「ケインとアベル」や「ロマノフスキの娘」「チェルシー・テラスへの道」など素晴らしいストリーを永井淳さんの名訳でわくわく呼んだジェフリー・アーチャーの新訳が出版されました。
http://blog.goo.ne.jp/monakasm/d/20090929
永井さん亡き後、ベテランである戸田裕之さんの翻訳でイギリスの登山家、ジョージ・リー・マロリーの生涯を描いた「遥かなる未踏峰」という小説です。
新田次郎など登山の小説は好きなので、これはと思って読みました。
なんだか山に登った気分がまるでしません。イギリスの歴史の流れの中での英雄伝ですので、英国の歴史上の登場人物や、民主主義、クラブの変遷など、英国人なら当たり前のことが不案内なので、どうも入り込めない。
山に登っている部分はとても少なく、最後のエベレスト登頂のなぞは僅かな部分、そこにいたるマロリーの軌道を綴ったものでした。
ただ1人の女性である夫人との心の通い合いも、最後の手紙が重要ではあるのでしょうが、途中この手法を多く使うのも私的にはいただけませんでした。
マロリーがエベレストに登りつめたのかは今も不明ですが、(そこら辺がミステリー仕立てかと思って読み始めたから)私は登り詰めるどころか、山の周りをぐるりと一回りした気分で終わりました。