革命』(原題:Die Fetten Jahre Sind Vorbei)
監督:ハンス・ワインガルトナー
出演:ダニエル・ブリュール,ジュリア・ジェンチ,スタイプ・エルツェッグ,
   ブルクハルト・クラウスナー他

ドイツ東西の統合以来、貧富の差が歴然とし、
社会体制に疑問を持つ若者が抗議行動に出ることも多いそうです。

そんな若者のひとりであるヤンは、
15年来の親友ピーターとともに“Edukators”(=「教育者」でこれが英題)と名乗り、
金持ちの贅沢を戒めるべく、夜ごと高級住宅街へ繰り出す。

警報器の販売を仕事とするピーターにはその解除も朝飯前。
金持ちの留守宅に忍び込むと、家具を積みあげたり、
ステレオを冷蔵庫に入れたり、調度品の配置を瞬く間に変えると、
最後に「贅沢は終わりだ」と記して立ち去る。
物は盗まず、人は傷つけず、金持ちたちに恐怖を感じさせるのが目的。

ピーターの恋人ユールは、家賃を滞納して大家から突然退去を命ぜられる。
旅行中のピーターに代わって、ヤンが引っ越しを手伝う。
ユールは以前に起こした追突事故が原因で、
莫大な借金を抱えていることをヤンに打ち明ける。
保険切れの車を運転中、ハイウェイでベンツのSクラスに追突。
相手に賠償金を少しずつ返済している身であると。

ヤンはユールを励まそうと、マスコミを賑わす「教育者」の正体を明かす。
それを聞いたユールは、事故の相手であるハーデンベルク宅にヤンを案内。
ふたりでソファをプールに投げ込むわ、ワインの瓶を割るわ、好き放題。
すっきりした気分で退却する。

ところが、ユールは携帯を忘れてきたことに気づく。
現場へ戻ってヤンと一緒に携帯を探していると
運悪くハーデンベルクが帰宅。仕方なく彼を拉致、
旅行から帰宅したピーターにも協力を求める。

ハーデンベルクを連れてアルプスの山小屋まで車を走らせた3人は、
解決策を見いだせないまま共同生活を始めるのだが……。

『グッバイ、レーニン!』(2003)もそうでしたが、
東西ドイツの社会的背景について私はあまりに無知で、
本作もただの幼稚で傲慢なガキの振る舞いにしか思えません。
が、無一文に近いユールが追突したのが
年収340万ユーロのハーデンベルクで、
ユールが10万ユーロの損害賠償のために必死で働く姿を見ると、
彼女たちが理不尽に思う心情はわかるような気がして、
イライラする半面、展開には引き込まれます。

ドイツの「重さ」を知りたくなる一作です。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする