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『精神0』

2020年05月11日 | 映画(さ行)
『精神0』
監督:想田和弘
 
“仮設の映画館”で観る3本目。
第七藝術劇場を選択しました。
 
想田和弘監督による「観察映画」第9弾。
台本を作らず、予断と先入観を排除して対象を観察する映画。
だから、本作には一切の説明がありません。
ここはどこなのか、何を撮っているのか、注視することになります。
同監督の『精神』(2008)を未見だったため、
本作について何も知らない状態で観はじめたので、殊更に注視。
 
診察室が映り、医師と患者のやりとりから、
ここが精神科診療所であることがわかります。
どうやらこのお医者さんが『精神』で密着した山本昌知先生。
 
80歳を過ぎて、突然引退を決めた山本先生。
山本先生を信頼する患者たちは、今後が心配でたまらない。
そんな心配をなんとか取り除こうとする山本先生。
 
人間いろいろと欲を持つものだけど、精神ゼロに身を置く日を設けようよ。
生きているだけでありがたいと思う日があっていい。
ありがたいと思えることが増えるのは素晴らしいこと。
 
精神を患い、つらい思いをしてきた患者たちに山本先生は言います。
自分さえよければいいと思う人が多い社会の中で、
健康を害したあなたが耐えて生きているのはすごいことだよ。
 
長年の感謝を言われると、山本先生はこちらこそとお礼を言う。
人生を豊かにしてもらったと、医師が患者に言うのです。
 
引退して、奥さんとふたりっきりの生活。
どちらも足もとがおぼつかないから、見ていると不安。
それでも、焦らず急がず自分たちのペースで、
日々を過ごされている様子に見入りました。
 
さて、仮設の映画館で次は何を観ようかな。

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