夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『トースト 幸せになるためのレシピ』

2012年08月07日 | 映画(た行)
『トースト 幸せになるためのレシピ』(原題:Toast)
監督:SJ・クラークソン
出演:ヘレナ・ボナム=カーター,フレディ・ハイモア,ケン・ストット,
   ヴィクトリア・ハミルトン,オスカー・ケネディ,クレア・ヒギンズ他

2010年のイギリス作品で、日本では未公開。2カ月ちょい前にDVD化されました。
『フランス、幸せのメソッド』といい、邦題にはやたら「幸せ」がくっついてきます。

イギリスを代表するセレブリティシェフ(なんじゃそりゃ)に
ナイジェル・スレイターという人がいるそうで、
彼の幼少時からシェフとなるまでの人生を映画化。
本人も最後にカメオ出演しています。

1967年、イングランド中部のウォルヴァーハンプトン。
9歳のナイジェルは、今日も母親の買い物について行く。
ショーケースに並べられたポークパイやチーズを食べてみたいのに、
ママときたら、どんなバイ菌がついているかわからないと却下。

出来合いの品は買わない主義かと思いきや、ママは極度の料理下手。
食事といえば鍋で缶詰をあたためるだけ。
それすら鍋を焦げつかせておじゃんにすることもあり、
食卓には絶対に失敗しないトーストしか並ばない。
こんな母親を持ったせいで、逆にナイジェルの料理に対する興味は増すばかり。

料理下手でもナイジェルはママのことが大好き。
しかし、そのママが病気で亡くなってしまう。
気むずかしいパパとふたり、何を話してどう接すればいいのかわからない。

ある日、ナイジェルが帰宅すると、キッチンに見知らぬ女性が。
彼女はパパが家政婦として雇ったミセス・ポッター。
パパはいつしかミセス・ポッターに入れあげるように。
その品のあるとは言えない振る舞いも、ママに取って代わろうとする態度も、
ナイジェルには到底許せない。

けれどもミセス・ポッターの料理はものすごく旨い。
特にデザートはピカイチで、レモンパイには唸るしかない。
高校に入学したナイジェルは、選択科目のうちから家庭科を選び、
女子生徒が群がるほど美味しいデザートをつくる。
すると、ミセス・ポッターがナイジェルを敵視しはじめて……。

ヘレナ・ボナム=カーターの名前が最初にクレジットされますが、
彼女が登場するのは物語も半分にさしかかろうかという頃。
また、ジョニー・デップと共演した『ネバーランド』(2004)では、
幸薄そうな印象が強かったフレディ・ハイモアがそのまんま成長して、高校生のナイジェル役。

幼くして母親を失った少年が、料理上手の優しい家政婦に愛されて育ち、
やがてイギリスを代表するシェフになる、という話を想像していたら、
ミセス・ポッターの意地悪なこと。
子ども相手にそんなに張り合ってどうすると呆れるぐらい。
もう食えんと言っても次々に出てくるデザートを食べさせられた父親は死亡。
そのときになって初めて弱音を吐いたミセス・ポッターは
ひとりにしないでとナイジェルに懇願しますが、速攻で縁を切られます。

DVDで観るならば気負わずさっくり。
布団をかぶってこっそり料理本を開くナイジェルが
自分で食材を買ってきて料理するシーンなども楽しいです。
ナイジェルのつくったレモンパイは食べてみたいなぁ。

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