夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

今年観た映画50音順〈ま行〉

2016年12月28日 | 映画(ま行)
《ま》
『マジカル・ガール』(原題:Magical Girl)
2014年のスペイン作品。
日本の文化をこよなく愛するとカルロス・ベルムト監督の長編デビュー作。
白血病で余命わずかな少女アリシアは、日本のアニメ“魔法少女ユキコ”が大好き。
娘がユキコのコスチュームをほしがっていることを知った父親のルイスは、
ネットで調べて購入しようとするが、日本のデザイナーによる1点物でべらぼうに高い。
現在失業中のルイスは金策に困り、強盗に入ろうとしていたところ、
ひょんなことから高級宝石店の上階に住む人妻バルバラの部屋へと引き入れられる。
精神科医の夫を持つバルバラは、金には困らない暮らしを与えられているが、
彼女自身が精神を患っている様子。そんな彼女とルイスは関係を持つ。
翌日、情事をネタにバルバラから金を脅し取ろうと電話をかける。
一方、かつてバルバラの教師だったダミアンは、訳あって服役中。
バルバラとの再会を恐れて出所をためらっていたが、刑務所が長居させてくれるわけもない。
刑期を終えて出所したところ、バルバラから連絡があり……。
DVDで観たなかでは群を抜いて面白く、印象に残った作品です。
いろいろと不明なまま終わってしまった部分もあるので、もう一度観てみたい。
悲惨な物語なのに、陰惨さは感じない。非常にシュールです。

《み》
『ミッドナイト・アフター』(原題:那夜凌晨,我坐上了旺角開往大埔的紅VAN)
国際的な評価を得ているフルーツ・チャン監督による2014年の香港作品。
原題は「深夜、旺角発大埔行き紅VANに乗って」の意。
「紅VAN」とは香港ではおなじみのミニバスのことなのだそうです。
“シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション 2015”にて上映。
午前2時半過ぎ、香港の旺角(モンコック)を出発した深夜バス。
老若男女17名の乗客を乗せ、北上して大埔(タイポー)へ到着したのが午前3時半頃。
ところが、夜も賑やかな繁華街のはずが、人っ子一人いない。
乗客らが思い返してみると、獅子山(ライオン・ロック)トンネルを抜ける辺りで
前後を走る車がすべて消えたような気がする。いったい何が起きたのか。
バスに乗り込むところまでは群像ドラマかと思われたのに、その先はハチャメチャ。
ホラー、サスペンス、パニック、コメディ、SF混在の不思議な作品で、
予想だにしなかった残酷なシーン多数のため、R15+。
広げるだけ広げておいて、回収しない伏線だらけ。これで121分は長すぎる。
唯一の見どころ(聴きどころ)はデヴィッド・ボウイの“Space Oddity”。

《む》
『無伴奏』
2015年の日本作品。
直木賞作家である小池真理子の半自伝的同名小説。
若者たちが学園紛争に明け暮れていた1969(昭和44)年。
仙台の高校に通う野間響子(成海璃子)は、本当はノンポリのくせして、
時代の波に乗り遅れまいと同級生らと制服廃止闘争委員会を結成。
親友に連れられて入ったバロック喫茶“無伴奏”で、
大学生の堂本渉(池松壮亮)、その親友の関祐之介(斎藤工)、
祐之介の恋人の高宮エマ(遠藤新菜)と出会い、意気投合。
渉に強く惹かれるようになった響子は、初めての恋に身を焦がすのだが……。
家柄も容姿も何一つ不自由ないお嬢が暇つぶしに学園紛争に参加して、
つきあいはじめた男とやりまくり、だけどその男は実はゲイだったという展開。
まず、声が小さすぎて、台詞を聞き取るのに一苦労。
ダラダラの132分で唯一見どころになりそうな成海璃子の絡みのシーンだけど、
脱いでいるようで脱いでいない。潔くないなぁ(笑)。
彼女と池松壮亮の絡みよりも、池松壮亮と斎藤工の絡みのほうが
断然色気が感じられて笑えます。
なんだこのつまらなさはと思ったら、『太陽の坐る場所』(2014)の矢崎仁司監督。
私は合わないようです。

《め》
『メニルモンタン 2つの秋と3つの冬』(原題:2 Automnes 3 Hivers)
2013年のフランス作品。
パリ郊外の町メニルモンタンに暮らす33歳の男性アルマン。
ジョギング中に27歳の女性アメリと出会い頭にぶつかって一目惚れ。
謝罪の言葉を口にしただけで別れてしまったが、もう一度会いたい。
再会したときのためにとジョギングスーツを新調するが、アメリに会えずじまい。
あきらめかけたころ、暴漢に襲われそうになっていたアメリを発見。
アメリは恋人と一緒にいたにもかかわらず、恋人はすたこらさっさと逃げたらしい。
彼女を助けようとアルマンが暴漢の前に飛び出したところ、腹を刺されてしまう。
病院のベッドで目覚めたアルマンは、アメリと晴れてつきあいはじめるのだが……。
主演のヴァンサン・マケーニュの風貌が私はどうも苦手。
河童かフランシスコ・ザビエルかという髪型がどうにもいただけない。
いっそスキンヘッドにしてくれたらと思うのですけれども。
アメリ役のモード・ウィレールも一目惚れするような美女と思えず。
タイプじゃないふたりのウダウダした恋愛を見せられても眠くなるだけ。(^^;

《も》
『モヒカン故郷に帰る』
2015年の日本作品。
大好きな沖田修一監督の作品なのに、劇場で観逃してしまった1本。
デスメタルバンドのモヒカン頭のボーカル・英吉(松田龍平)は、
同棲中の恋人・由佳(前田敦子)が妊娠したのをきっかけに、
7年降りに瀬戸内海に浮かぶ小さな島・戸鼻島(架空の島)に帰郷する。
父親の治(柄本明)と母親の春子(もたいまさこ)、弟の浩二(千葉雄大)は
いきなり顔を見せた英吉と由佳にびっくり。
治は昔ながらの小間物店を営むかたわら、中学校の吹奏楽部のコーチをしている。
ところが矢沢永吉命である治が選ぶ曲は矢沢永吉のバラード“アイ・ラヴ・ユー、OK”。
生徒たちは「吹奏楽には不向きな曲」と不満を口にするが、治は聞こうとしない。
そんな治が末期癌であることがわかり、英吉と由佳は滞在を延ばすのだが……。
息子にその名前を付けてしまうほどの永ちゃんファン。
ブーたれる生徒に「矢沢永吉は広島県民の義務教育」と言う治が可笑しい。
母は母でものすごい広島カープファン。私が阪神タイガースを見る姿をかぶってワラけます。

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