『カード・カウンター』(原題:The Card Counter)
監督:ポール・シュレイダー
出演:オスカー・アイザック,ティファニー・ハディッシュ,タイ・シェリダン,ウィレム・デフォー他
毎月第4日曜日は落語を聴きに行くのが定例化して4カ月目。
3月と4月は電車で動物園前まで行きましたが、
5月は車で恵美須町へ行き、コインパーキングに入庫してから歩いてなんばパークスシネマへ行きました。
寄席帰りは道も空いていて車のほうが断然早いから、このパターンが楽ちん。
というわけで、今月も恵美須町に駐車して映画を観てから寄席に行くことに。
普段の休日なら、多少の渋滞があったとしても箕面から恵美須町まで40分あれば行けます。
ところが昨日は長堀橋辺りから新御が大渋滞。
観光客が戻ってきたから車道にまでその影響が出ているのかなと思ったら、
なんのこたぁない、なんば駅前で事故があった模様。恵美須町まで1時間20分かかってようやく到着。
しかも昨日はシネマート心斎橋で映画を観るつもりにしていたから、なんばパークスより遠い。
徒歩ではなく地下鉄で長堀橋へ出て、そこから必死のぱっちで目指すシネマートへ走りました。
結果、上映開始に間に合わず、最初の5分は見逃しています(泣)。
最初に主人公のモノローグがあったと想像します。
製作総指揮はマーティン・スコセッシ、監督はポール・シュレイダー。
これは、ロバート・デ・ニーロの名を一躍有名にした『タクシードライバー』(1976)の監督と脚本家コンビですね。
凄腕でありながら目立たぬことを嫌い、「小さく賭けて小さく勝つ」のが信条。
彼の才能に気づいた女性ラ・リンダは、出資者を見つけて大きく賭けて儲ける話を持ち込む。
ラ・リンダに好感を持ちつつも断ったウィリアムだったが、
ある日、カークという青年が話したいことがあると言ってコンタクトを取ってくる。
聞けば、カークの父親はウィリアム同様に軍刑務所にいたことがあるらしく、
そんな目に遭わせた父親の上官ゴード少佐をカークは激しく憎んでいた。
部下を指導した上官が逃げおおせてのほほんと暮らしていることが許せず、
ゴードの居場所を突き止めたカークは、復讐しに行こうとウィリアムを誘い……。
最初の5分を見逃したため、そこでどんなことが語られたのかは想像するしかありません。
たぶん、私が持つシュレイダー監督のイメージからは、
何があったかを全部語らせているわけではないと思うので、見逃さなくても想像するのは必要か。
ウィリアムとカークの父親がゴードから叩き込まれたのは、「尋問」の仕方。つまりは拷問。
収容している捕虜への凄絶な拷問ですべて吐かせる。
拷問するほうも精神に異常をきたしそうだけど、これも洗脳なのか、
当時のウィリアムは嬉々としてこれをやってのけていた様子。
自分の感情に蓋をして生きているウィリアムは、カークに反対はするものの放っておけません。
ゴードのせいで父親がおかしくなり、そこから逃げ出した母親のことも許せないでいるカークに、
ウィリアムは母親と会うように言い、その交換条件として自分もラ・リンダへの気持ちを打ち明けると言う。
息子はいないウィリアムだけど、カークを息子同然に思っていることが伝わってきます。
ウィリアム役のオスカー・アイザックが実に渋い。
表情だけで彼の心の中、頭の中を想像するのが楽しかった。
ゴード少佐にはウィレム・デフォー。
ふたりの間でどんな「尋問」がおこなわれたのか、見せずに声だけ聞かせる演出。ちょっと震えました。
ポーカーその他、いろんな賭けが見られて、それにまつわる話があるのも楽しいです。
出資者を持つ凄腕のギャンブラーの半数以上が実は借金漬けで、
一生かかっても返せない額を背負っているというのは興味深い話。
そりゃまぁいくら勝とうが、100%勝ち続けられることはないわけで、負けたときの額がハンパじゃない。
何かちょっと足らん気もするけれど、私にはそこそこ以上に面白かった。