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夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

今年観た映画50音順〈は行〉

2016年12月27日 | 映画(は行)
《は》
『俳優 亀岡拓次』
2015年の日本作品。
居るだけでなんか可笑しい安田顕が主人公の俳優役という楽しい設定。
脇役ばかりの俳優人生を送る37歳独身の亀岡拓次(安田顕)。
役の選り好みをせず、どんな役でも引き受ける。
それがたとえ流れ弾に当たるホームレス役であろうと、
呆気なく斬られる役であろうと、呼ばれればどこへでも参上。
事務所からは重宝され、監督やスタッフから愛されてはいるが、
スポットライトには一度も当たったことがない。
そんな彼がロケ先でふと立ち寄った居酒屋の若女将(麻生久美子)に恋をして……。
存在感はあるけど絶対的な主張はしない、安田顕の特徴をよく活かした作品。
しかしものすごく面白いわけでもなく、ゆるりとしすぎてたまに睡魔も。
宇野祥平新井浩文染谷将太山崎努、杉田かおる、工藤夕貴
それに大森立嗣監督までさりげなく出演していて、キャストが魅力的。

《ひ》
『ひつじ村の兄弟』(原題:Hrutar)
2015年のアイスランド/デンマーク作品。
アイスランドの辺境の村で暮らす老いた兄弟キディーとグミー。
何が原因なのか仲違いしたまま40年。
隣同士に住みながら互いに話もせず、口を開けば罵り合うだけ。
牧羊がすべてのこの村で毎年おこなわれる羊の品評会。
兄弟それぞれが出品し、常にふたりで優勝を争ってきたが、
キディーの羊がスクレイピーという疫病に感染していることにグミーは気づく。
1匹感染していることが判明すれば、村のすべての羊が殺処分の対象になる。
キディーを除き、グミーを含む村の人々は殺処分を受け入れ、
やがてキディーもそうせざるを得なくなる。羊がいなくなる村。
しかし実はグミーが地下にこっそり何頭かの羊を隠していて……。
アイスランドは不思議な作品が多いですね。去年は馬で、今年は羊。
最後は吹雪の中、服を脱いで抱き合い、暖を取る老兄弟。
しわしわの裸のじいちゃんふたりが肌をすり合わせる姿はなんとも微妙。(^^;

《ふ》
『ふたつの名前を持つ少年』(原題:Lauf Junge Lauf)
2013年のドイツ/フランス作品。英語タイトルは“Run Boy Run”。
1942年、ワルシャワユダヤ人強制収容所から脱走した8歳の少年スルリック。
別れ際の「絶対に生きろ」という父親の言葉を胸に、走る走る。
本名ではユダヤ人だと気づかれてしまうから、
ポーランド系のユレク・スタニャクという偽名を名乗って。
道中、孤児グループと遭遇し、行動を共にするもドイツ軍に追われ、
飢えと寒さから行き倒れたところを一人暮らしのヤンチック夫人に救われる。
そこだっていつまでも安心だというわけではない。
夫人は、ユレクがここを去らねばならない日が来たとしても、
彼がひとりでポーランド人孤児として生き抜けるよう、
架空の身の上話とキリスト教の作法を教え込む。
案の定ゲシュタポが現れ、夫人はひそかにユレクを逃がす。
またしてもひとりきりになったユレクは、過酷な放浪を強いられるのだが……。
ドイツのロケでは、子役の労働時間の規制が厳しいそうで、
なかなか撮影を進められそうにないと思案していたところ、
オーディションで主役の座を勝ち取った少年が双子であることが判明。
双子が2人で1役ということに、メイキング映像を見るまで気づきませんでした。
実話が基だということにも衝撃を受けました。心が震えます。

《へ》
『ヘリオス 赤い諜報戦』(原題:赤道)
2015年の中国作品。
韓国が開発した携帯できるほどのサイズの超小型核兵器“DC-8”。
それを積載していた飛行機が墜落するが、墜落機から“DC-8”が消えていた。
盗んだ犯人は犯罪組織“ヘリオス”で、武器密輸組織に売るつもりらしい。
その受け渡しが香港でおこなわれるとの情報が入り、香港警察が動き出す。
同時に、韓国国防省から任命されたチェ理事官が護衛のパクを伴って香港へ駆けつける。
激しい銃撃戦が繰り広げられたのち、チェはDC-8の奪還に成功するが、
この核兵器がアメリカ政府との駆け引きに利用できると考えた中国政府は、
韓国にDC-8を返還しないよう、香港警察に命じて……。
黒幕は「オイッ、おまえかい!」と言いたくなる人物で、ちょっとウケました。
どうも続編をつくる気満々のようですが、それは要らんのじゃないかと。

《ほ》
『星ガ丘ワンダーランド』
2015年の日本作品。
資生堂、コカコーラ、ソニー、グーグル、イケア、複数の電話会社に自動車会社などなど、
手がけたCM数知れずという売れっ子クリエイターの柳沢翔が映画監督に初挑戦。
小さな駅“星ガ丘駅”に駅員として勤務する温人(はると)(中村倫也)。
20年前、彼の母(木村佳乃)は家族を置いて突然去った。
別れ際、母は自分の手袋の片方を温人に渡して言った。
「必ず取りに来るから持っていて」と。そのことを温人は今も忘れられずにいる。
やがて父(松重豊)は亡くなり、兄(新井浩文)とも疎遠に。
ある日、その母の訃報が届く。
母は閉園した遊園地“星ガ丘ワンダーランド”の観覧車から飛び降り自殺したらしい。
高所恐怖症だったのに、そんな高いところまで母がひとりで行ったとは思えない。
自殺と断定されたことに納得できない温人は、真相を探りはじめるのだが……。
人脈があるのか、初監督作にゴージャスなキャスト。
上記のほか、再婚した母の継娘に佐々木希、息子に菅田将暉
市の清掃職員には市原隼人、刑事には嶋田久作
真相が明らかになるシーンではホロリ涙。雪降る小さな町の赤い観覧車が美しい。

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