二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

おじいさんの背中みたいな(ポエムNO.4-20)

2020年09月08日 | 俳句・短歌・詩集
   (2019年4月 藤岡市)



愛ってなあに
と赤い帽子をがぶった幼い女の子が
無邪気な表情でたずねる。
三温糖500gとかレモン1ダースとかならわかるよね。
だけど愛ってなんだろう。

なんだと思う?
反問してみたけど答えはない。
文字の書いてない本があるとしたら
そういうものかもしれないね。
きみがそこに書き込むための。

でっかい背中を向けたおじいさんみたいに
愛はふだんはあっちを向いているんだ。
「そっかあ そういうものなのね。わかったわ」
女の子はウインクして走っていく。
そしてたちまち人混みにまぎれてしまう。

ありゃりゃ いまのはいったいだれだったんだろう。
ぼくに謎かけをして
すぐに姿を消した。
それからさ 愛について
ぼくが考えはじめたのは。

まだなあんにも書かれていない本に対して
せっせとことばを書きつらね
書きつらね
ああ 今日という一日が暮れてゆく。
おじいさんの背中みたいな表紙の一日が。

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