《か》
『カットバンク』(原題:Cutbank)
2014年のアメリカ作品。日本では劇場未公開。
アメリカで最も寒い町だということがウリのモンタナ州カットバンク。
父の介護のせいで町から出られない元アメフト部のスター、ドウェインは、
ミスコンに出演する恋人のカサンドラを畑で撮影中、
郵便配達人のジョージーが射殺される瞬間を目撃する。
カサンドラの父親ビッグ・スタンに相談したところ、スタンはヴォーゲル保安官に連絡。
ヴォーゲルを含め、町で初めて起きた殺人事件に人々は戸惑いを隠せない。
実はこの事件は報奨金を手にして町を出たいドウェインが仕組んだもので……。
ドウェインにリアム・ヘムズワース(クリス・ヘムズワースの弟)、
カサンドラにテリーサ・パーマー、ビッグ・スタンにビリー・ボブ・ソーントン、
ジョージーにはブルース・ダーン、ヴォーゲルにジョン・マルコヴィッチという顔ぶれ。
よくできたサスペンスで未公開はもったいないと途中までは思いましたが、
公開にこぎつけるにはもうひとつ強いインパクトが必要かと。
広大な自然に囲まれながら、人口は数千人という閉鎖的な町で
複雑な事情を抱えていたり、心を病んで行ったりする人々のことはよく描かれています。
《き》
『君がくれたグッドライフ』(原題:Hin und Weg)
2014年のドイツ作品。
毎年休暇を取って自転車旅行に出かける昔なじみの仲間たち。
ハンネスとキキ夫婦、ドミとマライケ夫婦、
遊び人で独り者のミヒャエル、ハンネスの弟フィン。
今年はハンネス夫婦たっての希望でベルギーを目指すことに。
一行は、途中立ち寄ったハンネスの実家で衝撃の事実を聞かされる。
ハンネスがALS(筋萎縮性側索硬化症)で余命わずか。
安楽死が認められているベルギーを旅先に選んだのだ。
死ぬための旅に同行することなんてできないと皆が反発。
しかし翌朝、自転車をあきらめて母の車に乗り込もうとしたところ、皆が姿を現して……。
湿っぽいだけの話になっても不思議はありませんが、
ほかの夫婦が問題を抱えていたり、独り者が見知らぬ若い女性を連れ込んだりと、
あっちこっちで終始ドタバタ。その加減がいい具合。
こんな死の選び方があってもいいのではないかと思ったりもして。
《く》
『クーデター』(原題:No Escape)
2015年のアメリカ作品。
東南アジアの某国に赴任したジャック(オーウェン・ウィルソン)。
妻のアニーとまだ幼い可愛い娘ふたりも一緒。
治安を気にしつつ入国すると案の定物騒で、約束の迎えなし。
通りすがりのハモンド(ピアース・ブロスナン)に助けられてホテルに向かうが、
会社からは何の連絡も入っておらず、どうも様子がおかしい。
翌朝、街で暴徒と警官隊の衝突が起こり、クーデターが勃発したことを知る。
暴徒の標的はなんと欧米外国人。外国人がこの国を乗っ取ったと考えているのだ。
目前で捕らえられた外国人らが処刑されてゆくなか、
ジャック一家はハモンドに導かれて国外脱出を試みるのだが……。
コメディがお得意のオーウェン・ウィルソンは、その頼りなげな顔で奮闘。
先代の007、ピアース・ブロスナンはここでもやっぱり頼りになります。
明らかにされない国名は、ベトナムの隣ということでカンボジアか。
珍しいストーリーではないけれど、臨場感があって最後まで飽きさせません。
《け》
『獣は月夜に夢を見る』(原題:Når Dyrene Drømmer)
2014年のデンマーク/フランス作品。
北欧の海岸沿いの小さな村に暮らす少女マリー。
言葉をまったく発しない母親は車椅子生活を送り、何を考えているのかもわからない。
しかも父親は母親の病気についてマリーにいっさい教えようとしない。
奇病の母親のせいで村人たちから冷たい視線を受けるマリーだったが、
他の人とちがって偏見を見せない青年ダニエルと出会い、恋に落ちる。
ちょうどその頃、マリーの身体に異変が起きはじめ、
自分は母親と同じ病気なのではと思い始めるのだが……。
どんな病気かと思ったら、体中が毛むくじゃらになって獣化するという。
どうしてそうなるのかという説明などはなく、奇天烈ではあるのですが、
北欧の寒々とした空気のなかでは説明など野暮かもと思えてしまいます。
たとえ獣になっても娘を愛する、そして彼女を全力で救おうとする恋人がいい。
《こ》
『COP CAR/コップ・カー』(原題:Cop Car)
2015年のアメリカ作品。
人にお薦めはしないけれど、かなり面白かったスリラー。
プチ家出中の少年トラヴィスとハリソンは、空き地でコップ・カー(パトカー)を発見。
恐る恐る近づくと無人で、しかもドアには鍵がかかっていない。
乗り込んでみれば車内でキー発見。調子づいてエンジンをかける。
マリオカートしか運転したことがなかったふたりだが、この車はもはや俺たちのもの。
最初は原っぱを走らせていたが、気が大きくなって公道で暴走。
対向を走っていた中年女性は目を疑い、とりあえずは通報。
さてコップ・カーの持ち主は悪徳保安官ミッチ。
痛めつけた男ふたりをトランクに投げ入れ、死んだ男を処分するために車を離れた隙に
少年たちに車を盗まれたのだからそのままにしてはおけない。
なんとか無線で少年たちに連絡を取り、脅しをかけるのだが……。
保安官役のケヴィン・ベーコンにはそれなりのギャラがかかるとして、
そのほかは低予算で済んだであろうと想像しますが、
映像は洗練されているし、何より脚本が面白い。
どれほどの悪徳保安官であるか、またトランクの中の男が何をしたのかなど、説明は無し。
でも、行動を見れば良くない輩だということは察せられます。
少年ふたりの演技も抜群。
新鋭監督のジョン・ワッツは、来年公開の新“スパイダーマン”の監督に抜擢されています。
先がとても楽しみ。
『カットバンク』(原題:Cutbank)
2014年のアメリカ作品。日本では劇場未公開。
アメリカで最も寒い町だということがウリのモンタナ州カットバンク。
父の介護のせいで町から出られない元アメフト部のスター、ドウェインは、
ミスコンに出演する恋人のカサンドラを畑で撮影中、
郵便配達人のジョージーが射殺される瞬間を目撃する。
カサンドラの父親ビッグ・スタンに相談したところ、スタンはヴォーゲル保安官に連絡。
ヴォーゲルを含め、町で初めて起きた殺人事件に人々は戸惑いを隠せない。
実はこの事件は報奨金を手にして町を出たいドウェインが仕組んだもので……。
ドウェインにリアム・ヘムズワース(クリス・ヘムズワースの弟)、
カサンドラにテリーサ・パーマー、ビッグ・スタンにビリー・ボブ・ソーントン、
ジョージーにはブルース・ダーン、ヴォーゲルにジョン・マルコヴィッチという顔ぶれ。
よくできたサスペンスで未公開はもったいないと途中までは思いましたが、
公開にこぎつけるにはもうひとつ強いインパクトが必要かと。
広大な自然に囲まれながら、人口は数千人という閉鎖的な町で
複雑な事情を抱えていたり、心を病んで行ったりする人々のことはよく描かれています。
《き》
『君がくれたグッドライフ』(原題:Hin und Weg)
2014年のドイツ作品。
毎年休暇を取って自転車旅行に出かける昔なじみの仲間たち。
ハンネスとキキ夫婦、ドミとマライケ夫婦、
遊び人で独り者のミヒャエル、ハンネスの弟フィン。
今年はハンネス夫婦たっての希望でベルギーを目指すことに。
一行は、途中立ち寄ったハンネスの実家で衝撃の事実を聞かされる。
ハンネスがALS(筋萎縮性側索硬化症)で余命わずか。
安楽死が認められているベルギーを旅先に選んだのだ。
死ぬための旅に同行することなんてできないと皆が反発。
しかし翌朝、自転車をあきらめて母の車に乗り込もうとしたところ、皆が姿を現して……。
湿っぽいだけの話になっても不思議はありませんが、
ほかの夫婦が問題を抱えていたり、独り者が見知らぬ若い女性を連れ込んだりと、
あっちこっちで終始ドタバタ。その加減がいい具合。
こんな死の選び方があってもいいのではないかと思ったりもして。
《く》
『クーデター』(原題:No Escape)
2015年のアメリカ作品。
東南アジアの某国に赴任したジャック(オーウェン・ウィルソン)。
妻のアニーとまだ幼い可愛い娘ふたりも一緒。
治安を気にしつつ入国すると案の定物騒で、約束の迎えなし。
通りすがりのハモンド(ピアース・ブロスナン)に助けられてホテルに向かうが、
会社からは何の連絡も入っておらず、どうも様子がおかしい。
翌朝、街で暴徒と警官隊の衝突が起こり、クーデターが勃発したことを知る。
暴徒の標的はなんと欧米外国人。外国人がこの国を乗っ取ったと考えているのだ。
目前で捕らえられた外国人らが処刑されてゆくなか、
ジャック一家はハモンドに導かれて国外脱出を試みるのだが……。
コメディがお得意のオーウェン・ウィルソンは、その頼りなげな顔で奮闘。
先代の007、ピアース・ブロスナンはここでもやっぱり頼りになります。
明らかにされない国名は、ベトナムの隣ということでカンボジアか。
珍しいストーリーではないけれど、臨場感があって最後まで飽きさせません。
《け》
『獣は月夜に夢を見る』(原題:Når Dyrene Drømmer)
2014年のデンマーク/フランス作品。
北欧の海岸沿いの小さな村に暮らす少女マリー。
言葉をまったく発しない母親は車椅子生活を送り、何を考えているのかもわからない。
しかも父親は母親の病気についてマリーにいっさい教えようとしない。
奇病の母親のせいで村人たちから冷たい視線を受けるマリーだったが、
他の人とちがって偏見を見せない青年ダニエルと出会い、恋に落ちる。
ちょうどその頃、マリーの身体に異変が起きはじめ、
自分は母親と同じ病気なのではと思い始めるのだが……。
どんな病気かと思ったら、体中が毛むくじゃらになって獣化するという。
どうしてそうなるのかという説明などはなく、奇天烈ではあるのですが、
北欧の寒々とした空気のなかでは説明など野暮かもと思えてしまいます。
たとえ獣になっても娘を愛する、そして彼女を全力で救おうとする恋人がいい。
《こ》
『COP CAR/コップ・カー』(原題:Cop Car)
2015年のアメリカ作品。
人にお薦めはしないけれど、かなり面白かったスリラー。
プチ家出中の少年トラヴィスとハリソンは、空き地でコップ・カー(パトカー)を発見。
恐る恐る近づくと無人で、しかもドアには鍵がかかっていない。
乗り込んでみれば車内でキー発見。調子づいてエンジンをかける。
マリオカートしか運転したことがなかったふたりだが、この車はもはや俺たちのもの。
最初は原っぱを走らせていたが、気が大きくなって公道で暴走。
対向を走っていた中年女性は目を疑い、とりあえずは通報。
さてコップ・カーの持ち主は悪徳保安官ミッチ。
痛めつけた男ふたりをトランクに投げ入れ、死んだ男を処分するために車を離れた隙に
少年たちに車を盗まれたのだからそのままにしてはおけない。
なんとか無線で少年たちに連絡を取り、脅しをかけるのだが……。
保安官役のケヴィン・ベーコンにはそれなりのギャラがかかるとして、
そのほかは低予算で済んだであろうと想像しますが、
映像は洗練されているし、何より脚本が面白い。
どれほどの悪徳保安官であるか、またトランクの中の男が何をしたのかなど、説明は無し。
でも、行動を見れば良くない輩だということは察せられます。
少年ふたりの演技も抜群。
新鋭監督のジョン・ワッツは、来年公開の新“スパイダーマン”の監督に抜擢されています。
先がとても楽しみ。