夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『キック・オーバー』

2012年10月28日 | 映画(か行)
『キック・オーバー』(原題:Get the Gringo)
監督:エイドリアン・グランバーグ
出演:メル・ギブソン,ダニエル・ヒメネス・カチョ,ピーター・ストーメア,
   ケヴィン・ヘルナンデス,ドロレス・エレディア,ボブ・ガントン他

10月の初め、JR大阪駅構内で職場の「広報活動」のために休日出勤。
その代休を取った木曜日、めちゃ愉快なアラ還の方々に囲まれて京都へ。
美味しい蕎麦懐石とビールと日本酒で満腹に。昼間の酒はほんとに旨い。
泉涌寺付近を散策して帰るという皆様にお別れをして、私は京都駅へ。

梅田ブルク7と同系列のT・ジョイ京都、初体験。
12あるスクリーンのうち、本作を上映しているのは5番シアター。
チケット窓口で過去に5番で観たことがあるかどうかを問われ、
初めてだと答えたらこんなところだと説明してくれました。

写真を見てビックリ、入場してさらにビックリ。
2人掛けの真っ赤なソファが14脚。各ソファにはクッションも2個ずつ。
ドリンクやフード類用のトレイも置かれています。
隣のソファとはくっついているものの、
座ると目の高さぐらいまで来る「壁」に囲まれているため、個室っぽい。
同伴喫茶(←まだあるのか?)ってこんな感じじゃないでしょか。(^^;

その2人掛けの空間を1人で使ってよいのです。
どんな格好もし放題(?)、いや~、めちゃ贅沢な気分。
ものすごく座り心地がいいとは言えませんが、
少なくともキャバレーの椅子よりは100倍ぐらいイイ。

で、本題の映画は、実在した悪名高きメキシコの刑務所を舞台にした架空のお話。
メル・ギブソン復活かと謳われていますが、その言葉に偽りなし。ヨレ具合完璧。

マフィアから数百万ドル以上を強奪して逃走中の通称“ドライバー”。
アメリカとメキシコの国境に沿って走りつづけ、双方の警官から追われる。
最後は国境の壁を車でぶち抜いて、メキシコ側で御用となる。

メキシコ側は、手続きが面倒だと言ってアメリカ側に任せることにするが、
大破したドライバーの車中を覗いて態度が一変。
この大金をアメリカ側に渡してなるものかと、メキシコ側で引き受けると言う。
どっちにしたって汚職警官。アメリカ側は捨て台詞を残して立ち去る。

メキシコの警察官はウハウハ状態。
しかし、ドライバーがいったい誰で何をやらかしたのかは知らない。
相当やばい金だろうが、それでもなんとかなるだろうと高を括る。

ドライバーがぶち込まれたのは悪名高き刑務所“エル・プエブリート”。
金さえ積めば何でもあり、囚人たちがすべてを仕切っている。
場末のような店や宿が建ち並び、囚人以外も出入り自由。
家を建てて家族と一緒に暮らすこともできる。

脱獄を目論むドライバーは、少年キッドと出会う。
大人びて冷めた目のキッドは、囚人のボスであるハビから特別待遇を受けている。
というのも、肝臓病を患うハビと血液型が完全一致する唯一の存在がキッドで、
将来肝臓移植するためのドナーとして大事にされているらしい。
キッドとその母親は次第にドライバーに心を開いてゆくのだが……。

『推理作家ポー 最期の5日間』と同じく、残虐な拷問シーンがあるのでR15+指定。
またしてもそれは直視できませんでしたが、あとは痛快。
ヨレヨレ気味のメル・ギブソンは体力で勝てずとも頭で勝負。
あの手この手で巧く立ち回り、見事にやっちゃってくれます。

ラスト間際、大金の入った鞄が目に入り、
金を持ってトンズラしよかなという思いが頭をよぎり、
いやいやそれはアカンやろとキッド救出に行くときの表情は、
一瞬の逡巡が表情によく映し出されていて絶妙でした。
キッド役の少年は知的で愛らしい。母親も疲れた美人で好印象。

英題は2種類あり、もう1つは“How I Spent My Summer Vacation”。
結局アンタは何者なのよという疑問は残りますが、
人生いろいろ、裏切りに対する復讐も果たしてスッキリ、
メル・ギブソンも本作でスッキリなのでは。

それにしてもメキシコ、怖すぎる。(^o^;

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