JAZZは新しいものを基本的に聴きます。なぜならば常に息づきながら、新しいものを求める力が新鮮だからです。
JAZZを演奏する人と親しくなったりして、その新しい演奏は常にいくらかのアドバンテージを与えて聴いているのです。
ところが新しいものだけを聴いていると、ふらふら耳ですからJAZZの基本的な重さみたいなものがあやふやになってしまいます。
そんなときに、昔聴いた素晴らしい演奏を聞き返すと立ち位置がはっきりしてくるので、時々そんな時間を作ります。
コルトレーンだったり、エバンスだったりすることが多いのですが、今日はエバンスのアルバムを選んでみました。
新しい人の演奏を聴きながら、タッチとかハーモニーとかに耳が行くのですが、1966年のタウン・ホール録音、驚くほど音が良い、そしてエバンスもとてもテンション高く演奏に望んでいるのが感じられます。
普段より格調高めながら軽やかな“I SHOULD CARE”からスタート、だんだんと自分のペースを作って、3曲目の“Who Can I Turn To ”あたりでピアノ表現が開放された感じです。
メンバーのChuck Israele、ラファロがいるので高い評価得られませんでしたが、エバンスの流れにおおらかにあわせたソロがとても魅力的です。
4曲目、テンポの良い力強いエバンス、しばらく聴かないとこの強さの部分をおろそかにしていました。
5曲目が直前になくなった父上の思い出を綴ったソロ、この曲でこのアルバムは有名で、PrologueとEpilogueに挟まれた2つのエバンスの作品“Story Line”と“Turn Out the Stars”のテーマを織り成すように重ねていき、ホールの中をハリー・L・エバンスへの思い出で包みます。
後の3曲は以後に加えられた演奏で、このコンサート、トリオとソロにアル・コーン・リードアンサンブルとの共演でvol2がでる予定でしたが、アンサンブルとのバランスが悪く、3曲追加でvol2はどうやら消え去ったようです。
久しぶりのエバンスでピアノの格調も強さも情緒も聴いて、ふらふら耳のメンテナンスが終了しました。
BILL EVANS AT TOWN HALL vol.1
Bill Evans(p)
Chuck israels(b)
Arnold Wise(ds)
1966年2月21日
At Town Hall, NYC
1. I Should Care
2. Spring Is Here
3. WHO CAN I TURN TO
4. Make Someone Happy
5. SOLO-IN MEMORY OF HIS FATHER
6. Beautiful Love
7. My Foolish Heart
8. One for Helen
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