夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『フォーン・ブース』

2004年04月12日 | 映画(は行)
『フォーン・ブース』(原題:Phone Booth)
監督:ジョエル・シューマカー
出演:コリン・ファレル,フォレスト・ウィテカー,ラダ・ミッチェル,
   ケイティ・ホームズ,キーファー・サザーランド他

先日、知人に指摘されて初めて自覚したことが。
私って、愛想の悪い男の人が好きだという事実。
そういえば、小学校の頃からそやったかも。(^^;

主演のコリン・ファレルはまさに無愛想で有名な役者。
いつ役者をやめてもいいと思っているのか、
媚びたりなんかせんでも自分は役者としてやっていけると思ってるのか、
とにかく愛想が悪くて、好青年とは決して言えないタイプ。

ニューヨーク、タイムズスクエア。
スチュは芸能人のパブリシスト。
パブリシストとは、『ニューヨーク 最後の日々』(2002)でアル・パチーノも演じたような宣伝マン。
ゴシップをかき集め、それをネタに自分のクライアントである芸能人を売り込むのが仕事。
街を歩きながら、休むひまなく携帯で電話しつづける。

商談をまとめ、アシスタントと別れるスチュ。
公衆電話のボックスに入ると、新進女優のパムに電話をかける。
パムには自分が独身だと偽っている。
妻に携帯の履歴を見られると困るスチュは、
パムに連絡するときは必ず公衆電話を利用する。

パムとの話を切りあげたあと、公衆電話のベルが鳴る。
思わず受話器を取ったスチュに話しかける男性の声。
「電話を切るな。電話を切ればおまえを殺す」。

電話ボックスとその周囲だけで撮影されたと言える80分。
すごいアイデアだぁ。
同じような話ではウェズリー・スナイプス主演の『スナイパー』(2002)。
これも狙撃犯の標的にされた女性が
「電話を切れば愛人を殺す」と脅される話。
しかし、この『スナイパー』のほうは、
銃社会を恨む犯人が、銃根絶を訴えて事件を起こすという社会的要素を持つのに対し、
『フォーンブース』にはそんな色まったくなし。
何かそういう理由があるのかと最後まで思わせといて、
「えっ、それで終わってええんですか」。ワロタ。

コリン・ファレルは『デアデビル』(2003)のブルズアイ役が最高。
『タイガーランド』(2000)、かっこよすぎ。
『S.W.A.T.』(2003)もヒマつぶしにはもってこい。
『マイノリティ・レポート』(2002)ではトム・クルーズと、
『ジャスティス』(2002)ではブルース・ウィリスと、
『リクルート』(2003)ではアル・パチーノと共演。
しかし、こんなにかっこいいのになんで彼の出演作は当たらん?

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『おばあちゃんの家』

2004年04月05日 | 映画(あ行)
『おばあちゃんの家』(英題:The Way Home)
監督:イ・ジョンヒャン
出演:キム・ウルブン,ユ・スンホ,ミン・ギョンフン,
   イム・ウンギョン,トン・ヒョフィ他

「すべてのおばあちゃんに捧ぐ」。
韓国の女性監督がそんな思いを込めて撮った珠玉の1本。

7歳のサンウはソウルで母親とふたり暮らし。
失業中の母親が仕事を見つけるまでのあいだ、
ド田舎の祖母宅に預けられることに。

生まれて初めて会うおばあちゃん。
おばあちゃんは耳が聞こえない。口もきけない。
サンウとおばあちゃんの夏休みがはじまる。

ストーリーはこれだけのこと。
穏やかな、ひたすら優しさが溢れる映画だと思うでしょ?

ところが、このサンウというのがどうしようもないガキ。
母親に連れてこられたときは
「こんな田舎は嫌だ」と母親に蹴りを入れる。
おばあちゃんには挨拶もせず、
「耳も聞こえないマヌケ」と薄ら笑いを浮かべる。
近所のよくできた少年の「遊びにおいで」という誘いは無視し、
持参したゲームやおもちゃでひとりで遊びつづける。

ゲームの電池が切れると、
お金をくれないおばあちゃんに腹を立て、
昼寝中のおばあちゃんから髪留めを盗み、
電池との交換を試みる。
しかし、こんな田舎ではゲーム用の電池などあるはずもない。
その腹いせに、壁にデカデカと「ケチ」の落書き。
おばあちゃんの靴は隠すわ、
おまるは割るわ、したい放題。

ホンマに「こいつ、しばいたろか」と思うガキなんです。
だけど、「あまりに見てるのがハラ立つから、もうやめよ」
と思うすんでのところで止まっているという、
不思議な作品なのです。

普通の展開なら、おばあちゃんの優しさに
サンウがだんだん心を開いていい子になるはず。
しかし、彼は最後の10分が来るまでヤな奴のまま。
だから余計に、最後の最後に涙が溢れます。
実際にこんなヤな奴が、いきなりいい子になるわけもない。
最後だって、ものすごくいい子になったわけじゃない。
ただ、不器用におばあちゃんへの気持ちを表すサンウに
一本とられた感じです。

おばあちゃんを演じるキム・ウルブンは
これまで演技経験はなく、
映画というものすら観たことがなかったそうです。
でも、この人以外ありえなかっただろうというぐらい、
素晴らしいおばあちゃんでした。

おばあちゃんを大好きだった人、
おばあちゃんと会ったことのないままサヨナラしてしまった人、
み~んなにお薦め。
おばあちゃんの愛に浸ってください。

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