ピンクやイエローのミニスカートをはいた女の子が
数人かたまってコンビニから出てくるのとすれ違った。
「あれれ いますれ違ったのはアヒルかな? アヒルの群れみたいだったが」
ぼくは買ったばかりのお弁当を手に
ちょっとそちらを振り返ってから
自分のクルマへともどる。
空は晴れていて 風がある。
町にはいろいろな動物がいる。
ネコやイヌはもちろん
見たこともないようなへんてこりんな生き物。
空想上のモンスターにそっくりなじいさんが歩道を歩いてくる。
だれもそれに驚かないし 恐れもいだかない不思議さ。
どこにもいくところがない
どこにもいきたくない。
秋の一日の中に そんな日が紛れ込んで
少し疲れたぼくを悩ます。
そりゃ疲れもするだろう。
まったく手がかりのないぼんやりしたものを探しているのだから。
そこいらの石を剥がし
中世の人馬の響きを掘り起こしたつもりになったり
真昼の白い月に手をのばして 冷えたおでんのようにつまんでみたり。
ぼくのそばにはいつもカメラがあるが
そのカメラすら遠ざけてしまうと
もうほかにすることがない という気分に陥る。
モグラ叩きのモグラみたいに
年中自分の頭や他人の頭を叩くのが好きな人が通る。
ぺこぺこしたブリキみたいな安っぽい日常が
少し疲れたぼくを悩ます。
シロクマが通る。
そしてまたアヒルの群れが。
どこへいくんだ どこへ
どこへいくんだとことばが追いかけてくるけれど
あれはだれの声だろう?
この秋のへりが 緋色の毛氈のように川辺でキラキラ光って
ぼくをさらなる異界へといざなう。
数人かたまってコンビニから出てくるのとすれ違った。
「あれれ いますれ違ったのはアヒルかな? アヒルの群れみたいだったが」
ぼくは買ったばかりのお弁当を手に
ちょっとそちらを振り返ってから
自分のクルマへともどる。
空は晴れていて 風がある。
町にはいろいろな動物がいる。
ネコやイヌはもちろん
見たこともないようなへんてこりんな生き物。
空想上のモンスターにそっくりなじいさんが歩道を歩いてくる。
だれもそれに驚かないし 恐れもいだかない不思議さ。
どこにもいくところがない
どこにもいきたくない。
秋の一日の中に そんな日が紛れ込んで
少し疲れたぼくを悩ます。
そりゃ疲れもするだろう。
まったく手がかりのないぼんやりしたものを探しているのだから。
そこいらの石を剥がし
中世の人馬の響きを掘り起こしたつもりになったり
真昼の白い月に手をのばして 冷えたおでんのようにつまんでみたり。
ぼくのそばにはいつもカメラがあるが
そのカメラすら遠ざけてしまうと
もうほかにすることがない という気分に陥る。
モグラ叩きのモグラみたいに
年中自分の頭や他人の頭を叩くのが好きな人が通る。
ぺこぺこしたブリキみたいな安っぽい日常が
少し疲れたぼくを悩ます。
シロクマが通る。
そしてまたアヒルの群れが。
どこへいくんだ どこへ
どこへいくんだとことばが追いかけてくるけれど
あれはだれの声だろう?
この秋のへりが 緋色の毛氈のように川辺でキラキラ光って
ぼくをさらなる異界へといざなう。