
昨年どうしようか迷ってスルーしていたアルバムで評判でやっぱり仕入れたうちの一つ、落ち着いて聴くと、ととても良い。
WRやザヴィヌルの本質って明言なんて出来ないけれどハーモニーとリズムをいかに合体させるかで、WRはそれをシンセとホーンにリズム隊を組み合わせることでで作っていたわけで、このアルバムに1曲目のアレンジを聞いていて、それを平らに広げることで、オーケストラ状態にしているようは気がします。
2曲目はザヴィヌルのサウンドをより精鋭にしたエレキで始めて驚かせますが、ここら辺のソロとアンサンブルの兼ね合いがメンドーサの特徴なのでしょう。男性ヴォイスとバンドハーモニーが積みかさねられて、気がつけばヴィクター・ベイリーが元気よいベースラインを作っていくのです。
3曲目のアレンジ忠実にWRの形をオーケストラで出しているのを感じます。管楽器フルートとかが旨くザヴィヌルのハーモニーを再現します。
4曲目は迫力あるリズムがベースになって、(ピーター・アースキンが叩いていることが嬉しい、)キーボードもザヴィヌルらしく、そこにオケがからんで、サウンドとし贅沢な広がり、ベイリーのとても短いけれどそれらしいフレーズが入ります。
5曲目、アレンジはオケが持っている楽器全部を使うような、逆にザヴィヌルがそれほど太いサウンドを持っていたことが解るような、それが一緒くたに聞く側に訪れます。
6曲目、ペットのソロはjazzyなフレーズ、WRと新しい部分が交互にでて、ベアードのエレピもこれは新鮮、曲がうねりだすのは、ただザヴィヌルを模倣しているだけでない、ここがこのバンドの凄さ、もしくはメンデューサの卓越した部分です。
7曲目、ヴァイオリンでフレーズを弾くと、なんだかザヴィヌル叙事詩を見ているような気になります。ザヴィヌルにはこんな面がありました、その面をしっかりと表現しています。
8曲目は晩年のザヴィヌル・サウンドに一番近い感じで、オリエンタルなメロディとヴォイス、ビック・バンドとは思えないコンパクトな表現が重なっていくのも、アレンジすごいのでしょうね。
これライブ音源で、こんなコンサートが存在するのもちょっと驚きです。
最後は“In A Silent Way”で、これはザヴィヌルの最初のイン・ア・サイレントの雰囲気に近い、私もこの曲からザヴィヌルとお付き合いを始めたのだと、思い出したのです。
ゆったり聴くと、ビック・バンドのための演奏でしょうが、ザヴィヌル・ファンにとって、とても旨くザヴィヌル・サウンドを表現していて、辺に誇張せず、広がり、尚且つ個性的な部分がプレーヤーにみえて、いろいろ考えながら聴く(ただ聴くのでなくて)と面白いアルバムだと思います。
FAST CITY / METROPOLE ORKEST VINCE MENDOZA
Jim Beard(Key)
Victor Bailey(B)
Peter Erskine(Ds)
Amit Chatterjee(G, Voice)
Alex Acuna(Per)1, 4, 5, 7, 8, 9
Efrain Toro(Per)2, 3, 6
Vince Mendoza(Arranged, Conducted)
The Metropole Orkest (Concergebouw, Amsterdam)
Arlia de Ruiter, Vara Laporeva, Sarah Koch, Denis Koenders, Linda Dumessie, Erica Korthals Altes, David Peijnenbough, Pauline Terlouw(1st Violin)
Herman van Haaren, Wim Kok, Elizabeth Liefkes-Cats, Vara van der Bie, Polina Cekov, Erik Kromhout, Seija Teeuwen(2nd Violin)
Mieke Honingh, Norman Jansen, Julia Jowett, Iris Schut, Alex Welch(Viola)
Bastiaan van Werf, Emile Visser, Wim Grin, Winnyfred Beldman(Cello)
Erik Winkelmann, Arend Liefkes, Maaike Wierda(Contrabass)
Janine Abbas, Mariel van den Bos(Fl)
Marc Scholten, Paul van der Feen, Leo Janssen, Jos Beeren, Max Boeree(Sax, Cl)
Willem Luijt(Oboe), Wouter Brouwer(French Horn)
Derek Watkins, Henk Heijink, Jan Hollander, Ruud Breuls(Tp)
Bart van Lier, Jan Oosting, Jan Bestiani, Martin van den Berg(Tb)
Eddy Koopman, Frank Wardenier(Per)
Joke Sehonewille(Harp), Peter Tiehuis(G)
1 Jungle Book
2 Orient Express
3 The Juggler
4 Nubian Sundance
5 Dream Clock
6 Fast City
7 Peace
8 Tower Of Silence
9 In A Silent Way