1975東宝製作 NHK BSシネマ2020.9.28
【映画冒頭の話】
あれは今からもう30年以上も前の昔のこと。私らがまだ幼い頃の出来事でございました。
東の国ざかいへも、西の国ざかいへも、他人の土地を踏まずに行けるといわれた谷一番の具現者、山園田の若様に花嫁さんが来なさるというので、谷中のものが皆、沿道に出迎えたものでございます。
花嫁さんは、それはもう本当に美しい人で子供心にも吸い込まれるような思いで見つめたものでございます。ところが驚いたことに後からの話では、その人はその時もうこの世の人ではなかったのだそうです。花嫁さんはすでに死んでおられたのでございます。
山里の風景 順吉と小雪
昭和17年。山深い山陰地方の名家の息子・順吉(三浦友和)は、貧しい山番の娘・小雪(山口百恵)を深く愛していたが、順吉の父は身分が違うと反対し、実業家の令嬢と結婚させようとする。諦めきれない順吉は小雪と駆け落ちすることにする。二人は、日本海の激しい荒波と砂丘に挟まれた小さい町で貧しいながらも幸せな日々を送る。しかし、やがて戦争が激化、順吉のもとにも召集令状が届く。
二人は、離ればなれになるが、かたや戦場、かたや町での働き先で決められた時刻(午後3時)に木挽き歌を歌い気持ちを通じることにする。しかし厳しい仕事が原因で小雪は結核にかかってしまう・・・・・。
【監督・脚本】西川克美
【原作】大江賢次
【音楽】高田弘
【出演】小雪 山口百恵
順吉 三浦友和
【製作年】1975年
【主題歌】山鳩の歌 【挿入歌】吉野木挽唄
二人の新婚後の仕事、運送業。雨の日に小雪は順吉を助けに行く。
順吉に召集令状が届き、出征式を行う。
小雪は順吉の希望もあり出正式で、木挽き歌を歌う。
小雪は生活費稼ぐために、河川工事のくい打ち作業を行う。女性8人でのよいとまけの歌。定時には順吉に届くよう木挽き歌を歌う。
【感想】 山口百恵、三浦友和共演、西川克美監督の純愛映画第3作
美しく、けなげな山口百恵の演技が魅力的、三浦友和も熱演している。
遠くから来る「順吉の足音」が、普通の人には聞こえないが、小雪には聞こえるという設定がフィクションとはいえ、感動的で大きな役割を果たす。
山口百恵の主題歌も前回、前々回の作品と比べ上手になり聞き応えがある。映画題名の「絶唱」は「吉野木挽き歌」を絶唱することであるが、何回となく作品の作品のなかで歌われるのが印象的である。監督の西川克美も、映画作りを重ねてきて、訴える力が大きくなってきていることを感じさせ、良い作品となった。
映画「絶唱」主題歌 ・・・ 「山鳩」山口百恵 歌