普段はほとんどよまない日本の小説だけれど、オクサンが貸してくれました。
チェロの道を捨てた世界的指揮者の娘がチェロと向かい合う話だそうで、だいぶTVドラマ的なところはあるけれど、これはチェロ関連で、もちろん軽いから一気に読んでしまいました。
まずは一番重要なフレーズを主人公は和音と言う名の女の子です。
和音は引っこみ思案に行った。
「チェロをやってた人に、悪人はいない・・・・じゃないですか?」
チェリストの名前が出てくるけれど、カザルスで来るのかな、フルニエでくるのかなとそうぞうしたけれど、ここはカザルスの「鳥の歌」の方面からスタートです。
著者はきっとチェロが好きなのだろうけれど、演奏はしていなさそう。東京都交響楽団のチェリスト、高橋純子さんの協力をうけたようです。
でもちょっと長いけど感じいった一節を。
永遠、トワとはなにということふたたびチェロをもってステージにたったところ。
つややかな木肌を抱いて、和音は椅子にすわった。軽く目を閉じ、呼吸をととのえる。
演奏前の瞬間。その瞬間こそが「永遠」なのだと教えてくれたのは、真弓だ。
~ ~
あの瞬間ってのは、チェロを弾き始める直前の数秒間のこと。
バッハも、ドヴォルザークも、カザルスも、ヨーヨー・マも。音楽を愛し、演奏に心をこめた人間であれば、誰にでも訪れる、あの数秒間。
心が沸き立ち、震える、あの瞬間。この世に音楽のあることを喜び、感謝するあの刹那。時代も国境も超えて、私たちが旋律でつながる1秒前。
あの瞬間こそが、永遠なのよ。
~ ~
そうだ。永遠は、ここにあるのだ。
弓が弦に触れる、この一瞬に。
全然レベルの違う話で恐縮だけど、こんど人前で演奏する曲、14小節の長いピアノの前奏の後、かすかな音から3小節にわたるロングトーンから始めます。
いや~、緊張する。