夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『オーケストラ!』

2010年07月08日 | 映画(あ行)
『オーケストラ!』(原題:Le Concert)
監督:ラデュ・ミヘイレアニュ
出演:アレクセイ・グシュコフ,メラニー・ロラン,フランソワ・ベルレアン,
   ミュウ=ミュウ,ドミトリー・ナザロフ,ヴァレリー・バリノフ他

ロシア語とフランス語が飛び交う、フランスの作品です。
前述の『ソフトボーイ』とハシゴしたら、
あちらは少ない観客ながら、釣られて大笑い、
こちらはかなりの入りの観客で、やはり釣られてボロ泣き。
けれど、ユーモラスなシーンもたっぷりです。

ロシアのボリショイ交響楽団に、劇場清掃員として勤務するアンドレイ。
30年前、彼はこの楽団の天才指揮者として崇められていた。
しかし、当時、共産主義のブレジネフ政権下でユダヤ人排斥政策が敷かれ、
ユダヤ系の楽団員を守ろうとしたアンドレイは解雇された。
それでも音楽から離れることはできず、こうして楽団に留まっている。

ある日、楽団の支配人の部屋を清掃中、
パリの名門劇場・シャトレ座から1通のFAXが届く。
何気なく読んでみると、楽団への出演依頼。
アンドレイはとっさにその紙をポケットに突っ込むと、
同じ楽団の仲間だったサーシャのもとへと急ぐ。

支配人も現在の楽団員もこのFAXのことはまだ知らない。
かつての仲間を集めて、俺たちで演奏しようじゃないか。
あまりに大胆な計画にサーシャは呆れるが、
なんだかんだでつきあうはめに。

まずはシャトレ座との有能な交渉役が必要だと、
当時の支配人で共産主義者、楽団員たちを解雇した張本人のイヴァンに面会。
最初はけんか腰だったイヴァンも、話を聞き終えると目を輝かせる。

楽団員55名を集めて、パリへ行こう。
サーシャの現職が救急車の運転手であるのをいいことに、
アンドレイとサーシャは救急車に乗って
かつての仲間を探し始めるのだが……。

『ソフトボーイ』同様、メンバーを集める過程が最高に楽しい。
タクシーの運転手だったり、ポルノ映画の効果音担当者だったり、
さまざまな職場を訪れて、口説くアンドレイたち。
なんとか揃った仲間たちは、パリに行ったら好き放題で、しっちゃかめっちゃか。
空港内で堂々と偽造ビザが作られているのもスゴイ。

ソリストとしてアンドレイが指名するのは、美貌の若手ヴァイオリニスト。
なぜ彼女にアンドレイがこだわるのか、
それが明らかにされるくだりは切なさいっぱい。

見せ場はもちろん最後に。
チャイコフスキーの『ヴァイオリン協奏曲』、圧巻です。
音楽って、やっぱり素晴らしい。

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