『金の国 水の国』
監督:渡邉こと乃
声の出演:賀来賢人,浜辺美波,戸田恵子,神谷浩史,茶風林,
てらそままさき,銀河万丈,木村昴,丸山壮史,沢城みゆき他
前述の『レジェンド&バタフライ』を鑑賞した後、109シネマズ箕面へ移動して。
原作は岩本ナオの同名漫画。
良いアニメであることは保証されたようなもの。
アルハミドは商業が栄えて富裕だが、水が涸れかけている。金の国。
バイナリは貧しいが、水だけはじゅうぶんにある。水の国。
長年いがみ合ってきた両国は、有効のしるしに花嫁と花婿を送り合うことに。
アルハミドでいちばん美しい女性を花嫁として差し出し、
バイナリでいちばん賢い男性を花婿として差し出すことが条件。
ところがアルハミドの国王ラスタバンは、自らの娘たちの中から決して美人とはいえないサーラを選び、
バイナリの族長オドゥニは、明るく賢いが若干お調子者の建築士ナランバヤルを選んで差し出す。
サーラとナランバヤルがそれぞれ送り込まれた先にいたのは、なんと犬と猫。
両国が花嫁と花婿を送り合うはずが、和平を結ぼうというのは建前にすぎない両国のトップは、
送り込まれてきた花嫁花婿に相手なんぞ与える気がなかったのだ。
それぞれの結婚相手として用意されていたのが犬と猫だったことが世間に知れ渡れば、
どちらの国のトップも「ナメられた」と自分のことを棚に上げて怒るはず。まちがいなく戦争になる。
そう考えたサーラとナランバヤルはこの事実を他言しないことに決める。
そのまま会うはずもなかったふたりだったが、
それぞれに与えられた犬と猫を捨てられずに可愛がっていると、偶然に出会う。
姉たちから新郎のお披露目をするように言われたサーラが、
まさか相手は犬だと打ち明けられずに困っているのを見て、ナランバヤルが新郎のふりを買って出る。
その席で、姉たちの愛人であり、イケメン左大臣のサラディーンと知り合ったナランバヤルは、
バイナリからアルハミドに水路を引いて国交を開くことをこっそり提案するのだが……。
優しい物語ですねぇ。
それなりに悪い人は結構たくさん出てくるのですけれど、
それ以上に主人公ふたりとそのすぐ周囲にいる人々の善良さに救われる。
イケメン左大臣を見て、一級の愛人は国政でも上手くやれるんだろうなと思う(笑)。
彼の声を担当する神谷浩史はピッタリ。
王側の人間でありながら国交が開くことを願うライララ役の沢城みゆき、さすが。
ユーモアにも溢れていて、オドゥニなどは“半沢直樹”シリーズの片岡愛之助風。
ひたすらおっとりとしたサーラがまさかこんなに酒に強いとは(笑)。
戦いによって相手をねじふせて水を手に入れるか。
それとも手を取り合ってどちらの民も生きていけるようにするか。
戦いつづける国の人たちに観てほしい作品ですが、
実世界ではこんなふうな解決には至らないであろうことが悲しい。