夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『スパイスより愛を込めて。』

2023年06月11日 | 映画(さ行)
『スパイスより愛を込めて。』
監督:瀬木直貴
出演:中川翼,茅島みずき,速瀬愛,坂巻有紗,福山翔大,田中直樹,
   横山めぐみ,藤枝喜輝,西山繭子,萩原聖人,田中美里,加藤雅也他
 
イオンシネマ茨木にて。1週間のみの限定公開なのでしょうかね。
ご当地ムービーの上映率はイオンシネマが群を抜いて高いように思います。
配信で観られるようになるかどうか、DVD化されるかどうかも不明なので、
とりあえず観ておくことにしました。
 
カレー屋さんがいちばん多いのは石川県だってこと、ご存じでしたか。
金沢を舞台にしたご当地ムービーですが、金沢を謳っているわけではないので、
それほど「ご当地ご当地している感」はありません。
↑私の言うところの「ご当地ご当地している感」は内輪受けの意を含みますから、
それほどないというのは褒め言葉と取ってください。
 
監督はこれまたご当地ムービーの『恋のしずく』(2018)を撮った瀬木直貴。
ほかにも大分県宇佐市を舞台にした『カラアゲ★U.S.A』(2014)などもお撮りになっています。
監督ご自身は三重県四日市市のご出身らしく、どこの映画かにはこだわない様子。
単にさまざまな地域を応援したいってことですかね。
 
ナーズウイルスという新型ウイルスが蔓延。
それにはスパイスが有効で、カレーを食べれば罹患しないという噂が流布したことから、
世界中の人がカレーを食べようとしたことでスパイスが不足。
日本ではスパイスもカレーのルーも品切れして、カレーを食べられなくなってしまう。
 
高校2年生の男子・蓮(中川翼)は大のカレー好き。
幼少の頃から漫画家である母親・香織(田中美里)が毎週カレーを作ってくれたが、
ナーズの流行で長らくカレーにありつけないでいる。
 
ある日、野球部の練習から帰る途中、河川敷でカルダモンの香りを感じる。
それは同じ高校に通う謎めいた女子高生・端目莉久(茅島みずき)から発せられたものだった。
駆け寄って話しかけようとするが、莉久は素っ気ない態度。
そればかりか、後に莉久が野球部のキャプテン(藤枝喜輝)と一緒にいるのを見かけて、
キャプテンに想いを寄せる蓮はショックから立ち直れない。
 
そんな蓮を誘いにきたのが、蓮の幼なじみで売れっ子モデルの現役女子高生・葛城沙羅(速瀬愛)。
沙羅は自分のファンの同級生からカレーの作り方を教わるのだと言い、
蓮を一緒に連れて行こうとする。カレーに釣られて同行してみると、それはなんと莉久の家で……。
 
莉久の父親・陽一(萩原聖人)と兄・真司(福山翔大)はスパイスの研究者で、
噂などではなく、本当にスパイスがナーズウイルスに効くことを証明しようとしていました。
その矢先に陽一が亡くなってしまったうえに、データをすべて削除していたのです。
データを探し出して出世したい真司は、莉久が陽一からデータを預かっているはずだと疑っています。
 
陽一のことを嘘つき呼ばわりして糾弾したのが厚生労働大臣・山神(加藤雅也)というのが
フィクションながら可笑しい。お役人は本当にこういうことをやるかもしれないもの(笑)。
 
物語としてはご当地ムービーらしい出来というのか、うんうん、そうね、という感じ。(^^;
恋愛には異性間恋愛も同性間恋愛も盛り込まれ、ストーカー騒ぎなんかもあり、
ありとあらゆることを詰め込みましたという青春ものです。
でもキャストの若い子たちがみんな可愛くて一生懸命、一所懸命で好感が持てる。
 
スパイスを使ったキーマカレーも、市販のルーを使った欧風カレーも出てきます。
いちばん驚いたのは、サツマイモ梅干しを入れたカレー。
弟妹が多い家では甘味がほしいからサツマイモを入れると同時に、
ルーを使用したカレーに足りないのは酸味だそうで、梅干しが最適なのだそうです。
へ~っ!
 
あ、もうひとつ気になったことを思い出した。
エンドロールで「脚本:アラン・スミシー」となっていました。「匿名希望」のことです。
監督だったり脚本家だったりを「アラン・スミシー」とするのは、
作ってはみたものの名前を出すのは恥ずかしいというときに使うもので、
単に恥ずかしいというよりは、出来が悪すぎて恥ずかしいという場合に用いると思っていたのですが、
この作品にそれを使うのは失礼ではないかしら。恥じるような作品じゃない。

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