機会があって、現在、建設中の中央環状品川線の工事現場を見学させてもらいました。
見学場所は臨海高速鉄道、品川シーサイド駅で下車15分ほど、大井ジャンクション近くのシールドの発進立坑の周辺です。
中央環状品川線は、東京をぐるりと取り巻く中央環状線の一部で大井ジャンクション(品川区)と大橋ジャンクション(目黒区)間の延長約9.4Kmで車線数は往復4車線で設計速度は60Km。
総工費は4000億円弱で、事業者は東京都と首都高速道路(株)。大橋方面行き車線は東京都、大井方面行き車線を首都高と施工分担しています。
現在、東京都は「3環状(中央環状、外環、圏央道)の整備」に取り組んでいますが、そのうちの一つの中央環状がこの品川線の完成により全線開通となります。完成は平成24年度中(平成25年3月迄)を目標としているとのことです。
整備効果は都心を抜ける車の多くが目的地外で中央環状線を利用すると都心の渋滞が緩和することになること。
また例として①羽田空港→新宿が都心環状利用だと40分、中央環状利用だと20分。
②用賀(世田谷区)→ディズニーランドが都心環状利用だと50分、中央環状利用だと30分。
と時間の短縮効果も大きいとのことでした。
補助29号線大井北部陸橋から見た大井ジャンクションとの取り付け部、高架橋からトンネルへ移行する部分を望みました。
同じく 補助29号線大井北部陸橋から見た大井北立坑、手前はURUP工法(地上発進、地上到達のシールド工法)によるトンネルのセグメント部分が見えます。 | |
大井工事事務所での説明を受けた後、ヘルメット、トンネル内に入るためマスクと無線レシーバーを身につけ、品川線の大部分を占めるトンネルのシールド工法による現場を見学することになりました。 |
シールドは直径12.53m。延長8.4Kmを掘進します。(写真はシールドトンネルを掘る泥土圧式シールドマシーン)
中央の女性と比べると大きさが分かります。掘進中はビット(先端のツメ)の交換なし。現在は8.2Kmまで掘り進み、残りは200mで、12月中には掘進が完了します。
ツメの摩耗は問題なかったとのことです。
月進量は500m、最大実績値は630m。シールドの掘進のスピードは技術革新により、ますます速くなってきました。
また、中央付近で折れ曲がるようになっているため、曲線のトンネルも掘ることが出来ます。
なお、すでに完成している池袋~大橋間を加えると中央環状線のシードトンネルは世界最大級になるとのことです。
立坑上部の建屋、セグメント置き場や土砂運搬のベルトコンベアのベルト整備場所があります。
また、この上部には主にシールドマシンを管理するための中央制御室があります。 右側は工事用エレベーター。
トンネルを覆うセグメントは8分割。幅2m、重さ10トン。これ以上分割を少なくするのはアーチを構成する力の関係で困難とのこと。
発進立坑(大井北立抗)の内部 左はベルトコンベア、右は換気ダクト
シールド内の状況、すでに道路用のコンクリート床版(この部分が道路になる)が出来上がっています。この下をセグメントを運ぶ電気トロッコが走っているとのこと。左中央にはベルトコンベアが走り、土砂を運搬してきます。それにして8kmも先から土砂がベルトに載って運ばれてくるというのも、大変なことだと思います。
ベルトコンベアで運ばれてきた土砂は隣接の京浜運河に面した土砂運搬施設から手前のバージ船(500㎥積載可) によって運搬されます。大型10トンダンプトラックの積載量が5~6㎥ですから、船は一艘でダンプ100台分程度になります。トンネル全体の掘削土量は100万㎥×2、霞ヶ関ビル2杯分で、横浜の南本牧埋立地に利用されているとのことです。中央は羽田モノレール。
最後に、中央制御室を見せてもらいました。多くのモニターやパソコンが並んでいました。
トンネルの掘進が24時間体制なので、ここも社員が24時間常駐しているとのことでした。
中央制御室の心臓部のシールドマシーンの管理モニター。