二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

そうだ、青森へいこう

2012年02月27日 | Blog & Photo


青森へいきたい!
そんな願望が、いつからわたしの頭に住みつくようになったのか、よくはわからない。
岩手へのあこがれは以前からあったし、理由はハッキリしている。
「遠野物語」の遠野へのあこがれがある。そして宮沢賢治が生み出した幻想郷イーハトヴをこの眼でたしかめてみたいという、漠とした願望である。それに、藤原五代の栄華の地、平泉をつけ加えてもいいだろう。
では青森は? いつごろから、どうして「青森幻想」がわたしの中にやってきたのだろう。

青森といっても、江戸期の津軽藩の風土と、八戸あたりを中心とする南部藩の風土では、かなり異質だとお聞きしたことがあった。秋田や岩手は急ぎ足ではあったが、子育て時代に旅した経験はある。北海道には前後3回渡っている。むろん、ヒコーキで、札幌近郊の飛行場へ舞い降りたので、青森ははるか上空を通過しただけ(^^;)

津軽に対する思い入れのようなものは、はじめは太宰治からやってきた。青年期に「晩年」や「津軽」を読んで、空想をかきたてたのは、むろん津軽半島周辺である。下北には、恐山がある。そこはかつては、日本の北辺、最果てであったし、いまでもわたしのイメージの世界では「最果て」感覚がある。
カラオケでもよく歌われる石川さゆりさんの「津軽海峡冬景色」にも、そのイメージは色濃く影を落としている。
http://www.youtube.com/watch?v=FauvMTTaSWg&feature=related
上野駅から青森へ向かう夜行列車。
そして青函連絡船に乗って、津軽海峡を渡り、函館へ。
北の空がもつ暗さと、海峡によってへだてられるある種の悲壮感と、母胎回帰的なあこがれとが、こんぐらかった糸のようにわたしのこころを縛り、「海峡の向こうにあるのは、北海道なんかじゃない。異世界であり、彼岸なのである」と、そんな空想にひたったことすらあった。

昨日、会社帰りに、BOOK OFFを歩いていたら、一冊の写真集を見つけた。
☆「小島一郎写真集成」 (株)インスクリプト 3800円+税 2009年刊(青森県立美術館監修)
トップにあげたのが、それ。
半額だったので、迷わず買ってきた。
ここには、地方在住のアマチュア写真家、小島一郎さんの昭和30年代の写真があつめられている。









さっき、いいかげんにテーブル・フォトしたものだが、どれがいい、どれがつまらないといっても仕方がないような、すばらしい写真群!
以前、写真雑誌で一、二度紹介記事を読んだことがあったし、新刊として書店にならんでいるのを、立ち読み(立ち見)したことがあった。
さっきパラパラとその写真集をめくっていて、あることに気がついた。
それは・・・青森へのあこがれは、単に風土としての青森に惹かれているというだけではなく、わたしが生まれ、ものごころついた時代への回帰的な願望が裏打ちしているのではないか・・・ということであった。

ことし、青森へいけるかどうか。ことしがムリなら、来年、あるいは再来年。
弘前市あたりから、竜飛岬へ、ゆっくりカメラ旅をしてみたいのである。
いまの青森は、小島さんが撮った青森ではない。
どこがどう変貌したのか、変貌しなかったのか。そんなこともふくめて「自分の足と眼で」青森路をたどってみたいのである。
そのまえに、「小島一郎写真集成」を、じっくり時間をかけて読みほどくのも愉しみ。

わたしはわたしの昭和30年代に、再会できるだろうか?
できるはずはないと理性はささやくが、「いや、もしかして――ひょっと」と感情がざわめく(笑)。
青森へ。竜飛岬へ。長逗留するのがムリなら、数回に分けて出かけてもいい。
仕事から足をあらって、カメラを二台か三台かかえ、日暮れた津軽海峡を、飽きるまで眺めていたい、とおもう。青森を知ることは、そのままこの上州という風土の理解を深めることにもなる。旅とはそうしたものであるだろう。



☆小島一郎画像検索
http://www.google.co.jp/search?q=%E5%B0%8F%E5%B3%B6%E4%B8%80%E9%83%8E&hl=ja&rlz=1T4ADBR_jaJP330JP340&prmd=imvnso&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=bwpLT-HQKqaNmQXXx_CsDg&ved=0CEUQsAQ&biw=1024&bih=499

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