春よこい！（ポエムNO.2-49）

春はだれにだってやってくる。
あの人にはくるけれど　この人にはこない。
・・・なんてことはないだろう　たぶんね。
異論を唱える人もいるかな。
友人Aとは　もう2年以上話をしていない。
友人Bとはそれ以上長く。
みんな　どうしているんだろう。
携帯のボタンをプッシュすれば　きっとすぐにでも話せる。

だけど　どういうわけか「話すことない」という気分に
すぐに支配されてしまう。
用事がないと　電話してはいけません・・・という法律でもあるみたいだ。
もうすぐ春がめぐってくるってのに
ぼくの心にはそれに対する準備がない。
きびしい寒さが永遠につづく　とでもいうみたいに。
今朝は冷たいハムエッグを食べた。
昨夜の残りものの。

明け方にぼくはよく夢をみる。
そのあまりのリアルさに圧倒され
声をあげてなにかいう。
利根の河原につながるなだらかな丘のふもと。
あれはフクジュソウが咲いているのだろうか？
マンサクの枝で　花弁が微風にゆれている。
メジロがやってきたぞ。
小さな春をくわえてね・・・赤ん坊の小指みたいな。

水が流れ　流れ
年老いた男の情念の水車が回っている。
くたびれて　ギシギシと軋みながら。
それでも水は流れ　流れやまない。
サファイアの眼をした妙齢の女（ひと）とすれ違うとしよう。
それが　それが春の女神だとしても　ぼくは驚かないだろう。
春よ　こい！
春を待っている　すべての人のために。

春よ春よ　こい！