二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

その一瞬に価値がある

2010年11月08日 | Blog & Photo
50代になってから、過去を振り返る機会がふえた。
40代の半ばくらいまでは、ばりばりに仕事をしていたし、
前ばかり見て暮らしてきた。
男性諸君は、とくにそういう人が多いのでは?
経済成長期などは、まわりじゅう仕事人間で、闇雲に働いたり、働かされたりしていたものだ。

自分で撮影した写真を眺めながら、ときおりある感想が浮かんでくる。
それは、

その一瞬、一瞬に価値がある・・・ということ。
たとえばこんなスナップ。



キレイなだけのイルミじゃ物足りないと思っていた。
そうしたら、幸せそうな家族づれを見かけた。
「ああ、おれにもあんな時期があったな」
キャッ、キャッと幼子が歓声をあげている。人物が重ならないよう注意し、たった1枚だけ撮れた写真。

娘はロスに、息子は福岡にいて、
ここ数年、離ればなれに暮らしているけれど、あんな風に、妻と二人「子育て」に追われていたころがあったのだ。それもまた「一瞬の情景」だということが、そのころはわからなかった。



あるいは、これも。
わたしは雨脚を撮りたい・・・と以前から考えていた。
ある雨の日、ふと立ち寄ったホテルの庭に、投光器があり、降り出した雨の白いラインが浮かび上がっているではないか!
時間がなかったせいで、じっくり何枚も撮影することができなかった。



これもそうかな?
わたしがよくクルマを止める駐車場の一角。
野良ではなく、近隣の飼い猫らしいけれど、見かけて撮影することができた。
今日もくるかなぁ? と思いつつ注意していたが、猫ちゃんたちの姿は現れなかった。
理屈っぽくいえば、時間の不可逆性。
写真はそこに楔を打ち込む手段でもある。
ドラマチックな大事件や有名な観光地ではなく、
立ち止まることなく流れさっていく、日常生活のなかの小さな一こま一こま。

このあいだ、マイミクのあっきいさんが、息をのむほどにすばらしい虹の写真を見せてくれた。何カットも撮ったのかと推測した。
しかし、撮れたのはたったの1カットだそうである。
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