2021/06/16 NHK クラシック音楽館
プッチーニの傑作オペラ「ラ・ボエーム」の映画版。19世紀半ばのパリを舞台に、貧しい中でも自由を謳歌して生きる若者たちの愛と生と死の物語が展開される。お針子ミミを演じるのは現代最高のソプラノであるアンナ・ネトレプコ、2008年当時の圧倒的な歌声を聞くことが出来る、映画ならではのリアリティーあふれた背景描写なども注目される。
【監督】ロバート・ドーンヘルム
【原作】アンリ・ミュルジェール
【音楽】ジャコモ・プッチーニ
【管弦楽】管弦楽:バイエルン放送交響楽団
合唱:バイエルン放送合唱団
指揮:ベルトラン・ド・ビリー
【製作】2008年 オーストリア・ドイツ合作 イタリア語 115分
【キャスト】
ミミ(お針子)・・・アンナ・ネトレプコ
ロドルフォ(詩人)・・・・ローランド・ビリャソン
ムゼッタ・・・・ニコル・キャベル
マルチェッロ(画家)・・・・ジョージ・フォン・ベルゲン
アルチンドーロ(枢密顧問官 ムゼッタのパトロン)・・・・イオアン・ホーランダー
あらすじ
クリスマス・イブの夜に出会い、ひと目で恋に落ちた詩人のロドルフォとお針子のミミ。二人は芸術家仲間たちとともに貧しくも夢にあふれた暮らしを送るが、不治の病を患っていたミミの病状が日に日に悪化し、貧しさゆえに何もしてやれないロドルフォは彼女との別れを決意する ・・・。
第1幕 パリの屋根裏部屋
クリスマス・イブ夜、ミミはローソクの火をもらいにロドルフォのいる部屋を訪ねてくる。
ロドルフォは 「冷たい手」を歌う。
ミミは「私の名はミミ」を歌う。
ミミとロドルフォはクリスマス・イブでにぎわうパリの街カルチェ・ラタンに出かける。
第二幕 カルチェラタン通りのカフェ・モミュス
賑わう・カルチェラタン
弦楽器も演奏している広々としたカフェ・モミュスで青春を謳歌する芸術家4人とミミ。
そこに、マルチェロのかっての恋人ムゼッタがパトロンを連れてやって来る。ムゼッタはマルチェロの気を引こうと「私が街を歩くと」を歌う。
カルチェ・ラタンは、フランス軍楽隊が行進し盛り上がる。
結局ムゼッタは、パトロンと離れ、マルチエッロとよりを戻す。
第三幕 アンフェールの門の前
2ヶ月後、雪の降りしきるなか、近くの居酒屋でムゼッタとマルチェロが働いている。ミミはそこを訪れマルチェッロに二人の仲が上手くいかないと嘆く。
肺病を患い症状が悪化しているが貧しさために助けられないとロドルフォはマルチェッロに話す。物陰で聞いていたミミ人は愛を確認しながら 別れることになる。
一方、マルチェッロとムゼッタの二人にも喧嘩が始まり、破局が訪れる。
第4幕 パリの屋根裏部屋
ロドルフォとマルチェッロは、お互い恋人と別れてしまったので、昔が忘れられず、二人で気を紛らわしている。
そこに、ムゼッタに連れられて瀕死のミミが運び込まれてくる。なんとか助けようとするが間に合わず、ミミは愛するロドルフォのそばで息絶える。
【感想】やはり、舞台で行われるオペラと空間の制約を受けにくい映画とでは、雰囲気が違う。屋根裏部屋が広々としている。(^^) ミミが鍵を落とすシーンとロドルフォが拾い隠すシーンなどはっきり分かるし、カフェ・モミュスでの飲食も雰囲気が良く出る。
人物が大写しになる点も違うし、音響効果も歌声だけでなくオーケストラの音も良い。
しかし、この映画の最も素晴らしい点はアンナ・ネトレプコの歌唱力にある。伸びやかでつつややかな歌声に惹きつけられる。
さらに美貌と若々しい演技は他のソプラノ歌手を寄せ付けないものがある。まさに感動的である。この映画に出演していた当時は,絶頂期であっただけになおさらである。アンナ・ネトレプコの偉大さを知ることが出来る作品だ。
ロドルフォ役のヴィットーリオ・グリコーロとマルチェッロ役のジョージ・フォン・ベルゲンも好演して盛り立てたと思う。
一方、フランコ・ゼフィレッリの演出したメトロポリタンオペラ(MET)版の「ボエーム」を見たことのある人にとっては、あまりに絢爛豪華なカルチェラタンの雰囲気に今回は物足りなさを感じてしまうのはやむを得ないだろう。なんと言ってもMETの看板演目なのだから・・・。
めいすいの写真日記 METオペラ プッチーニ「ラ・ボエーム」
もう一つ、ムゼッタ役は華やかさに欠けていた。それが、ネトレプコの魅力を引き立てていた?
(了)