めいすいの写真日記

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パガニーニ作曲「バイオリン協奏曲第1番」・・・フランチェスカ・デゴ(Vn)

2022-01-26 | クラシック音楽

                                      NHK Eテレ  2021/1/23

 パガニーニは「悪魔の化身」(演奏技術を魂を売り渡して手に入れた)と言われ、
 入場料を3倍にしても、いつも完売、演奏会場は1時間前に超満員、演奏中に女性客が気絶、
  弦1本でも演奏、目にも止まらぬ超速弾き・・・・と形容する言葉が有り余るパカニーニ像。
 その彼の作品を「明るく優美なメロディーと超絶技巧でバイオリンの魅力が際立つ作品」
として披露しようとするN響第1944回演奏会 ファビォ・ルイージ(次期N響首席指揮者)指揮果たして・・・ 

独奏者フランチェスカ・デゴの言葉と注釈
パガニーニのコンクール入賞以来、かれこれ13年間この曲を弾き続けていることになります。
この曲にはとても愛着があり私を代表する曲だと思っています。
N響との初共演で演奏出来るのは幸せです。           

■パガニーニの愛器 ガァルネリ・デル・ジェス「イル・カンノーネ (大砲)」

  フランチェスカ・デゴは一度弾く機会を得たようです

 バイオリニストの王が使っていた楽器を弾くのは信じがたい感動です。
 楽器には彼の手や顎を乗せた傷跡が残っていたり、小さな傷なども修理されることなく当時のまま
残っていました。その感動たるやまさに強烈なものです。彼が作曲した時に聴いていた音なのです。
  パガニーニは「イル・カンノーネ(大砲)」を40年間使っていたそうです。彼の功績、彼の音楽全てを
「イル・カンノーネ」で成し遂げたということですよね。
   彼のことを語る上で最も身近なものであるということです。
その感動があまり人強すぎて初めて楽器を渡されたときには、座り込んでしまい涙が出て来ました。本当に。

【注釈】 賭博で賭けたヴァイオリンを取られてしまったバガニーに1802年ヴロンという商売人が
このグァルネリのヴァイオリンを演奏会で使用してほしいことを申し出た。パガニーニはそれを承諾し、
演奏会でこのヴァイオリンを使用したところ演奏会は予想以上の成功を収めた。
あまりの素晴らしい響きに驚嘆したリヴロンは、貸与したヴァイオリンをパガニーニに譲渡する。
パガニーニはリヴロンの好意に対し「今後このヴァイオリンを他人には使用させない」との誓いを立てる。
以後パガニーニはこの楽器を音の大きさから「カノーネ(大砲)」と命名し、終生愛用した。

■パガニーニ作曲 バイオリン協奏曲第1番

   パガニーニを知り、愛するためにはイタリア・オペラ、特にロッシーニを愛することが必要だと思っています。
   ロッシーニは「パガニーニがオペラを作曲していたら、僕らはみんな失業だ」と語っていました。
パガニーニがイタリア式の旋律と歌心を巧みに取り入れていたかを示すものです。後にベルカントと呼ばれました。

   第1番の後半は,私はその先を行っているのではないかと思います。その後のヴェルディにみられる
ようなある種のドラマ性に到達しているのではないかと。あの暗く陰うつな色彩がすでにあるのです。
非常に劇的な迫力がありオベラ的な曲でこの点も考慮すべきだと思います。バイオリンの演奏ではなく
声楽に着想を得る方が良いのではないかと思うのです。
この曲の演奏は曲芸ではなく本物の舞台なのです。
   パカニーニノ演奏は見事だったに違いありません。私も見てみたかったです。
   パガニーニは偉大なる劇場人でしたから。
   ですから、ぜひ劇場のオベラ作品のようにこの曲を聴いてみて下さい。

【注釈】  
 シューベルトはパガニーニがウィーンに来た時、家財道具を売り払ってまで高いチケットを買って
 パガニーニのヴァイオリン協奏曲第2番の演奏を聴いている。
そして、「第二楽章のアダージョでは天使の声が聞こえたよ」と感激した。派手な超絶技巧よりも
イタリアオペラに近い音色の美しさをとらえるシューベルトの鋭い感性が覗える。フランチェスカ・デゴの言葉にも近い。
 なお、この曲の第三楽章には「鐘のロンド」を持っていて、晩年リストがこの曲を元に「ラ・カンバネラ」を作曲した。

【アンコール曲】
  パガニーニ作曲 24の奇想曲(カプリース)から第13番
 俗称「悪魔の微笑み」として知られる曲である。適切な選曲であった。

【感想】  パガニーニの新たな面を知ることができて有意義な演奏会を見ることができたと思う。

    なお 映画「パガニーニ・・・愛と狂気のバイオリニスト」(めいすいの音楽随想)にも詳しい話が載せてあります。