二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

明後日のあたり(ポエムNO.3-10)

2019年07月19日 | 俳句・短歌・詩集
たんぽぽの綿毛のように そこいらをふわふわ舞っている
あれはなんだろう
なんだろう?
すでにゴミとなったぼくの過去。

あのあたりまで戻ってみようか
あのあたりまで。
朝飯前の仕事をおえた祖父が玄関の板の間で茶をすすっていた
あのあたりまで。

わたしがせんだって飲み干したのは錆びたブリキ缶の中のたまり水だが
祖父がすすっていた茶は香りがよくて
茶柱が立っているのだ そして湯気も
白くもうもうと。

これまでの年月が 
これからの年月とスクランブルになってぼくを苦しめる。
隣りに坐っていた人がなにやらうめき声を発している。
彼の辻褄が合わない半生を だれか知っているんだろうか。

う ううう ともう長いことうめいている。
うめいていると少しラクになる。
重い荷車を引きながらここまでやってきた駄馬
なんだろうな 彼も。

荷車には ゴミとなった過去が さも大切な荷物ででもあるかのように満載され
そうして坂道をゆるゆる登っていくんだ。
今日も。
いや 明後日のあたりまで。

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