『ツナグ』
監督:平川雄一朗
出演:松坂桃李,樹木希林,佐藤隆太,桐谷美玲,橋本愛,大野いと,
遠藤憲一,別所哲也,本上まなみ,浅田美代子,八千草薫,仲代達矢他
封切り日にTOHOシネマズ西宮にて。
好きな作家とは言えないのに、ついつい読んでしまう辻村深月。
本作もどうせなら原作を読んでから観ようと思い、先週読了。
これまでの作品同様、イライラさせられる部分もありましたが、
いつも感じずにはいられなかったイタさは消えた気がします。
高校生の渋谷歩美(♂)は、幼いころに両親を亡くし、祖母のアイ子に育てられた。
いつまでも元気だと思っていたアイ子だが、老いは着実に忍び寄っているよう。
そんなある日、アイ子から“使者(ツナグ)”の仕事を引き継いでほしいと言われる。
ツナグとは、生者と死者との再会を叶えるための窓口となる案内人。
都市伝説のごとく口コミで静かに広がるツナグの噂を聞きつけた、
死者との再会を切望する人びとが、アイ子のもとへ電話をかけてくる。
アイ子は死者と連絡を取り、会いたがっている人がいることを伝える。
死者側が了承すれば、会う段取りを整える。それがツナグの役目。
ただし、生者側も死者側も、会えるのは一度だけ。
誰かに会ってしまえば、ほかに会いたい人がいたとしても、二度目の再会は叶わない。
また、死者側から会いたいと申し出ることはできず、
いくら会いたい人がいても、生者側が願わないかぎり会えないのだ。
いわば相思相愛の関係でなければ再会は果たされない。
歩美はアイ子の後継者となるかどうかを考える間、
生者である依頼人と会って話を聞く役目を引き受けるのだが……。
依頼人はこんな人たち。
癌で亡くなった母親(八千草薫)に会いたいと願う自営業者の畠田(遠藤憲一)。
気まずくなったまま事故死した親友の御園(大野いと)に会いたいと願う女子高生の嵐(橋本愛)。
7年前に失踪した婚約者のキラリ(桐谷美玲)に会いたいと願うサラリーマンの土谷(佐藤隆太)。
茶髪でチャラチャラしたイメージだった桃李くん、
こんなにも真面目で誠実な役柄がピッタリでびっくり。
ほかのキャストもピタッとはまっていますが、
原作を読んでからのほうがそれぞれの表情に背景を読み取れて面白いかもしれません。
長男の意識が強い畠田と息子、映画には登場しない弟家族との関係、
御園と嵐が親しくなったきっかけやこれまでの高校生活など、
役者の表情から原作に想いを馳せることができます。
もっとも「はしょられ度」が低いのは土谷の話で、「でも、大好きだよ」には泣きました。
ちなみに、原作は急死したアイドルに会いたいと願うOLの話で始まります。
その後、上記の人たちが別々の章で描かれ、
最後の歩美の章では、それぞれの人たちとのやりとりが克明に。
最初の章のアイドルは、飯島愛を思わせるような女性でした。
自殺も考えているOLが「世の中は不公平」とつぶやくのに対して、
アイドルが「世の中が不公平なんて当たり前。
みんなに公平に不平等」と言うシーンが心に残っています。
映画では街頭で歩美に声をかけるのは嵐でしたが、原作ではこのOLでした。
そうそう、御園の嵐への「伝言」は、映画では優しさに捉えられなくもないけれど、
あれは決してそうではないと思います。
で、原作と比べてどうだったかという点は関係なく、
映画としての満足度がどうだったかというと、「フツーによかった」。
どうも私の場合、感動するのが当たり前みたいな無難に高得点の作品には
心が射抜かれるところまでは行かないようで。(^^;
終映後、明るくなった場内で、私の前にいたカップルから聞こえてきた会話。
たぶん、感動しまくりだったであろう彼女に対して、
彼のほうが「う~ん、感動したかしなかったかと聞かれたら、確かに感動したけれど」。
私もキミのその感想に一票。
と言いつつも、JUJUのエンディングテーマ曲の歌詞まで覚えちゃってたりして。
出逢えたことにいま、ありがとう。
監督:平川雄一朗
出演:松坂桃李,樹木希林,佐藤隆太,桐谷美玲,橋本愛,大野いと,
遠藤憲一,別所哲也,本上まなみ,浅田美代子,八千草薫,仲代達矢他
封切り日にTOHOシネマズ西宮にて。
好きな作家とは言えないのに、ついつい読んでしまう辻村深月。
本作もどうせなら原作を読んでから観ようと思い、先週読了。
これまでの作品同様、イライラさせられる部分もありましたが、
いつも感じずにはいられなかったイタさは消えた気がします。
高校生の渋谷歩美(♂)は、幼いころに両親を亡くし、祖母のアイ子に育てられた。
いつまでも元気だと思っていたアイ子だが、老いは着実に忍び寄っているよう。
そんなある日、アイ子から“使者(ツナグ)”の仕事を引き継いでほしいと言われる。
ツナグとは、生者と死者との再会を叶えるための窓口となる案内人。
都市伝説のごとく口コミで静かに広がるツナグの噂を聞きつけた、
死者との再会を切望する人びとが、アイ子のもとへ電話をかけてくる。
アイ子は死者と連絡を取り、会いたがっている人がいることを伝える。
死者側が了承すれば、会う段取りを整える。それがツナグの役目。
ただし、生者側も死者側も、会えるのは一度だけ。
誰かに会ってしまえば、ほかに会いたい人がいたとしても、二度目の再会は叶わない。
また、死者側から会いたいと申し出ることはできず、
いくら会いたい人がいても、生者側が願わないかぎり会えないのだ。
いわば相思相愛の関係でなければ再会は果たされない。
歩美はアイ子の後継者となるかどうかを考える間、
生者である依頼人と会って話を聞く役目を引き受けるのだが……。
依頼人はこんな人たち。
癌で亡くなった母親(八千草薫)に会いたいと願う自営業者の畠田(遠藤憲一)。
気まずくなったまま事故死した親友の御園(大野いと)に会いたいと願う女子高生の嵐(橋本愛)。
7年前に失踪した婚約者のキラリ(桐谷美玲)に会いたいと願うサラリーマンの土谷(佐藤隆太)。
茶髪でチャラチャラしたイメージだった桃李くん、
こんなにも真面目で誠実な役柄がピッタリでびっくり。
ほかのキャストもピタッとはまっていますが、
原作を読んでからのほうがそれぞれの表情に背景を読み取れて面白いかもしれません。
長男の意識が強い畠田と息子、映画には登場しない弟家族との関係、
御園と嵐が親しくなったきっかけやこれまでの高校生活など、
役者の表情から原作に想いを馳せることができます。
もっとも「はしょられ度」が低いのは土谷の話で、「でも、大好きだよ」には泣きました。
ちなみに、原作は急死したアイドルに会いたいと願うOLの話で始まります。
その後、上記の人たちが別々の章で描かれ、
最後の歩美の章では、それぞれの人たちとのやりとりが克明に。
最初の章のアイドルは、飯島愛を思わせるような女性でした。
自殺も考えているOLが「世の中は不公平」とつぶやくのに対して、
アイドルが「世の中が不公平なんて当たり前。
みんなに公平に不平等」と言うシーンが心に残っています。
映画では街頭で歩美に声をかけるのは嵐でしたが、原作ではこのOLでした。
そうそう、御園の嵐への「伝言」は、映画では優しさに捉えられなくもないけれど、
あれは決してそうではないと思います。
で、原作と比べてどうだったかという点は関係なく、
映画としての満足度がどうだったかというと、「フツーによかった」。
どうも私の場合、感動するのが当たり前みたいな無難に高得点の作品には
心が射抜かれるところまでは行かないようで。(^^;
終映後、明るくなった場内で、私の前にいたカップルから聞こえてきた会話。
たぶん、感動しまくりだったであろう彼女に対して、
彼のほうが「う~ん、感動したかしなかったかと聞かれたら、確かに感動したけれど」。
私もキミのその感想に一票。
と言いつつも、JUJUのエンディングテーマ曲の歌詞まで覚えちゃってたりして。
出逢えたことにいま、ありがとう。