モミジの葉っぱが地面に突き刺さって
けたけた笑っていたのさ。
木の葉が擦れるときの乾いた音が響いた。
たった一枚の葉っぱ。
笑えるときは笑うがいい
いずれ笑えないときがくる。
そいうときがだれにだってやってくる。
「きみはだれ
オドラデックの友達なの?」
質問したら またけたけた笑う。
内臓も頭も顔もない。
どきどき全身をふるわせ
さも愉しそうに笑う。
「ぼくは笑うためにこの世にやってきたのさ。
それだけが仕事」
なんにも学ばずなんにも悩まない。
まもなく地面に反っていく 粉々に砕けて。
風が吹いてきた。
笑い声は風の音なのか。
しゃがみ込んでカメラを構えると
「好きなだけ撮ってもいいよ。
ぼくはもうすぐいなくなるから」
そうつぶやいて人をからかうように けたけた笑う。
斜光線を浴びて気持ちよさそうに。
さよなら きみがいたって証拠の写真は撮影したよ。
きみの悲嘆はぼくの悲嘆。
いずれまた遭おう
さようなら
さ・よ・な・ら。