『ふがいない僕は空を見た』
監督:タナダユキ
出演:永山絢斗,田畑智子,窪田正孝,小篠恵奈,田中美晴,
三浦貴大,銀粉蝶,藤原よしこ,山中崇,原田美枝子他
封切り日だった先週土曜日、テアトル梅田にて最終の回を。
友人と別れたあと、家にまっすぐ帰ろうかなと思いつつ、
風邪気味の気分を奮い立たせ、中崎町に車を駐めてぷらぷらと。
原作は、山本周五郎賞の受賞作であり、R-18文学賞の受賞作でもあります。
後者は新潮社の主催で、応募者は女性限定ならば選考委員も女性のみ。
性について書かれた女性のためのエロ小説発掘が目的なんだとか。
女性がターゲットの原作で、映画化したのも女性監督のタナダユキ。
なのにおっちゃん一人客がやたら多いのは、脱いだ田畑智子ねらい?
……って失礼ですよね、すみません。(^^;
300頁ちょいの文庫本だったので、映画も短めを予想していたら142分。
「ミクマリ」、「世界ヲ覆フ蜘蛛ノ糸」、「2035年のオーガズム」、
「セイタカアワダチソウの空」、「花粉・受粉」の5編で成る原作から、
主要なエピソードをほぼ網羅していて、なるほどこの長さと思わせます。
高校生の卓巳は、友人に連れられて行ったアニメの同人誌販売会で、
たまたま同じ町に住む主婦の里美と出会う。
彼女の好きなアニメのコスプレが卓巳には似合いそうだと言われ、
以降、学校帰りに彼女の部屋を訪れては、コスプレで情事にふけるようになる。
アニメにならい、卓巳は「ムラマサ」、里美は「あんず」になりきって。
ある日、憎からず思っていた同級生の七菜から突然コクられる。
七菜は色よい答えは期待していなかったが、
卓巳は「きちんとつきあいたいから、もう少しだけ待って」と言う。
その足で里美に別れを告げに行き、追いすがる里美を振り払うと、
正々堂々の気持ちで七菜とつきあいはじめる卓巳。
ところが、卓巳と里美のコスプレ情事の写真がどこからか流出し、
校内や近所中にばらまかれて、ひやかしや中傷の的に。
卓巳は学校に来なくなり、親友の良太が卓巳を訪ねるのだが……。
原作は登場人物のうちの5人が1話ずつ、一人称の語りの形。
卓巳、里美、七菜、良太、卓巳の母によるものです。
映画版は対象を誰かだけに絞り込むのかと思っていたら、
上手い具合にそれぞれの話を取り込んでいました。
卓巳以外のみんなも、さまざまな心の闇を抱え、傷つきながら生きています。
里美は不妊治療中で、姑の容赦ない言葉に心を痛める。
七菜は卓巳のことが好きで好きで、コスプレ情事さえも見てしまう。
彼らの担任の天然教師、野村先生は、デキちゃったのに彼氏が煮え切らない。
良太のバイト先の先輩、田岡さんは、ぼんぼんでゲイ。
原作で特に好きだったのは良太の章、「セイタカアワダチソウの空」。
認知症の祖母を残したまま、母は家を出て男と暮らし、
お金に困ったときだけ息子の顔を見に来ます。
コンビニでバイトしながら極貧生活に耐える良太が卓巳に投げかける、
「自分だけ不幸なふりしてるんじゃねぇよ」は効きました。
ようやく登校してきた卓巳に何を言うでもなく、
自転車を並ばせてただ走るシーンがたまらなくよかったです。
卓巳ら高校生には「ら抜き」でしゃべらせて、
母親役の原田美枝子の台詞が「ら抜き」じゃなかったのには、おぉ~。(^^)
そうそう、その母親が経営する助産院を手伝う「みっちゃん」は、原作・映画ともにめっちゃ○。
男の子だけでなく、誰もがきっと持っている「やっかいなもの」。
でも、やっかいなものも、悪いことばかりじゃない。
監督:タナダユキ
出演:永山絢斗,田畑智子,窪田正孝,小篠恵奈,田中美晴,
三浦貴大,銀粉蝶,藤原よしこ,山中崇,原田美枝子他
封切り日だった先週土曜日、テアトル梅田にて最終の回を。
友人と別れたあと、家にまっすぐ帰ろうかなと思いつつ、
風邪気味の気分を奮い立たせ、中崎町に車を駐めてぷらぷらと。
原作は、山本周五郎賞の受賞作であり、R-18文学賞の受賞作でもあります。
後者は新潮社の主催で、応募者は女性限定ならば選考委員も女性のみ。
性について書かれた女性のためのエロ小説発掘が目的なんだとか。
女性がターゲットの原作で、映画化したのも女性監督のタナダユキ。
なのにおっちゃん一人客がやたら多いのは、脱いだ田畑智子ねらい?
……って失礼ですよね、すみません。(^^;
300頁ちょいの文庫本だったので、映画も短めを予想していたら142分。
「ミクマリ」、「世界ヲ覆フ蜘蛛ノ糸」、「2035年のオーガズム」、
「セイタカアワダチソウの空」、「花粉・受粉」の5編で成る原作から、
主要なエピソードをほぼ網羅していて、なるほどこの長さと思わせます。
高校生の卓巳は、友人に連れられて行ったアニメの同人誌販売会で、
たまたま同じ町に住む主婦の里美と出会う。
彼女の好きなアニメのコスプレが卓巳には似合いそうだと言われ、
以降、学校帰りに彼女の部屋を訪れては、コスプレで情事にふけるようになる。
アニメにならい、卓巳は「ムラマサ」、里美は「あんず」になりきって。
ある日、憎からず思っていた同級生の七菜から突然コクられる。
七菜は色よい答えは期待していなかったが、
卓巳は「きちんとつきあいたいから、もう少しだけ待って」と言う。
その足で里美に別れを告げに行き、追いすがる里美を振り払うと、
正々堂々の気持ちで七菜とつきあいはじめる卓巳。
ところが、卓巳と里美のコスプレ情事の写真がどこからか流出し、
校内や近所中にばらまかれて、ひやかしや中傷の的に。
卓巳は学校に来なくなり、親友の良太が卓巳を訪ねるのだが……。
原作は登場人物のうちの5人が1話ずつ、一人称の語りの形。
卓巳、里美、七菜、良太、卓巳の母によるものです。
映画版は対象を誰かだけに絞り込むのかと思っていたら、
上手い具合にそれぞれの話を取り込んでいました。
卓巳以外のみんなも、さまざまな心の闇を抱え、傷つきながら生きています。
里美は不妊治療中で、姑の容赦ない言葉に心を痛める。
七菜は卓巳のことが好きで好きで、コスプレ情事さえも見てしまう。
彼らの担任の天然教師、野村先生は、デキちゃったのに彼氏が煮え切らない。
良太のバイト先の先輩、田岡さんは、ぼんぼんでゲイ。
原作で特に好きだったのは良太の章、「セイタカアワダチソウの空」。
認知症の祖母を残したまま、母は家を出て男と暮らし、
お金に困ったときだけ息子の顔を見に来ます。
コンビニでバイトしながら極貧生活に耐える良太が卓巳に投げかける、
「自分だけ不幸なふりしてるんじゃねぇよ」は効きました。
ようやく登校してきた卓巳に何を言うでもなく、
自転車を並ばせてただ走るシーンがたまらなくよかったです。
卓巳ら高校生には「ら抜き」でしゃべらせて、
母親役の原田美枝子の台詞が「ら抜き」じゃなかったのには、おぉ~。(^^)
そうそう、その母親が経営する助産院を手伝う「みっちゃん」は、原作・映画ともにめっちゃ○。
男の子だけでなく、誰もがきっと持っている「やっかいなもの」。
でも、やっかいなものも、悪いことばかりじゃない。