オクサンの勧めで久しぶりに普通の?日本の小説を読んで面白かった。そうしたらこれもおもしろいよともう一つすすめられたから続けて読みました。
リストラされた離婚歴のある男性が、行方不明となっている父親の建てた軽井沢の別荘で一人暮らしを始める。そこでいろいろな人とめぐりあってというお話。
面白いというから、エッこんなんで(男)いいのと聞くとそれはダメだという。
迷い込むんだ犬ロク伏線になるのだけれど、そこがいいのだそうです。
なのでそこの出会いの部分。
空はあくまで澄み、雲は真綿のように白く、手が届きそうに近い。風もない静かな午後だった。いつしか犬の呼吸と岳夫のそれとが重なっていた。不意に、今まで経験したことのないような、穏やかさが岳夫を包んだ。何もかも止まっていて、すべてが永遠であるような瞬間。自分がここにいるという不思議。そして実感。
「おい」と、岳夫が声を掛けるとM犬は耳だけぴくりと動かした。
「ここにいたいなら、いていいぞ」
まるで岳夫の言葉を理解したように、犬はのっそりと顔を上げ、無垢な瞳を向けた。それで決まりだった。
とても読みやすい文章で上手い書き手です。
随分たくさんの作品がでているようで、合ったテーマのをもうひとつぐらい読んでもいいかと思います。