応援するハクエイ・キムが出したピアノ・ソロのアルバムは、高音質のSACD~SHM仕様と通常盤、それに限定DVD付きという3種類があって、DVDには先日目黒のパーシモン小ホールで行われた、ソロ・コンサートでの2曲が付いています。
私は先般のコンサートをとても良い席で観ているのでパーシモンのソロ付きを買いました。
ソロを観ているので、内容はだいたい想像つき、あわてて聴きません、というよりも、宝石のような一つ一つをゆっくりと楽しもうという思いです。
1曲目、ハクエイのハーモニー、まずはハーモニーのなかからメロディを探り始めます。9分に及ぶインプロを最初に持ってくることはこの1年で出来上がった自信です。
2曲目はフェイード・イン・アウトの短い刺激的なパッセージ、一瞬の矢が走る感じです。
3曲目は新たに名前のついた曲、中世ヨーロッパの香りもする、軽やかで明るさがある演奏です。
ハクエイの実力を充分解ってはいるものの、やはりアルバムの出来は心配でした。
4曲目“枯葉”の始め方を聴いて安心しました。オリジナリティあるアレンジとカッコ良さ、山ほどの枯葉を聴いてきた人でも新鮮に思うだろう演奏です。
5曲目はレッチリの曲だそうですが、元歌知っていたらもっと楽しめたでしょう。
6曲目はある意味、一番気合の入った曲“MIKE NOCK”。インディーズのファーストのアルバム「オープン・ザ・グリーン・ドア」の“Dear Shisho”というノックに捧げた曲は畏敬の念をあらわした感じでした。今度の“ノック”はその人への愛情が大きくあらわれて、成長したピアニストの少し変わっていて、それも微笑ましい。
7曲目は、アルフィーのメロディだけをたよりにした演奏で、繊細なタッチが楽しめます。
8曲目がまた短い刺激的な一節。
9曲目、これもかって演奏した夜の街を疾走するような曲に呼応するような演奏、こうやってみると、“マイク・ノック”やこの曲、そしてまさに次の曲と、昔のアルバムから一連の流れにあるアルバムと感じます。
10曲目、ハクエイのセカンド「Home Beyond The Cloud」の収録曲“Newtown"の新バージョン、曲名は“LOST IN NEWTOWN"。ニュータウンで我をわすれてさまよってきたけれど、僕たちは(あえてこう書かせてもらいます)道に迷ったわけではありません。観客がほとんどいなかった演奏や小さなハコでの演奏、歌伴、ホテルのラウンジでの演奏やとても怪しい場所での演奏、それらすべてがこのアルバムのためにあったのだと、再びNewtownをさまよいながら思うのです。
次の曲は、コンサートではアンコール、今後はこのような選曲も増えていくかも知れません。
次が一連の俳句の結句のような曲。
13,14はボーナス・トラックとなるスタンダード。
リーダー作を年に2枚など、考えもつきませんでしたが、それぞれが共鳴しあうよう存在になっていました。
Break The Ice / Hakuei Kim
Hakuei Kim piano solo
1. ギヴ・アス・ザ・サン(インプロヴィゼーション) GIVE US THE SUN (IMPROVISATION)
2. アイスブレイカー1 THE ICEBREAKER 1
3. ウィンター・フェスティヴァル WINTER FESTIVAL
4. 枯葉 AUTUMN LEAVES
5. アンダー・ザ・ブリッジ UNDER THE BRIDGE
6. マイク・ノック MIKE NOCK
7. アルフィー ALFIE
8. アイスブレイカー2 THE ICEBREAKER 2
9. トーキョー・トラフィック TOKYO TRAFFIC
10. ロスト・イン・ニュータウン LOST IN NEWTOWN
11. ドント・クライ・フォー・ミー・アルゼンティーナ DON`T CRY FOR ME ARGENTINA
12. アイス・ブロークン THE ICE BROKEN
13. 星に願いを (ボーナス・トラック) WHEN YOU WISH UPON A STAR
14. マイ・フーリシュ・ハート MY FOOLISH HEART