二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

確信に変わっていく(ポエムNO.3-8)

2019年05月19日 | 俳句・短歌・詩集
仕事をなくしたんじゃじゃなく
やめたのさ さらに二三年勤められたかもしれないのに ね。
だけど そう思っているのは頭だけで
体はそうはとらえていない。
区別がつかないのだろう。
なあに どっちでも大差はないが・・・。

ぼくは昨夜ケルト人になった夢の牙につかまって
黄金の仮面をつくらされた。
その仮面が目覚めぎわ 一瞬にして蒸発した。
黄金は蒸発しやすいのだろう
財布の中身といっしょでね。
貧乏暮らしが長かったせいで

片足をひきずりながら歩いている。
貧乏ってえのは そういう不自由な生活のことさ。
天皇が退位して新しい年号に変わったっていうけど
ぼくは昭和の人間なので
後頭部は昭和に残してある。だから目玉をひっくり返すと
昭和の情景が見える

ありありと。
どう説明したらいいのだろう
どう説明したって見えっこないさ 若いきみたちには。
闇の中で しっぽをなくした黒い馬がいなないている
雨に打たれ 疲れきったような声で
・・・悲しげに。

ヒマができて毎日撮影に出かけようとすればできるけど
そうなってみると案外 出かけないもんだな。
三台四台のカメラが写真立の横でほこりをかぶっている。
数年前に死んだ白い猫が
カメラの後ろからひょっこり顔を出す。
「だめだめ まだそっちにはいかないよ」とぼくは首を振る。

「二三年 いや四五年そこらで待っていてくれ」とね。
黄金の仮面はいらないけど
金貨なら何枚か欲しいと思った 夢から覚めるとき。
塩野七生さんならローマの金貨。
でももっと古い時代の金貨が欲しい。
どうやら・・・どうやらその時代 シャンパーニュかどこかの森の奥で

ぼくはケルトの戦士だったんだ。
戦士ならやめるときは死ぬときだろう。
ぼくもどうやらやめたとき
頭か体の約半分が
死んだんだ そんな気がする。
いや だんだん確信に変わっていくぞ。

どうする!?

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