
ジャン・ピエール・コモの新譜が売り切れというので、待っていた人がたくさんいたのに驚きました。
再入荷したのでホットしましたが、それから随分時間が経ちます。
普段であれば即、記事にする人の作品なのに、戸惑っていたのです。
それが1曲目“The way you look tonigh”メロディが流れると、どうしんだろうと
戸惑ってしまいます。
ところがピアノのアドリブパートになればまさしくコモなのです。
戸惑いは選曲とゆったり感なのです。
3曲目、ゆっくりやさしげな“Alone together”この安定感、アルド・ロマーノのドラムスとベースのディエゴ・アンベールに支えられているからでしょう。
いつもは目立ち系のロマーノが完全にサポートです。
4曲目はフランス風味でコモのオリジナル。
5曲目もゆったりとした“When I fall in love”、甘くなりすぎず、それでいて充分な、しっとり感です。
7曲目はなんと“オーバー・ザ・レインボー”何でこの選曲、トリオでこの演奏、考えてしまいます。
このようにゆったりでなくて、切れ切れのフレーズの曲がいいとも思うのです。
こちらもここで、ゆっくりゆっくり考えると、あえてスタンダード、それもちょっとベタ選曲、アレンジもオーソドックス、リズム隊にはしっかりサポートを頼んで、コモ、実はこの曲たちが好きなんでしょう。それを素直に歌うのがこのアルバムでしょうか。
やろうと思えばいかようにもハードに出来るコモが、これ、塩梅を考えているとしか思えません。
8曲目“If I should lose you”これを不断なら超高速フレーズでするところ、抑えて高速で演奏、そこが塩梅なのでしょう。
最後はオリジナルのピアノ・ソロじっくりと聴きたい、落ち着いた曲、ここらへんの配置もコモの天賦の塩梅に思えてきます。
戸惑いから出発して、聴くほどにミュージシャンの采配が見えてきて、結構いいアルバムなのです。
コモを知らない人がこれを聴いて好きになったりして、それもおもしろい、でも次のアルバムは同じことはしないと思う。
Repertoire / Jean-Pierre Como
Jean Pierre Como (p)
Aldo Romano (ds)
Diego Imbert (b)
.The way you look tonight(J. Kern/D.Field)
2.Bewitched(R. Rodgers/L.Hart)
3.Alone together(A. Schwartz)
4.The sidney years(J.P.Como)
5.When I fall in love(V.Young/ E. Heyman)
6.Up jumped spring(F.Hubbard)
7.Over the rainbow
8.(R. Rainger)
9.Melodie d’amour (J.P.Como)
10.Baubles, bangles and beads(A.borodin/R.Wright/G.Forrest