夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『あの夏の子供たち』

2010年07月23日 | 映画(あ行)
『あの夏の子供たち』(原題:Le Père de mes Enfants)
監督:ミア・ハンセン=ラヴ
出演:キアラ・カゼッリ,ルイ=ド・ドゥ・ランクザン,アリス・ドゥ・ランクザン,
   アリス・ゴーティエ,エリック・エルモスニーノ,マネル・ドリス他

フランスの作品。
現在上映中なのは全国で4館。
それもおそらく本日、終映。

映画製作会社『ムーン・フィルム』を経営するグレゴワールは、
携帯を片時も離さない仕事人間でありながら、
良き家庭人として、妻と3人の娘から愛されている。

しかし、彼の会社はいまや火の車。
現像所の負債は100万ユーロに膨れあがっているというのに、
新しく起用した監督は、お金が降ってくるとでも思うのか使い放題。
銀行からは融資を断られ、もう手は尽くしてしまった。

そして、グレゴワールは、自ら命を絶つ。

妻のシルヴィアは、夫の死を無駄にはしまいと、
製作中の映画をなんとか完成させるため、奔走するのだが……。

本作の予備知識としては、映画プロデューサーの男が自殺し、
彼を失った妻と娘たちが悲劇を乗り越えてゆく物語、そう思っていました。

ところがどっこい、映画が始まると、男が自殺しそうな雰囲気は皆無。
前半の約1時間は、資金繰りに頭を悩ませつつも、
家族と穏やかな時間を過ごす様子が淡々と描かれています。
そう、もう眠くなるほど。

自ら命を絶つシーンはかなり唐突で、
どちらかと言えばちゃらんぽらん風(見た目のせいか?)の彼が
いきなり頭を撃ち抜きます。

そこから後半の1時間は、思いっきりネタバレになりますが、
奥さんが走りまわるも、借金をチャラにしてくれるところなんてないし、
夫が惚れ込んでいた監督もなんだか適当だし、そう上手くは行かんのよ。
でも、まぁ、明日があるさ!みたいな感じで、チャンチャン。
ケ・セラ・セラ~♪で締めくくり。う~ん。

あちこちのレビューを見るとほぼ一様に評価が高いです。
それで期待が高すぎたということもありますが、個人的にはちと退屈。
娘3人は本当に愛らしく、それだけでも十分良かったですけれど。

映画製作に関わる人の想いはひしひしと伝わってきました。
奥田英朗著『空中ブランコ』に収録されている、
「女流作家」という短編を思い出してしんみり。

前述の『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』とハシゴしたのですが、
もしも本作を後に観ていたら、『ハングオーバー!』をもう一度観て、
気分を持ち直したくなったかもしれません。
映画は、観る順番にもこだわりたいもの。

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