『パラレル・マザーズ』(原題:Madres Paralelas)
監督:ペドロ・アルモドバル
出演:ペネロペ・クルス,ミレナ・スミット,イスラエル・エレハルデ,
アイタナ・サンチェス=ヒホン,ロッシ・デ・パルマ,フリエタ・セラーノ他
塚口サンサン劇場にて3本ハシゴのラスト。
2本目と同じ、ペドロ・アルモドバル監督の作品。
たぶん、客全員、2本目とハシゴだと思われます。
春には49歳になるそうですが、相変わらず抜群に綺麗。可愛い。羨ましい(笑)。
スペイン内戦で亡くなった親族の遺骨発掘について、
取材の被写体として知り合った考古学者アルトゥロに相談する。
アルトゥロは既婚者だが、妻は癌で入院中。彼とジャニスは親密な仲に。
やがてジャニスは想定外に妊娠。アルトゥロに伝えたうえで産むと決めて別れる。
出産を控えた病院で同室になった妊婦は、まだ17歳のアナ。
彼女のほうも想定外の妊娠だったらしいが、ジャニスと違ってただただ暗い。
出産は素晴らしいこと、きっとなんとかなるとアナを励ますジャニス。
同じ日に同じく女児を出産したふたりは、それぞれセシリアとアニタと名付ける。
連絡先を交換し、いずれ会おうと約束して病院を後にする。
その後、セシリアに会いに来たアルトゥロは、自分とは似ていない、
この子は自分の子ではないと言い放つ。
妊娠当時にアルトゥロ以外とは寝ていないと憤るジャニスだったが、
気になって自分とセシリアのDNA鑑定をしたところ、母子関係にないとわかる。
おそらく病院で赤ん坊たちを取り違えられたのだ。
セシリアはアナの子、そしてアニタがジャニスの子なのだろう。
いまさらそんなことは誰にも言えない。
アナと連絡を取るのが怖くなり、電話番号を変更するジャニスだったが……。
偶然アナと再会してしまいます。そしてアニタが突然死したことを知らされる。
もしもアナに子どもたちを取り違えられた事実を話せば、
ジャニスは二度子どもを失うことになる。どうしても言い出せません。
彼女の葛藤は真に迫るものがあって考えさせられましたが、
遺骨発掘の話はどこへ行ったんだと思っていたころに再浮上し、
最後はみんなで連れ立って発掘現場へ行くことに私は違和感をおぼえました。
ふたつの話を無理矢理つないだような感じで。
しかしこうして書いてみると、内戦で肉親を失うことと、こんな形で自分の子どもを失うことは、
決して無理矢理つないだ物語ではないようにも思えます。
違和感があるのはその問題ではなくて、お国柄というのかお人柄なのかも。
生まれたばかりの赤ん坊を取り違えられたら、病院を訴えませんか。
連絡もせずそのままにしておいて、アナはアナで「知っていたのに言わなかった」とジャニスを責め、
とっととセシリアを連れて実家に帰ってしまう。
そしていつのまにか仲直りして発掘現場へ行っている。こんなもんなのでしょうか。
なんだか不思議。でも今こうして振り返ると心に残る作品に変化しているのも不思議。