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『ネクスト・ゴール・ウィンズ』

2024年03月08日 | 映画(な行)
『ネクスト・ゴール・ウィンズ』(原題:Next Goal Wins)
監督:タイカ・ワイティティ
出演:マイケル・ファスベンダー,オスカー・ナイトリー,デヴィッド・フェイン,ビューラ・コアレ,
   レイ・ファレパパランギ,セム・フィリッポ,ウリ・ラトゥケフ,レイチェル・ハウス,
   カイマナ,ウィル・アーネット,リス・ダービー,タイカ・ワイティティ,エリザベス・モス他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて、前述の『QUEEN ROCK MONTREAL』の後に観ました。
21:40からの回だから、もう寝たいぐらいの時間です。でも面白かったから寝なかった。
 
サッカーのアメリカ領サモア代表チームは、2001年に0-31というワールドカップ予選史上最悪の大敗を記録したチーム。
公式戦で勝利したことがないのはもちろんのこと、1ゴールすら決めたことがなかったそうです。
2011年におこなわれた2014年のワールドカップのオセアニア予選1次で初勝利を決めたときの実話に基づく
大好きなタイカ・ワイティティ監督が自らおちゃらけた役でチラリ登場するのも毎度のこと。
この監督とかM・ナイト・シャマラン監督が自作に登場するシーンを探すのはいつも楽しい。
 
不名誉な記録で笑い者にされながらもサッカーを楽しむアメリカ領サモアの代表チームだったが、
とにかくなんとしてでも1ゴール決めてほしいというのが島民たちの願い。
村の中心人物でサッカーチームの面倒も見ているタビタは、外国人監督を招聘すべきだと考える。
 
この世界最弱チームにやってきたのは、性格が災いしてアメリカのチームを追われたトーマス。
無職になるかアメリカ領サモアに行くか、選択肢は2つのみ。致し方なく後者を選ぶ。
 
覚悟を決めて現地入りしたはいいが、これでよく代表と言えたものだと思うくらい酷いチーム。
何も知らず、何も知ろうともしない選手たちに呆れ果て、すっかりやる気を失い……。
 
勝たなくてもいいんです。1点取るだけでいいんです。でもその見込みがまるでない。
この手の話はどう進むか決まりきっていて、新鮮さはありません。
でも、オセアニアの自然と陽気すぎる人々を見ているだけでもじゅうぶん楽しい。
 
選手の中で特にユニークなのは性同一性障害のジャイヤ。
いずれ性別適合手術を受ける予定ですが、今はホルモン剤を摂取しているだけでまだ男性。
だからまだ出場権はある。
彼、いや、彼女のような人のことをサモアでは「ファファヒネ」と呼ぶらしくて、
誰もがそれを理解し、差別するどころかむしろ彼女を信頼してチームを引っ張らせている。
 
短気でどうしようもない監督だと思われていたトーマスにはかつてとても辛い出来事があって、
それを引きずったまま生きていたことがわかります。ここは少し涙を誘われる。
 
トンガとの対戦はエキサイティングで、ゴールのシーンは手を叩きたくなる。
単純明快、でもお涙頂戴には走っていない。スカッとします。

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