NHK BS プレミアム 2021/6/20
シェークスピア原作の喜劇をメンデルスゾーンが美しい音楽で飾り、美しい舞台と衣装でバランシンは
「夏の夜の夢」をまさに”夢のような”バレエにつくりあげた。
第2幕、メンデルスゾーンの結婚行進曲は誰もがよく聞く結婚式の音楽です。
妖精たちの踊り
【出演】
オベロン(妖精の王)・・・ユーゴ・マルシャン
ティターニア(妖精の女王)・・・ エレオノーラ・アバニャート
妖精パック・・・エマニュエル・ティボー
ライサンダー ・・・ アレッシオ・カルボーネ
ハーミア ・・・ レティシア・プジョル
ディミトリアス ・・・ オードリック・ベザール
ヘレナ ・・・ ファニー・ゴース
シーシアス(アテネ公爵)・・・ フロリアン・マニュネ
ヒッポリータ(アマゾンの女王) ・・・ アラス・ルナヴァン
ボトム (職人 ロバの頭)・・・ フランチェスコ・ヴァンタッジオ
ティターニアの騎士・・・ ステファン・ピュリョン
パピヨン ・・・ ミュリエル・ズスベルギー
デヴェルティマン・・・ バク・セウン、カールパケット
パリ・オベラ座バレエ団 パリ・オペラ座バレエ学校
【原作】シェークスピア
【振付】ジョージ・バランシン
【音楽】フェリックス・メンデルスゾーン
【舞台美術・衣装】クリスチャン・ラクロア
【管弦楽】パリ・オペラ座管弦楽団 指揮 サイモン・ヒューイット
ソプラノ プランヴェラ・レナート
アンネ・ゾフィー・ブュクレ
合唱 パリ・オペラ座合唱団 合唱指揮 ホセ・ルイス・バッソ
【収録】 パリ・オペラ座 バスチーユ 2017/3/18・23
第1幕 アテネ公爵シーシアスの城近くの森
アテネ公爵シーシアス(テセウス)とアマゾン国のヒッポリタとの結婚式が間近に迫っていた。
貴族の若者ハーミアとライサンダーは恋仲であるが、ハーミアの父イージアスはディミートリアスという若者と
ハーミアを結婚させようとする。
ハーミアは聞き入れないため、イージアスは「父の言いつけに背く娘は死刑とする」という古い法律に則って、
シーシアスに娘ハーミアを死刑にすることを願い出る。
シーシアスは悩むものの、自らの結婚式までの4日を猶予としてハーミアへ与え、ディミートリアスと結婚するか死刑かを選ばせる。
ライサンダーとハーミアと妖精パック
ライサンダーとハーミアは夜に抜け出して森で会うことにする。
ハーミアがこのことを友人ヘレナに打ち明けると、ディミートリアスを愛しているヘレナは二人の後を追う。
ハーミアを思うディミートリアスもまた森に行くと考えたからだ。
その頃、森の中では、妖精王オーベロンとその妻の女王ティターニアが、美しいインドの少年をめぐって喧嘩をし、
仲違いしていた。機嫌を損ねたオーベロンは妖精パックを使って、キューピッドの矢で射られた不思議な花、
花の匂いを嗅ぐと最初に見たものに恋するという匂いをタイターニアに嗅がせることにする。
この花の匂いは強力なもので、目を覚まして最初に見たものに恋してしまう作用がある。
妖精パックがこの花の匂いをバラまいて、人間の頭をロバに変えて・・・。
ところが、パックは早とちりし、森で眠っていたライサンダーたちにもこの花の匂いを嗅がせてしまう。
花の匂いのせいで、ライサンダーとディミートリアスがヘレナを愛するようになり、4人の関係があべこべになってしまう。
ついにはライサンダーとディミトリアスが剣を取って闘うことに
さらに、パックは結婚式の準備で森に来ていた職人のボトムの頭をロバに変えてしまう。目を覚ましたティターニアはこの奇妙な者に惚れてしまう。
ティターニアは、ロバとパ・ド・ドゥを踊ることになり、滑稽を通り越して悲惨なことに。
ティターニアと妖精たちの踊り ティターニアは眠り続ける。
この場面、バレエとしては珍しくソプラノのアリアが歌われ、合唱も聞こえてくる。
オーベロンはタイターニアが気の毒になり、ボトムの頭からロバの頭を取り去り、ティターニアにかかった魔法を解いて二人は和解する。
また、シーシアスとヒッポリータによりライサンダーとディミトリウスにかかった花の匂いの魔法も解かれ、
ハーミアとの関係も元通りになる。
中央はシーシアスとヒッポリータ、右はライサンダーとハーミア、左はディミトリアス とヘレナのカップル
これで2組の男女、妖精の王と女王は円満な関係に落ち着き、5人の職人たちもシーシアスとヒッポリータの結婚式で
無事に劇を行うことになった。
第2幕 ・・・ メンデルスゾーン結婚行進曲とバレエの饗宴
シーシアスとヒッポリータ、ライサンダーとハーミア、ディミトリアスとヘレナ の3組の結婚式
シーシアスとヒッポリータのパ・ド・ドゥ
3組のカップルとパリ・オペラ座バレエ団のコールド・バレエ。
メンデルゾーン劇付随音楽「夏の夜の夢」より「結婚行進曲」(5分6秒)
【感想】舞台美術・衣装を担当したクリスチャン・ラクロアはフランスの80年代のファッション界の寵児。
パリらしい華麗な美術で見る者の目を楽しませてくれる。
振付のバランシンはメンデルスゾーンの音楽を徹底的に追求し、劇付随音楽「夏の夜の夢」では足りない部分を、
あまり知られていないメンデルスゾーンの弦楽のための交響曲第9番まで使用して構成した。
このバレエのなかでは、ソプラノのアリアや合唱(コーラス)を使用しているのは斬新だ。
舞台中央に大きな貝殻を据えるなど、華麗なバレエとして見どころのある作品である。
(了)
A Midsummer Night's Dream
Midsummer というのは夏至のことであり、今年は6月21日である。
真夏というのは7月末~8月上旬であるので、日本語訳では「夏の夜の夢」とするのが正しいとのことである。