
チャールス・ロイドのアルバムをほとんど買ったことがありません。ECMで20年出しているようで、確か一枚「Sangam」か「The Water is Wide」を買った覚えがあるのですが、あまり記憶にありません。(いまCDは梱包されてガレージに山済み状態で確認できないのです。)
じゃ、ロイドが嫌いかというとそうではなく、ロイドの初期作品「フォレスト・フラワー」に出会ったときは、こんな心を揺らす音楽があるのかと、本当に驚きました。
そのとき買ったLPをちょっとこわくなって、友達にしばらく預けたことを思い出します。中学生のウブには刺激強すぎました。
この時代に、ロイドが来日することとなって、チケットを購入しました。
当日会場に行ってみると、徴兵で(ほんとかな)キース・ジャレットが来日できずに、デジョネットと・ロン・マクルーアとロイドの3人、ロイドが吹きまくりでした。
でも今考えても残念でなりません。(マクルーアは生で凄かったです。)
今年皆さんのblog記事を見ていると良さそうなので、買ってみました。
ですから、久しぶりロイド、同窓会的出会いとなりました。
1曲目、スタンダードの“I Fall in Love Too Easily ”がとても静かな気持ちにさせてくれて、久しぶりの対面なのに、とてもやさしい気持ちで出会うことが出来ました。
不義理も気にしていないような、そんな柔らかいスタートです。
2曲目はモーダルなテーマの、ちょっとねっとりとした曲で、これもロイドらしいのかも知れません。
3曲目の“Desolation Sound ”まできて、驚きます。テーマからソロパートにはいっての音とフレージング、「フォレスト・フラワー」とか「」イン・ヨーロッパ」にそっくり、聴きながら私、何時にいるのか解らなくなるような、ちょっと不思議な気分になりました。
4曲目はスパニシュの入ったこれも聴き応えある曲、テナーのリード音の振れもこれでいいのですから、さすが重鎮なのでしょうね。若い人が吹いてこの音だったらきっと、私怒っています。
6曲目は“Monk's Mood”、この曲でこのテンポ、モンクのアルバム「セロニアス・ヒムセルフ」で1曲だけコルトレーンが吹いた演奏を意識していないでしょうか。
モランのピアノがモンク敵なのは、モンクの曲だからと思いますが、ロイドのフレージング、一度コルトレーンの演奏を聴いてみてください。
9曲目は「The Water Is Wide」のカヴァーだそうですが、ゴスペル調の演奏がなんとも良い感じ、ピアノのジェイソン・モランが60年のキースみたいな演奏で面白く感じます。
こうやって聴いてくると、同じようにフレージングしていることに驚くより、私もロイドも何十年の大きな輪を回ってきて、軌道が重なったような不思議な気分です。
ロイドを聴いている今ち、昔が同じようなところにいるようで、これって、私もロイドもちっとも変わってないのでしょうか。
長いスパイラルを過ごして、覚醒すれば風景は同じようで、しかし見えないところで変わっているのでしょうか。
ロイドを聴いていると、そこに私が写っていて、まるで自分が写されているようで、アルバムタイトルを看てドキッとしたのです。
MIRROR / CHARLES LLOYD
Charles Lloyd (ts,as,voice)
Jason Moran (p)
Reuben Rogers (b)
Eric Harland (ds,voice)
1. I Fall in Love Too Easily
2. Go Down Moses
3. Desolation Sound
4. La Llorona
5. Caroline, No
6. Monk's Mood
7. Mirror
8. Ruby, My Dear
9. The Water Is Wide
10. Lift Every Voice And Sing
11. Being And Becoming, Road To Dakshineshwar With Sangeeta
12. Tagi