マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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十津川山天・ハデ調査から山天のむこだましに出合えた①

2023年12月30日 08時12分35秒 | 民俗あれこれ(干す編)
何枚か撮った十津川村山天(やまてん)の多段型稲架け。

目的は、一応終わった。

停めた車に乗って帰宅・・・のつもりだったが・・。

まさか、まさかの干し物がある。

車を停めさせてもらった場所にあった干し物。

風物詩のように、木製の竿に吊っている、これってなんぞえ?。

たぶんに初めて実物を見た・・粟?。

後ほどお会いした高齢女性が教えてくれた「むこだまし」の名で呼ぶ粟だった。

駐車場の外。



竿の隙間から見える向こう側に、栽培地がある。

先っぽに見えるふわっとしたモノ。

重さで首を垂れているそれが「むこだまし」と呼んでいる粟の実だ。

近くに栽培している農家さんがいるようだ。

すぐ横に建ててある作業小屋。



日差しに光る黄色い干し物に眩しくて、目が点に・・

天井近くにも吊ってあったそれも粟?。



黒いけど粟?下にあった黄色いのはトモウロコシ?。

訪ねたお家は83歳のIさん。

むこだましに使う原材料などを干している、という。



正体はむこだましとも呼ばれる白粟

一般的に粟といえば黄色であるが、むこだましは白粟。

食べ物用語辞典によれば、ここ十津川村・山天や富山県などの地域で栽培されているそうだ。

粘り気があるむこだましは、搗くと餅のようになり、お婿さんが騙されるほど・・ということから名が付いたようだ。

黒いのんは、タカキビとも呼ぶトウキビ。

隅っこの暗がりにあったから携帯画像ではもやっとしてしまった。

光る黄色いのはトウモロコシと思ったが、それはナンバキビ。

十津川村・在来種の「十津川なんば」
だそうだ。

昔、私の祖母は、トウモロコシをナンバキビ、或はトウキビと云ってたことを思い出したが、粟は初めてだ。

写真映像ではわかりにくい。

粟が、こんなにふわふわした触感の植物だったとは・・・。

Iさんの出里は、十津川村の西川。

県指定文化財の大踊り
が、コロナで衰退せんように保存会を立ち上げたとか・‥。

つい2週間前の9月21日は芋名月だった。

かつては芋洗いもしていた。

自家栽培のコイモ洗い。

木の桶に水を汲んでXの字にした長い木。

左右、両手掴みにコイモごろごろ。

ごろごろ芋洗いしていた。

芋名月に芋たばりがあった。

山天はとうにしなくなったが、川津では今もしているようだ。

また、豆名月もしていた。

栽培した大豆だけをとって名月に供えていた。

大豆は作らへんようになったから、今はもうしていない、と話す。



オチエン(※腰掛ける場)にススキを立てて、膳をだす。

お月さんに家の畑で栽培したサツマイモをふかして供えていた、という。

おおみや(※大宮)と呼ぶ山天の氏神さんの祭りに一斗の甘酒を奉った。

甘酒まつりと呼ぶ山天の行事は、2軒がトーヤ務めをしていた。

そういえば名月のときに供えたふかしたサツマイモがある、という。



冷凍しているから、チンして食べて、といきなりのもてなしお接待。



初めて訪問したIさんの心遣いが嬉しい。

テレビが放映していた「家ついていっていいですか」の番組に栃木のカンピョウ祭り。

その映像に民俗の一コマが・・。

映像は、ポリバケツで洗う芋洗い。

その映像を観ていた95歳のおふくろが若いときに体験した遠い記憶が蘇った。

大阪富田林(とんだばやし)・滝谷不動駅近くにあった生家。

茅葺家民家が母屋だった。

正月前の父親は、いつも木桶に栽培したドロイモ(※里芋)を入れて芋洗いをしていた、と・・。

皮ごと入れたドロイモ。

水浸しのバケツに突っ込んだ板一枚を持って、左右に振りながらコネコネ。

それが芋洗いだった。

正月の雑煮に入れるドロイモもそうだがお皿いっぱいに芋を盛って食べていた。

また、お月見のときも同じように芋洗いをしていた。

奇麗になった芋を供えていた。

記憶が鮮明に蘇ったのだろう。

思わずメモったおふくろの芋洗い記憶。

今はもう見ることのない芋洗い民俗が、まさか母親も体験していたとは・・・

山天にやってくる移動販売は昨年に始まった。

一週間おきに来る販売は同村の平谷から。

通所している介護施設は、ここから1時間以上もかかる。

施設のデイサービスに行けば、お友達もいっぱい。



お外の畑地に栽培しているタカキビも見せてくれた。

(R3.10. 2 SB805SH 撮影)


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