めいすいの写真日記

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映画「リンカーン」

2013-05-03 | 映画

 ゴールデンウィークなので、映画を見に行こうと思い、適当な映画はないかと思っていました。
そうしたら、スティーブン・スビルバーグ監督作品で、ダニエル・ディ=ルイスがアカデミー賞主演男優賞
を獲得したという映画「リンカーン」があると知り、見ることにしました。

 私のリンカーンのイメージというと、丸太小屋で生まれ、高等教育を受けず、ほぼ独学で学問を学び、
大統領まで上り詰めた人だということ。
あるいは奴隷解放宣言と南北戦争の終結、特にゲティスバーグでの有名な演説、
「人民の、人民による、人民のための政治(government of the people, by the people,
for the people)」などが頭に浮かんできます。

 しかし、この映画はゲティスバークの演説以降、リンカーンが2期目の大統領に当選し、フォード劇場で暗殺
されるまでの28日間を描いています。
 その中心として描かれているのは、奴隷制度の完全撤廃が目的の憲法修正を下院で通すため
の熾烈な議会対応。そして南北戦争下、大統領としての苦悩と家庭での妻と子の葛藤。
そうした状況が、幾分暗めの地味な背景の中に、迫力を持って伝わってきます。

 リンカーンを語る時には、あまり伝えられてこなかった妻や息子のロパートの関係も心を揺るがすドラマとなっています。
 妻メアリー・トッドは南部出身で、父親は地方の実力者。裕福な家で不自由なく暮らし、最高の教育を受けた女性。
当時、彼女が貧乏な田舎弁護士だったリンカーンをなぜ選んだのかはよく分かっていないといいます。
 しかも、一度婚約破棄、リンカーンの鬱病の回復を2年待って結婚する時は、家族の誰からも祝福されなかったとのこと。
 メアリーの結婚後の役割は不明だそうですが、結婚後、家計を切り詰め、手に入れた平屋の家を2階建てに、
増改築する費用を捻出するなどして、家庭を支えていたようです。

 ただ、メアリーの実家は数十人の黒人奴隷を持っていました。そのため、メアリー・ドットは共和党の人、北部の人
など奴隷解放を進める人々から疑いの眼で見られるようになり、リンカーンは、その都度、いろいろな非難から彼女を
守ることになります。

 メアリーは大統領夫人であることを意識し、社交界にふさわしい服装をしなければならないと高価なドレスを買う、
その点を理解できず辟易とするリンカーン。
 また、4人の息子の内、2人を失い、特にそのうちの一人が南北戦争で戦死。さらに息子ロバートが北軍に入隊する
といいだし、それをなんとしても止めさせたいメアリー。ロバートの強い入隊の意志と引き留めようとするリンカーン。
ロバートを戦死させないためには、憲法修正をなんとしても通さなければとリンカーンに圧力をかけるメアリー。

 3分の2の賛成を必要とする憲法修正の困難さの中、これら家族との葛藤が痛いように分かります。
しかし、こうした家族の様子をすピルバークは、冷たいやりとりも、なぜか心のぬくもりがあるように表現していました。
末っ子のタッドをかわいがるシーンもいい。

 アカデミー主演男優賞のリンカーン役ダニエル・デイ=ルイスの演技の素晴らしいのは言うまでもありませんが、
助演女優賞のメアリー役のサリー・フィールドも見事。ともに実物の写真によく似てるのも驚きです。その他、奴隷解放
推進派のスティーブンスなど共演陣も雰囲気をおおいに盛り上げていました。

 この映画を見て、リンカーンが強い意志とリーダーシップで、南北戦争を終結させ、ユーモアと温厚さで家庭を守っていく
姿に大いに感動しました。
 やはり、リンカーンは「アメリカの自由の歴史」を作った偉大で人間的な大統領だと思いました。